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 一二時半になって、みんながフードコートに揃ったので、お昼ご飯を食べた。

 わたしと高橋さんと福山さん森沢さんで一つ、由夏ちゃんたち女子四人で一つのテーブルを隣同士で使って、わたし達のテーブルの真後ろの席に、春紀たち男子五人が座っていた。直角三角形状態だ。

 フードコートにずっといて寒かったのと、胃にやさしい物が食べたかったので、うどんを選んだ。腰が全くなくて、柔らかいだけのうどんだったけど、出汁が異様に美味しい。寒かったから、そう感じたのかもしれない。


「渡さんって、中学までうちの学校だったんでしょ? 千賀君と幼馴染みなんだって?」


 正面に座っている森沢さんが言った。


「うん」


 今度は本人がいるから、彼女云々の話にはならないだろう。


「凄い仲いいんだよ」


 高橋さんが、シシケバブサンドという怪しげなサンドイッチを食べながらわたしの顔を見て言った。なぜそんなことを言うのか、別にそれほど仲良くない。


「だよね。さっきも仲良さそうだったもんね」


 福山さんが、ほうっと高揚して言うので、困惑してしまう。さっきというのはジェットコースターでのことだろう。あの時は、それどころじゃなかったけれど、思い返すと確かに格好いい。ヒーローみたいだった。それなのにわたしは、春紀に酷いことをしてしまった。後で謝ったほうがいい。


「そうだ。渡さんから、千賀君にスマホ持つように言ってよ」


 高橋さんが、いいことを思いついたように言う。


「え?」

「みんな、持つように言ってるのに全然持たないから」


 みんなって、誰だろう。春紀は必要ないからスマホを持たないのだと思っていた。

「本当だよ。ゲームとか好きなくせに、なんで持たないのか謎すぎる」 高橋さんに同調して、青葉君が後ろから会話に加わる。わたしの後ろは春紀が、高橋さんの後ろは青葉君が背中合わせに座っていた。


「渡さんから、ガツンと言ってやって」


 青葉君が、冗談とも本気ともとれる言い方で続けた。そんなこと言われても困る。わたしが言ったって聞くわけないのだ。


「ほら、渡さんが持てって言ってるぞ」


 青葉君は、今度は春紀に向けて言った。わたしは、一言も発していない。高橋さんと青葉君って、似ている。春紀が、強引に連れ回されているのがわかった。 春紀は、ゆっくり振り向いてわたしを見た。


「スマホもったら? 連絡とりやすくなるよ」


 わたしも最近まで持っていなかったので、人のことをとやかく言える立場ではないのだけれど、一応口添えしてみる。


「メールもろくに返さないのによく言うよ」


 春紀が、冷めた目で答える。パソコンのメールのことを言っているのだろう。返さなかったことなどない。ただ気づくまで時間がかかるのだ。


「スマホならすぐに気づくから、すぐに返すよ」


 わたしの主張に、春紀はいかがわしく首を傾げて、前を向いた。だから、わたしが言ったってしかたないのに、言い損じゃないか。青葉君を見ると笑っている。このカップル、一体なんなんだろう。


「ねぇ、午後から巨大迷路に行かない?」


 隣のテーブルから声があがった。


「えー、暑いじゃない」


 高橋さんが、露骨に拒否するので、ひやっとする。空気が淀む可能性を考えたりはしないのだろうか。隣のテーブルの四人は迷路に乗り気で、高橋さんと対立しそうだ。


「四人で行ったらいいんじゃないの?」


 高橋さんが、最もなことを言うと、藍華ちゃんが「福山さん達はどう?」と尋ねた。


「別にいいよ」


 福山さんと森沢さんは、お互い目で合図し合って頷いた。この二人は、多分気がいい。藍華ちゃんと高橋さんは仲が悪そうだ。なんで休みの日に仲が悪い者が一緒に遊ぶ必要があるのか、止めてほしい。位置的に、隣のテーブルとは、高橋さんを間に挟んでいて、わたしだけ何も答えてないかったから、当然、注目が集まる。


