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放課後安心安全部、かつどーきろく!!  作者: 小鞠 明音
【4月 創部 。 いろいろあったな……】
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第三章 1年1組 みみちゃん先生! 〈Ⅲ〉

「はいはーい!みんなにお悩みを聞いて、片っ端から解決すればいいと思いますっ!」

「どうやって!?」

「別に人の悩みなんてどうでもいいし……」

「なんで入ったの!?山川さんっ」


もう疲れた……帰りたい。


俺は最後の希望へ助けを求めるように見つめる。

すると、みみちゃん先生は微笑んで――


「別に大丈夫ですっ、それで」


と言った。


「「「え?」」」


俺たちは三人揃って目が点になってしまう。


えー、みみちゃん先生。具体的にとか言ってたよーな……。


「いえ、多分、皆さんなら大丈夫でしょうし」


「え、でも、解決方法とかは…?」

「それは吉川さんならどうにかできると思いますし」


じー。


不安しかない。このヴァカに対しては。


すると、じっと下を向いていたマリンが勢いよく顔を上げた。


「そうだよっ」

「「何が?」」


「だーかーら、みんなにこの部活のことを宣伝してっ、月に1、2回はお悩みを解決っ!で、いいでしょ?みみちゃん!」


「は、はいっ。大丈夫です」


いいのかよ。すっげえ不安なんだけど。

するとマリンは、


「大丈夫っ、この4人ならっ」


と言って笑った。


「……かもな」


俺も小さく笑った。

みみちゃん先生は笑顔で、山川さんは無表情でそれぞれこくりと頷いた。




「じゃあ、これで提出して来ますね」

「はーい!」

「あ、そういえば、この部が廃部しないためにはどうすればいいんだ?」


俺は今さらだが、そんな疑問を口にした。

だって、お悩み解決だけでは基準とかが分からない。


「え、えっと、二つ方法があるんですけど……。

まず、部員をもう数人増やして一般の普通生徒用の創部届で出し直すというのがあって……」


「「「それはない」」」


「ですよね……。

あと、一つのは、学校の生徒会や校長に認めてもらうことです。その分、難しいのですが」


う、わああぁぁぁ。めんど――大変そう。てか、絶対目立ちそう。

そもそも、こんな変な部活って認めてもらえるのだろうか。


「それを5月が終わるまでに……」


あと、4週間しかないってことか。


「まあ、まずはポスターとか貼って真面目に活動しとけばいーだろ……多分」


少し不安もあるけど、コイツが部長なのだからきっと大丈夫。


☆ ★ ☆


――翌日の放課後。


あの後、俺たちはそれぞれ家でポスターを書いてくることとなった。

そのポスターは朝に一旦マリンに預けてある。


そして……、



『放課後安心安全部!お悩み解決します』


という文字と他には内容とかしか書いていない俺のポスター。



『あなたも悪魔と契約して、願いを叶えませんか?』


なんていう文字に、くらい闇の中に蝋燭の光がポツンと浮かんでいる風景がバックの山川さんのポスター。

(どっかの宗教団体のポスターみたい)



『五時だよ!全員集合!』


と無駄に綺麗に書かれたバカみたいな文字に、水彩絵の具で草や木が描かれた

本当に無駄に綺麗なマリンのポスター。



「なんで、こんなに皆バラバラなんだろ……」

「それは……」


「みんなそれぞれ個性があるってことだよ!と、いうことで、コピーしたよ!全部を一枚にまとめてっ」


「「は?」」

「ほらっ」


そういって、笑顔で紙の束をテーブルに置いたマリン。

俺たちはそれを一枚ずつ手に取った。


感想は……うん。そのままでした。


「なんで、全部同じにしたんだよ!?」

「だって、そっちのほうが面白いじゃん?それにほら、右下のイラスト。上手でしょー?」


そう言って、マリンは俺の顔の前にポスターを近づけた。

近すぎて、何も見えん。


顔から離してから見ると、マリンの指が指していた部分には――、


「マリンと山川さんと……俺?」

「うんっ」

「……上手。特に、佐藤ムクの死んだ目とか……」

「山川さんひどくね!?俺の目は輝いてるよっ」

「「え?」」


聞かなかったフリ。二人の目は点になんてなってない。なってないっ!


でも、このポスター(といってもいいか分からないもの)は大丈夫なのだろうか。

怪しいし、バカっぽいし。


「……諦めれば?」

「うん。そうするしかないよな……」


山川さんの呆れているような言葉に俺は同意する。

どーせ、結果的にはそうなると予想していたし。


俺たちはの会話を聞いていたのか、マリンはさっさと部室を出て、ポスターを貼りに行ってしまった。


「残り、一ヶ月か……」


多分、大丈夫だ。廃部になんてならない。


「だって、あのヴァカがいるんだし」


そう言って俺はマリンを手伝おう(という名の制御をしよう)と部室を出た。

そんな俺に続いて、山川さんも部室を出るのが視界の端に映る。



これから先、どうなるのだろうか?


どんなことがあろうとも、絶対にいつかは笑い話になるのだろう。

だって、中心にはどうせあのヴァカがいるのだから――。


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