わ
ぼくの首にはわっかがひとつ
鍵穴のないわっかがひとつ
前へ、前へ、とひっぱられるから
前へ、前へ、と進んでいく
どこのだれかはしらないけれど
ぼくを、どこかへ、つれていかないで
ぼくは、ここにいたいだけなんだ
おれの手首にはわっかがひとつ
継ぎ目のないわっかがひとつ
右へ、左へ、とひきずられるから
右へ、左へ、と振り回されていく
どこのどいつかは知らねぇが
おれを、振り回すのは、やめろ
おれは、まっすぐに進みたいだけなんだ
わしの足首にはわっかがひとつ
見えないわっかがひとつ
後ろへ、後ろへ、とひきよせられるから
後ろへ、後ろへ、と後ずさりしていく
どこの誰かは知らないけれど
わしを、どこへ、つれていくのだ
わしは、ただ休みたいだけなのに