第六章 対決!生徒会 〈Ⅱ〉
皆さん、お久しぶりです。この頃忙しくて、投稿出来ませんでした……
なので、今回は少し長いです!
2年5組、華月 月華。普通科であるにもかかわらず、一年の頃に選挙で立候補し見事当選。
彼女のカリスマ性には老若男女問わず、惹き付けられる。
また、彼女ははっきり言って美人だ。彼女の黒い髪は長く、美しく輝いている。
そして、スタイルもとてもいいのだが、何故か男子用の制服をいつも着用している。
つまり――変わっている。
でも、彼女の変人ぶりはそれだけではない。
「美しい……。やはり、生徒会に入らないか?吉川」
うっとりとマリンを見つめる会長。そのままジリジリとマリンとの距離を縮めていく。
そんな彼女から離れるために後ずさっている、マリン。
どうやら、本気で嫌がっているらしい。珍しい。
「――会長!吉川さんから離れろ!!」
そんなマリンに救いの手を差し伸べたのは俺ではなく、見知らぬ男子生徒。メガネをはめたインテリ系イケメン。いかにも真面目そうな。
……ん?確か、この人は入学式で見たことあるような気がする。
あ、そうだ、副会長だ。もう一人の。
ていうことは――、
「つむぎって、こいつか!?」
山川兄の電話の相手がこいつだということが分かり、ウンウンと頷いた。
すぐ近くで怒りのオーラを漂わせている先輩に気づかずに。
「そこの1年?……先輩をこいつ呼ばわりなんて……いい度胸だなぁ?」
表情は笑顔なはずなのに、凄く怖い。俺は途切れ途切れに、「ごめんなさい」と謝ったのだった。
「……こほん。まあ、いいだろう。で、会長。吉川さんが嫌がってるから、やめろ」
「ハハハ、何を言っている?この華月が美しいものを愛でるのは、当たり前のことだろう?」
「そもそもその性癖が普通じゃないだろ」
「何か、言ったか?佐藤」
「イエ、ナンデモアリマセン」
やべー、いつものノリでつっこんじゃったよ、会長に。
てか、俺の名前覚えられてるし。凄いんだな、いろいろと。
まあ、そんな会話(?)をしているうちに会長の意識はマリンから逸れたため、マリンは逃げることに成功。
少し残念な気もするが。
「もう、いい加減にして下さい!その変な主義!」
副会長が今までの不満を爆発させるように、会長へと訴えかける。涙目で。
――『美しいもの主義』。
会長の信念でもあり、モットーでもあり、性癖。
会長はその主義をもとに男女ともに、少しでも美しければ平等に口説く(らしい)。
そして、本人の顔もキレイなため、洒落にならないほどのファンがいるらしい。
本人曰く、美しければそれで良し。
はた迷惑な主義だが、そのおかげか校舎は常に丁寧に掃除する人が多く、その人数は日々増え続けている。
「そ~いえば、月ちゃーん、他の人たちはー?」
のんびりとした口調で会長へと尋ねる、山川兄。左手には、俺のバックに入ってたはずの手作りお菓子。
――いつの間に!?
俺が驚きを隠せないでいると、山川兄はそのまま美味しーよと言いながら、一口、二口と頬張っていた(ちなみに今日はシフォンケーキ)。
「あぁ……あいつらはなんか他に仕事があるらしくてな……」
「へー……、とりまこれでも食べればー?月ちゃん」
会長が山川兄の疑問に答えると、山川兄は彼女に(俺の作った)シフォンケーキを勧めた。
「――って、おい!」
俺は慌てて止めようとしたが、俺の手よりも早く、シフォンケーキが山川兄の手によって会長の口へと運ばれた。
「……」
あー、すっげぇ怖い。てか、山川さんのときも同じような感じでドキドキしたっけな……。
会長に吐けとも言えないため、無言でじっと待つ俺。
そうしたらいつの間にか、隣で黙々とヴァカがシフォンケーキを(勝手に)食べている。
「……(ゴクリ)」
ヴァカの前からシフォンケーキを遠ざけていると、会長は食べ終わったらしく、無言で目をつむっていた。
「どうしたんですか……?」
「美しい……」
「は?」
「美しいぞ、この味!」
俺の声に小さい声で反応したかと思えば、目をカッと見開き急に立ち上がって、そんなことを言い出した会長。
やっべー、心臓が止まるかと思った。
胸に手を当てて深呼吸。うん、大丈夫。逆に速すぎてヤバイかもだけど。
そんな俺の様子に気づいてないのか、会長は俺の肩を掴み、顔をグッと近づけてきた。
「うわーっ」
「これを作ったのはお前か……っ?」
「はっ、はい」
「……面白い」
え?なんか俺、バカにされた?てか、今顔、めっちゃ近い。それでも、ドキドキしないのはきっと、会長は俺の中で『変人』のカテゴリに入っているからだろう。
俺が特に抵抗もせずにじっとしていると、ブレザーの裾を引っ張られた。
視線だけそっちに向けると、そこには山川さん。
多分らお菓子のことだろう。「バックにまだ入ってる」と伝えると、その言葉を聞いた瞬間に会長も俺の肩から手をを離し、俺のバックの近くへと駆け寄った。
「ほふほふぃふふぁいふあ」
「すいません、何言ってるか分かりません寝」
会長が何言ってるのかが分かんねー、宇宙人?すると、隣のヴァカ共も宇宙人語で話し始めた。
「ふぉふふぉーふぉいふぃー。ふぉふぁふぁふぃー」(←ヴァカ)
「ふぉ、ふぁふふぃふぉっ!」(←会長)
「ふぉふふぉー」(←山川兄)
「「口に入れたまま、喋るな!」」
見事に副会長とハモりながら、宇宙人たちに怒る俺。
少し離れた机では、静かに黙々とシフォンケーキを食べている山川さん。
いーな……俺もそうしたい。静かなところで1人になりたい。
そんなことを考えながら、俺もシフォンケーキを手に取った。あ、もちろん先に副会長に渡してから。
うん、うめぇ。
自画自賛していると、食べ終わった会長が思い出したように、口を開いた。
「そういえば――華月を呼び出した理由はなんだ?」
あ、またすっかり忘れてた。ヤバい。
「えっとー、あ――」
俺はとりあえず会長へと、今の状況(廃部の危機)の説明を始めたのだった。




