ひまつぶし その2
「ねえ」
「……」
「ねえねえ」
「…………」
「ねえねえねえねえ」
「………………」
「ねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえねえ姉えねえねえねえねえねえねえねえ」
「うっっっぜえええええええええ!」
「きゃあ!? いきなりナニ大声出してんのよ! びっくりして危うくお昼に食べたMAXポテトがもう少しで喉元からMAX噴射するとこだったじゃないっ」
「いきなりナニしてんのはこっちのセリフじゃ脳内MAX女神! 人が目の前で宿題やってるとこにいきなり耳元で姉教への洗脳を始めやがってっ。そんなにシスコンしたけりゃそのへんの姉でもとっ捕まえて好きなだけや百合百合やってりゃいいだろ! ああ、無理か。まな板のお前じゃあどうやっても男役になるもんなあ?」
「なななな……ぬぁんですってえええええ! アンタ、言ってはならない事を言ったわねえ! 女神に、この女神に!」
「おーう言ってやったぜ。だったらどうする? 女神(笑)様?」
「むきぃぃぃぃっ戦争よっ。これは戦争しかないわ! そして負けた方が勝った方の言うことを何でも聞くというのはどう!」
「やったらあああ! 吠え面かかせてやんぜこのMAXポテト女――――ッ!」
「ポテトに罪はないという事を教えてやるわっ!」
『戦国雅』。
全世界一千万人ものプレイヤーが登録している、史実を元にした対戦型オンライン"戦争”シミュレーションゲーム。
「WINERーーッッ!!」
「なんでよおおおおおおっっ!?」
「ふ……このゲームにおいて、徳川家康の生まれ変わりと呼ばれる俺に挑むなど10年早かったな」
「ってか絶対おかしいでしょ! 織田信長と上杉謙信と武田信玄と北条早雲が一斉にこっちの陣営に襲いかかってきたんだけど!? 何をどうやったらあんな腹黒共が仲良く手を取り合う展開になるわけ!?」
「金とコネ」
「分かり易すぎる説明どうもありがとうございますっ!」
「さってとぉ」
「(びくっ)な、何よ。急に薄気味悪い笑い浮かべて」
「お前、勝負の前に言ってた事忘れてないよなぁ?」
「さ、さぁ……何か言ったかしら?」
「負けた方が勝った方の言うことをなんでも聞く。そういう条件だったよな?」
「ななな、夏バテかしら? さ、最近物覚えが悪くって……」
「往生際が悪いなお前……こんな冷暖房完備の最適空間で夏バテもクソもあるか。更年期ババア」
「だっ誰が行き遅れの更年期ババアですってえ!?」
「そこまでは言ってない」
「ええ、ええ! 覚えてますともっ。どうせエロい事でしょ!? エロい事よね!? その男子高校生の溜まりにたまった獣欲を思う存分ぶつければいいじゃない! おらこいやあ! ……あ、でもやっぱりその前に美容院行ってきていいかしら? それからお風呂に入って、その後優しくお姫様だっこでベッドまで――」
「おい、そこの痛々しい喪女」
「もっ――――!?」
「宿題手伝え」
「…………あ?」
「ふぅ終わった終わった。テスト勉強の時はあれだが、単純に宿題片付ける分にはこの空間も悪くないな。珍しくお前も静かで――ってどうした? なんで死んだ魚みたいな目ぇしてんの?」
「なんでもございません」
「? まぁいいけど……で?」
「で……って、何よ? 何も言いたいことなんかないわよ」
「いやあるだろ。結局お前、さっき何の用だったんだよ」
「さっき?」
「ねえ攻撃」
「ああ、あれは…………もういいのよ」
「そうなのか?」
「そうなの!」
「ふーん、だったらいいけど」
「せっかく一緒にいるのに勉強ばっかで全然構ってもらえないんだもん(ぼそ)」
「なんか言った?」
「なんにもっ」