「じゃあ、わたしは高橋さんと回ってくるよ」


 わたしは高橋さんに誘われて来ているので、当然の答えだろう。隣のテーブルから「えーなんで?」という声が上がるので、ちょっとどうかなと思った。高橋さんがこちらを向いて、まじまじとした視線を注ぐ。なんか品定めされているような気がした。絶叫マシンに乗りまくるけど平気なのか、ということかもしれない。


「あんまりハード系はちょっと見学するけど」


 一応牽制は入れておく。


「男の子たちも、迷路に行くって言ってたよ」


 藍華ちゃんでも由夏ちゃんでもない女の子が言った。男の子というのは物理同好会の三人を指しているらしかった。後ろの席は、ゲームの話で盛り上がっていてこっちには介入してきていない。


「高橋さんは、青葉君と回ったらいいじゃない」


 その子が続けていうので、なるほどわたしは逆にお邪魔なのかと気づいた。迷路なら、全く恐怖はないので、わたしはむしろそっちがいいというのが本音だ。


「じゃあ、武ちゃんと千賀君と四人で行こう」


 高橋さんが名案を閃いたみたいに言った。高橋さんは、春紀とわたしの関係をどう思っているのだろう。 バレンタインのことは、あの後何も聞いて来なかった。カレーの日のことは知っている。彼女になるように頼まれていることも知っているのだろうか。それをこの場で暴露されたら、さっき藍華ちゃんに知らない振りをしているので、相当に感じが悪い。

 大体、高橋さんは春紀を好きだったはずだ。青葉君と付き合っている上、春紀と三人で連んでいるのが、わたしの常識では考えられない。明け透けな感じがするのに、腹の底が見えない。元より、話したことがほぼないのだ。今日はちょっとはまともに話す機会かなと思って来てみたら、この惨事だから参る。


「渡さん、乗り物駄目なんだったら、迷路の方がよくない?」


 藍華ちゃんが、言う。なんでそんなにみんなで迷路に行きたがるのか。わたしの周りにはあまりこういう我の強い女子はいないので、うまく対処できない。


「観覧車とか、メーリーゴーランドとかくらいなら大丈夫だよ」


 流石にそれはないと思ったのか、高橋さんが「そっか。じゃあ迷路に行こう」と案外すんなり折れてくれた。春紀も青葉君も反対しなかったので、みんなで、ぞろぞろ迷路に向かった。スタートゲートは、ベニヤ板で作られた簡易なもので、左右にコースが分かれている。コースの途中にいくつか見晴らし台が設置されていて、敷地は案外広い。人はまばらで、案内人もいない。勝手に入るらしい。各々好きな方から進むことになった。わたしと高橋さん、福山さん、森沢さんが、左に行き。他の人は右に進んだ。




「あの四人組超感じ悪い!」


 高橋さんが、急に、右手に別れた女子四人のことを言いだした。迷路のことを根にもっているのかと思ったけど、違った。由夏ちゃんが、春紀を狙っていて、わたしを牽制していることが、腹ただしいらしい。そんな印象は受けなかった。


「渡さん、負けちゃ駄目だよ」

「争ってないよ」


 本当にこの人は、自分の世界で生きているなと思う。わたしと春紀をくっつけたがる。わたしを応援してくれているので、味方ではあるのだけど、困る。実際、春紀とわたしじゃ不釣り合いすぎて、恥ずかしい。居た堪れないのだ。春紀が格好良くなければ、よかった。普通の見た目なら、誰も、わたし達のことをどうこう言わなかったはずだ。


