表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後安心安全部、かつどーきろく!!  作者: 小鞠 明音
5月 廃部の危機。ストレスで吐きそう……。
32/37

第六章 対決!生徒会 〈Ⅱ〉

皆さん、お久しぶりです。この頃忙しくて、投稿出来ませんでした……


なので、今回は少し長いです!

2年5組、華月 月華。普通科であるにもかかわらず、一年の頃に選挙で立候補し見事当選。

彼女のカリスマ性には老若男女問わず、惹き付けられる。

また、彼女ははっきり言って美人だ。彼女の黒い髪は長く、美しく輝いている。

そして、スタイルもとてもいいのだが、何故か男子用の制服をいつも着用している。


つまり――変わっている。


でも、彼女の変人ぶりはそれだけではない。



「美しい……。やはり、生徒会に入らないか?吉川」


うっとりとマリンを見つめる会長。そのままジリジリとマリンとの距離を縮めていく。

そんな彼女から離れるために後ずさっている、マリン。


どうやら、本気で嫌がっているらしい。珍しい。


「――会長!吉川さんから離れろ!!」


そんなマリンに救いの手を差し伸べたのは俺ではなく、見知らぬ男子生徒。メガネをはめたインテリ系イケメン。いかにも真面目そうな。


……ん?確か、この人は入学式で見たことあるような気がする。

あ、そうだ、副会長だ。もう一人の。

ていうことは――、


「つむぎって、こいつか!?」


山川兄の電話の相手がこいつだということが分かり、ウンウンと頷いた。

すぐ近くで怒りのオーラを漂わせている先輩に気づかずに。


「そこの1年?……先輩をこいつ呼ばわりなんて……いい度胸だなぁ?」


表情は笑顔なはずなのに、凄く怖い。俺は途切れ途切れに、「ごめんなさい」と謝ったのだった。



「……こほん。まあ、いいだろう。で、会長。吉川さんが嫌がってるから、やめろ」

「ハハハ、何を言っている?この華月が美しいものを愛でるのは、当たり前のことだろう?」

「そもそもその性癖が普通じゃないだろ」

「何か、言ったか?佐藤」

「イエ、ナンデモアリマセン」


やべー、いつものノリでつっこんじゃったよ、会長に。

てか、俺の名前覚えられてるし。凄いんだな、いろいろと。


まあ、そんな会話(?)をしているうちに会長の意識はマリンから逸れたため、マリンは逃げることに成功。

少し残念な気もするが。


「もう、いい加減にして下さい!その変な主義!」


  副会長が今までの不満を爆発させるように、会長へと訴えかける。涙目で。


 ――『美しいもの主義』。


  会長の信念でもあり、モットーでもあり、性癖。

  会長はその主義をもとに男女ともに、少しでも美しければ平等に口説く(らしい)。

  そして、本人の顔もキレイなため、洒落にならないほどのファンがいるらしい。


 本人曰く、美しければそれで良し。


 はた迷惑な主義だが、そのおかげか校舎は常に丁寧に掃除する人が多く、その人数は日々増え続けている。



「そ~いえば、月ちゃーん、他の人たちはー?」


 のんびりとした口調で会長へと尋ねる、山川兄。左手には、俺のバックに入ってたはずの手作りお菓子。


 ――いつの間に!?


 俺が驚きを隠せないでいると、山川兄はそのまま美味しーよと言いながら、一口、二口と頬張っていた(ちなみに今日はシフォンケーキ)。


「あぁ……あいつらはなんか他に仕事があるらしくてな……」

「へー……、とりまこれでも食べればー?月ちゃん」


  会長が山川兄の疑問に答えると、山川兄は彼女に(俺の作った)シフォンケーキを勧めた。


「――って、おい!」 


 俺は慌てて止めようとしたが、俺の手よりも早く、シフォンケーキが山川兄の手によって会長の口へと運ばれた。


「……」


 あー、すっげぇ怖い。てか、山川さんのときも同じような感じでドキドキしたっけな……。


 会長に吐けとも言えないため、無言でじっと待つ俺。


  そうしたらいつの間にか、隣で黙々とヴァカがシフォンケーキを(勝手に)食べている。



「……(ゴクリ)」


  ヴァカの前からシフォンケーキを遠ざけていると、会長は食べ終わったらしく、無言で目をつむっていた。


「どうしたんですか……?」

「美しい……」

「は?」


「美しいぞ、この味!」


  俺の声に小さい声で反応したかと思えば、目をカッと見開き急に立ち上がって、そんなことを言い出した会長。


  やっべー、心臓が止まるかと思った。

 

  胸に手を当てて深呼吸。うん、大丈夫。逆に速すぎてヤバイかもだけど。


  そんな俺の様子に気づいてないのか、会長は俺の肩を掴み、顔をグッと近づけてきた。


「うわーっ」

「これを作ったのはお前か……っ?」

「はっ、はい」

「……面白い」

 

 え?なんか俺、バカにされた?てか、今顔、めっちゃ近い。それでも、ドキドキしないのはきっと、会長は俺の中で『変人』のカテゴリに入っているからだろう。


  俺が特に抵抗もせずにじっとしていると、ブレザーの裾を引っ張られた。

  視線だけそっちに向けると、そこには山川さん。


  多分らお菓子のことだろう。「バックにまだ入ってる」と伝えると、その言葉を聞いた瞬間に会長も俺の肩から手をを離し、俺のバックの近くへと駆け寄った。


「ほふほふぃふふぁいふあ」

「すいません、何言ってるか分かりません寝」


 会長が何言ってるのかが分かんねー、宇宙人?すると、隣のヴァカ共も宇宙人語で話し始めた。


「ふぉふふぉーふぉいふぃー。ふぉふぁふぁふぃー」(←ヴァカ)

「ふぉ、ふぁふふぃふぉっ!」(←会長)

「ふぉふふぉー」(←山川兄)


「「口に入れたまま、喋るな!」」


見事に副会長とハモりながら、宇宙人たちに怒る俺。

少し離れた机では、静かに黙々とシフォンケーキを食べている山川さん。


いーな……俺もそうしたい。静かなところで1人になりたい。


そんなことを考えながら、俺もシフォンケーキを手に取った。あ、もちろん先に副会長に渡してから。


うん、うめぇ。


自画自賛していると、食べ終わった会長が思い出したように、口を開いた。


「そういえば――華月を呼び出した理由はなんだ?」


あ、またすっかり忘れてた。ヤバい。

「えっとー、あ――」


俺はとりあえず会長へと、今の状況(廃部の危機)の説明を始めたのだった。

  


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