「渡さんって、千賀君と付き合ってるの?」


 直球で、森沢さんが言った。


「そうだよ」


 高橋さんが、あっさり答える。わたしが口を挟む暇がなかった。春紀は高橋さんに、何をどう告げているのかわからないから、迂闊に否定もできない。


「えー、やっぱり! 千賀君、渡さんに超優しいもんね」


 福山さんが、感嘆をあげる。わたしを外して、話がどんどん進んでいる。


「千賀君と渡さんお似合いだと思うよ。ねぇ?」


 高橋さんが福山さんと森沢さんに向けて言う。二人はうんうん頷いた。


「ジェットコースターの時とか、超かっこよかったよね。ドラマみたいだったよ」


 森沢さんと福山さんが交互に春紀を褒めるのに対して、高橋さんが「でしょう。でしょう」と誇らしげに答えている。確かに、今日の春紀は彼氏として完璧だった。それだというのに、わたしは、酷い。自分勝手な態度で不快な思いをさせているのは、わたしだ。遊園地に来て乗り物に乗らないとか、気分を悪くして迷惑をかけるとか、春紀のコミュニティを荒らしまくっている。彼女のふりをすると言っておいて、尋ねられたら惚けるとか、酷すぎる。そういえばこの間、春紀に人を裏切らないとか言ったばかりだった。春紀がいいと言っているのだから、わたしが格差を感じてやるせないのは、関係ない。契約にのっとって業務を遂行すべきなのに、これは、完全な裏切りだ。春紀の方がよっぽど、まともだ。


「渡さんが、あの四人にがつんと言えばいいのに」


 高橋さんが、わたしを嗜める。流石に、そこまではできない。雰囲気からして、春紀は、高橋さんに、わたしを、ただの彼女だと言っているだけみたいだ。学校も違うし、まさかこんな状況になるとは思わなかったのだろう。


「揉め事になるようなことは、ちょっと、どうかな。向こうの気持ちもあるし」

「渡さんは、強気にでていいんだよ?」


 気が小さいので、無理だ。後でぐちぐち思うだけのわたしの性格を見越しているわけではないだろうけど、高橋さんは、人の言うことを聞かない割に、妙に鋭かったりするから侮れない。


「まぁ、渡さんがそれでいいなら、黙っているよ。でも、あたし達は、渡さんの味方だから!」


 あたし達というのは、森沢さんと福山さんのことだ。勝手に巻きこんで、二人ともちょっと困惑気味だ。高橋さんの有無を言わせぬ態度に、反発せず頷く感じは、わたしより、高橋さんに慣れているのだろう。何も言わずに、今日だけ乗り切ってくれれば、もう会わないから、万事うまくいくはずだ。わたしはいいので、大いに黙っていてほしい。

 話しながら適当に歩いていたので、自分達が迷路のどの部分にいるかわからなくなっていた。薄く背の高いベニヤ板で仕切られていて、先が全然見えない。おかげで日陰になっているので、空気が湿っていて涼しい。他に人気もない。夏の穴場アトラクションかもしれない。次の角を、右に行くか、左に行くか迷っていると、高橋さんのスマホが鳴った。


「見晴らし台にいるって。どこだろう?」


 青葉君らしい。向こうからこっちは見えるらしいけど、こちらからはわからない。


「ちょっと、行ってみる?」


 青葉君が、右とか左とか見晴らし台に繋がる道筋を指示してくる。高橋さんの後ろについて歩いていくけど、なかなか着かない。簡易な作りなのに、コースは結構複雑だ。見晴らし台が見える位置まで来ると、青葉君と春紀の姿がわかった。階段を登ると青葉君がお疲れさまモードで、わたしたちを迎えてくれた。




「この迷路、意外に難しくない?」


 高橋さんが、青葉君に言う。


「あなた、方向音痴だから」


 青葉君は、どちらかと言えば小柄で、がっちりしている。春紀とは、全然似ていないタイプなのに、高橋さんの守備範囲は広い。


「出口わかる? 出れそう?」

「いや、そりゃ出れるでしょ」


 藤沢さんと福山さんが、真面目にルートを探ろうとしている。わたしも隣りでコースを見渡す。そこに、春紀が来て言った。


「右に右に進むだけ」

「えっ?」


 三人の声がハモった。


「ずっと右に曲がり続けるのが、最短攻略ルートらしいよ」

「なにそれ、ずるい」

「あたしたち最初から駄目じゃんねぇ」


 他のメンバーは、先に出て、青葉君が高橋さんを心配して待っていたらしい。高橋さんは猪突猛進タイプなので、迷路とか苦手そうなのはわかる。だから、初めにあんなに渋っていたのかもしれない。


「左に進んでも出られるパターンが一つあるらしいよ。出口が別にあるんだって」


 春紀の言葉に、青葉君が、そのルートを手で示す。


「でも、最後のあの部分がここからじゃ見えないから、合ってるか不明なんだよね」


 青葉君が言うと、高橋さんが使命感に燃えるヒーローみたいに返した。


「よし、それ確かめに行こう!」


 森沢さんと福山さんが、賛同する。遊園地好きな集まりだけあってアクティブだ。わたしは右に進み続けたいけど、言えない。


「渡さん、体調大丈夫なの? 先にゴールしてもらったら?」


 青葉君が言うと、高橋さんはすぐに「そうだね。そうだね」と繰り返した。


「春紀も、心配してるから」


 青葉君が、春紀のことは一切見ずに、わたしに対してにっこり笑う。また、このカップルはややこしいことを始めたなと思った。


「千賀君と、先に出て休んでなよ。迷路攻略は、あたし達四人に任せて」


 森沢さんと福山さんも、二人の意図を汲み取った感じで、わたしに小さく手を振っている。どう答えるのが、正解か悩む。本気で体調を心配して、二人でゴールしろと言っているわけではない。この流れで断るのも微妙だ。


「じゃあ、外に出てるから」


 春紀が、すんなり答えるので、びっくりした。こんな時、いつもの春紀なら黙っている。大体、春紀の嫌がりそうなことを避けて、わたしが答えるのだ。そうか、今までわたしが余計なことをしていたのかもしれないなと思った。わたしが勝手にお節介を焼いて、先に先に言うから、春紀が自分で話すチャンスを奪っていたのかもしれない。春紀のタイミングを待っていなかった気がする。

 高橋さん達が、左手の階段を降りるのを見届けると、春紀は「こっちも行こうか」と優しい感じで言った。これが、今の春紀なのだろうか。普通の格好良い男の子だ。


「なんかいろいろと、ごめん。お昼のこととか、特に。彼女になってって頼まれてたのに、惚けちゃって。言っていいかわからなかったのよ」


 春紀の背中に向けて、ぼそぼそ言い訳じみて告げる。


「別に、無理に頼んでるのはこっちだし」


 春紀は、少しだけ振り向いて、歩きながら答えた。

「さっき、森沢さん達には付き合ってるって言ってしまったけど、あっちとこっちでややこしいことにならないかな?」


 むしろ、対応が逆だったらよかった。その方が春紀の理に叶っている。


「それって、高橋が言ったんだろ? 他に余計なこと言わなかった?」

「付き合ってるって言ってただけだと思うけど、他には何もいってなかったと思う」


 自分の感情を淘汰することに夢中で、あまり覚えていない。余計なことがどんなことか不明だけど、春紀が嫌がるようなことは言っていなかったはずだ。しかし、やはり制止するべきだったのだろう。どちらか一つでも春紀の意を汲んだ対応ができれば良かったけれど、これではあっちも立てずにこっちも立たずだ。


「そういう意味じゃないよ。ごめん」

「いや、別にわたしは何も」

「もう、こんなことないようにするから」


 やけに下手に出てくる。前を向いているので表情はわからない。機嫌を損なうより、逆に申し訳ない気になる。悪いのは、わたしなのだから、春紀が謝る必要などないのだ。わたしが、うだうだ考えていると、春紀が立ち止まった。後ろを付いて来ただけなので、迷路のことは頭になかった。振り向いた春紀の顔は深刻だった。


「道違った?」

「いや、合ってる」

「何それ、急に止まるから、びっくりしたわ。言っとくけど、わたし、地理とか苦手だからね」

「地理って」


 春紀が冷静に返すので、ツボにはまってしまった。わたしがしつこく笑うので、春紀は呆れてまた先へ進み始めた。本当に右に右に進むと、出口に着いた。視界が開けてすっきりする。ゴールの外には、先に出たはずの七人はいないかった。


「三時にフリーフォールに集合になってるから、どっかに行ったんだろ」


 春紀は、時計を確認して言った。二時を少し回ったところなので、まだ時間がある。やっぱり最後はフリーフォールで締めるつもりなのか。このまま春紀に伝言を残して帰りたいけど、彼女が途中で帰ったら、立場ないな。それは、流石に気の毒だ。


「誰も、千冬ちゃんにフリーフォールに乗れとか言ってないよ」


 春紀がわたしの胸中を察して、冷めた視線を注ぐ。


「嫌なら嫌って言えばいいのに」


 そんな正論言われても、別に乗って乗れないことはないから、躊躇してしまうのだ。せっかくの楽しい雰囲気を白けさせるのは忍びない。遊園地の醍醐味を根こそぎ否定するのは、物理同好会の集まり的にまずいのではないかと思っただけだ。春紀の伏目にした睫毛の先が、わたしの方向へ伸びている。当然のような沈黙が溜まっていく。この感じは、いつもの春紀だ。昔の名残が消えないのはお互い様で、春紀はどこかわたしを、しもべのように扱っている節がある。皆まで言わすなという体で、なんでもわたしに答えさせようとするのだ。春紀が自分で答えれば丸く収まるけれど、わたしが言うと角が立つという状況が、今まで幾度となくあった。助けてほしいのに、春紀が黙るから、わたしが返答しなければならなかった。そういう時は、自分の意に反することでも、春紀が拗ねない方を選ぶ。おかげで、少しくらい嫌なことなら我慢して、穏便に済ませたいという刷り込みが、脳内に埋まってしまっている。それを、今更、嫌なら嫌と言ってよかったと言われても、やるせない。


「オレが言えた義理じゃないか」


 春紀は自嘲した薄ら笑いを浮かべた。少しは、感じるものがあったのだろうか。落ち込まれると、余計に参る。


「別に、何も言ってないよ。それより、何か乗ってきたら? わたしに付き合うことないし」

「いや、いいよ」


 春紀は、即答した。確かに、体調不良の彼女を残して、一人でうろうろもできないだろう。


「木製コースターに乗りにいけば? 下まで付き合うよ」

「木製コースターにこだわってないから」


 森沢さんには、乗りたいと言っていたくせに、なんで隠すのだろう。知る気があったのかと聞くけれど、そもそも春紀に教える気がない。春紀と高橋さんってどういう関係なのかも、青葉君と春紀がいつ仲良くなったのかも全然知らないし、春紀は、本当にわたしに何も言わないと思う。わたしのことにも無関心で、何をいっても大概「ふうん」だ。それで今までずるずる来たから、聞く気がなかったと言われればそれまでなのだけれど、こっちに興味がないのに、相手のことを根掘り葉掘り聞く気にもなれない。その上、聞いてもどうせ素直に答えないのだ。こっちが意図を汲んであげないといけない。わたしは、何も言わない春紀の意に沿うように立ちまわってきたつもりだ。それが、余計なことだったのか。あるいは、今はもう、不要なこととなったのか。わたしは春紀をお子様扱いしすぎなのだろうか。


「じゃあ、何が好きなの?」

「千冬ちゃんの好きなの選びなよ」


 春紀が、ぼそぼそ返す。なんだ、やっぱり答えない。だから、わたしに委ねるのは止めてもらいたいのだ。乗りたい乗り物なんてない。


「じゃあ、観覧車にでも乗ろうよ。高橋さんにメールするから」


 わたしが言うと、春紀は黙ったまま二度頷いた。 わたしが、メールを打っていると、春紀に声がかかった。藍華ちゃんだ。由夏ちゃんと他の女の子もいる。声の方向へ春紀が振り向いて、わたしは春紀の後ろ姿が見える位置にいた。不穏な空気が流れる。春紀には彼女がいるというのに、まだ何かあるのか。わたしだったら、幕を下ろす。


「千賀君、一緒に観覧車に乗ってくれないかな?」


 言ったのは藍華ちゃんだったけれど、由夏ちゃんと一緒に乗ってあげて、という意味だろう。わたしの存在は背景の一環だ。このままその辺にあるものとして、無視してくれて構わない。


「今から乗りに行くところだけど」


 春紀が首の後ろに手を回しながら言った。馬鹿か。みんなで乗りに行こうとでも言うつもりか。由夏ちゃんと目が合った。笑顔を向けられないので、頭だけ下げる。


「二人で乗りたいの」


 藍華ちゃんが続けて言う。由夏ちゃんは、不安げな様子だ。他の子達ががわたしを見ている。わたしが空気を読んで、二人で乗ってくるように勧めればいいような感じに思える。


「二人で?」


 春紀が明らかに疎ましい声をあげる。わたしのいないところでやってくれればいいのに、息苦しい。テレビドラマでさえ、こういう場面ではチャンネルを変えるのに、リアルなのは辛い。


「渡さんと乗りに行くところだったんでしょう?」


 彼女がいる春紀が、彼女でないわたしと二人で観覧車に乗るのに、どうして由夏ちゃんでは駄目なのか、当然道理に合わない。わたしに注目が集まる。春紀までも、振り向いてこちらを見た。わたしに何か言えといういつものパターンに繋がるのかと、胃が収縮した。この件はどう考えても無理だ。さっき大人しく彼女と言っておけば、うまく対応できたのに、自業自得だ。春紀がいもしない彼女をでっちあげたのが、わかった気がする。彼女がいてこうなのに、いなかったらどうなるか、想像に難くない。


「あー、ちょっと行ってきていい?」


 春紀はわたしに言い辛そうに尋ねた。わたしは、すかさず「どうぞどうぞ」と両手を差し伸べて答えた。春紀はそれを見ると、わたしには何も返さず、後ろを向き直って言った。


「わかった。いいよ」


 意外な展開だった。春紀が自分で答えるとも、了承するとも予想しなかった。春紀は背中を向けているのでどんな表情か計り知れないけれど、由夏ちゃんは嬉しそうだった。


「戻るまで、あの辺に座っていなよ」


 春紀が、休憩所の方を指して言った。スマホがないって不便だ。なんで春紀は持たないのか、謎だ。

 春紀と女の子四人が歩いていくのと反対方向の休憩所まで来た。長方形のプレハブ作りで、自販機が五つ横並びに設置されていた。青いベンチがコの字型に並べてある。隣に喫煙コーナーが設けられていて、もくもくと煙を吹かしている父親らしき人が数名いた。

 ベンチは丸ごと開いていて、缶コーヒーを買って迷路の出口が見える位置に座る。高橋さん達は、まだ迷路から出てこない。あの道は間違いだったのかもしれない。

 今日は一日天気がいい予報だったけれど、怪しげな雲が出てきている。ゲリラ豪雨とか止めてほしい。朝の感じに比べて、気温もそこまで上がっていない気がする。室内で休んでばかりいたので、わからなかったというのが正しい。

 高橋さんに誘われてきたのに、ほぼ一緒にいなかった。わたしと遊びたいのではなかったのかな。あっちもこっちも癖の多い人ばかりだ。わたしの考えの範疇を超えているから、行動の動機が見えない。人見知りな方じゃないけど、今日はいろいろ浮いていたなと思う。あの春紀に助けられてばかりだった。

 思い返せば、千賀家の集まりを除いて、春紀と他の人とわたしという関わりがなかった。春紀が意外と普通であることに拍子抜けしてしまった。脱力感とでもいうのか、親離れされた教育ママとか、そういう感じがした。面倒見てあげているつもりでいたけど、余計なお世話だったという事実を突きつけられた。まどかの言う、わたしが春紀に対して甘いというのは、そういう意味だったのかもしれない。

 



 春紀が去ってから、しばらくして高橋さん達が出口に見えたので、迷路の前に戻った。左からのゴールに失敗して、結局右ルールに従って出て来たらしい。

 高橋さん達より先に、春紀が戻って来てくれたら、素知らぬ顔でやり過ごせるからいいなと思っていたけれど、今日はことごとくタイミングが悪い。


「ちゃっちい作りなのに、舐めてたわ」


 高橋さんは、迷路に行くことをあんなに渋っていたのに、四人の中で一番悔しそうだ。春紀が何処に行ったか聞かれて、お手洗いに行ったと答えた。こっちでは彼女になっているから、他の女の子と観覧車に乗りに行ったとは言えない。高橋さんが知ったら、大騒ぎ

になりそうだ。

 三時までまだ時間があるから、森沢さんと福山さんはもう一度木製コースターに乗りに行った。わたしは、休憩所で春紀を待つと言うと、高橋さんと青葉君も一緒に来ると言う。


「いやいや、二人で回っておいでよ」

「うん。千賀君が戻るまで一緒にいるよ。あたしが誘ったんだし、一人にできない」


 高橋さんが最もらしいことを言うけれど、一緒に待たれると困る。春紀が戻るまで、早く見積もっても一〇分はかかるのだ。


「別に座っているだけだから、大丈夫だよ。千賀君、遅くなるよ。ついでに、観覧車が空いているかどうか見て来てくれるように頼んだから」


 春紀が、わたしの家来みたいなことをするわけがないから、下手な言い訳だったかなと思ったけれど、高橋さんも青葉君も、特にそのことには踏み込んでこなかった。 結局、三人で休憩所で待つことになった。 高橋さんと青葉君が一つのベンチに隣同士に座り、わたしはその横のコの字の縦線の部分に座っていた。


「二人っていつから付き合ってるの?」


 素朴な疑問を尋ねる。言った後、逆質問をされたら困ると思ったけれど、それはなかった。春紀が何か言っているのだろう。


「中三の冬くらいからだよ」


 一年半か。春紀のことを好きだと言っていたのは中三の二学期に入ってすぐだった気がするけど、移り気なわりに、付き合い出すと長いタイプなのだろうか。それより驚いたのは、二人の橋渡しをしたのが春紀ということだ。あの春紀がキューピッドなんてするのか。できるのか。女嫌いで、恋愛に興味がなく、物言わずのあの春紀だ。にわかには信じがたいけれど、本人達がそう言っているのだからそうなのだろう。そんな人の世話まで焼くのなら、わたしが春紀にあれやこれや気を遣って、いろいろしてあげることは、本当にもうないのだなと思った。元々そんなことしてくれとは、頼まれていないから、全部わたしの老婆心だったということだ。凄く馬鹿馬鹿しい。怒るのは筋違いだけど、春紀はわたしのことを、本気で小間使いくらいに思っているのではないだろうか。世話を焼いていると感じてしまうことは、しないようにしよう。精神衛生上それがいい。


「春紀と付き合うの大変じゃない?」


 青葉君が、真面目な感じで言った。春紀の友達で、高橋さんの彼氏だから、相当灰汁が強い人だろうという想像とは違って、普通っぽい。


「そんなことないよ」

「渡さんは、寛大だな。あいつ考えに癖ありすぎるからさ。誰もそんなこと言ってないのに勝手に思い込むじゃん。そんで、変な方変な方に進んでいくだろ。嫌になったりしないの?」


 青葉君が、自分のことのように、なんだか申し訳ない感じで言った。

 この人は、春紀のことを凄くわかっている。あの偏屈な性格を知っていてなおも友達なんて、好奇心が強いのか、それとも許容量が大きいのか、とにかく奇特な人だ。春紀はわたしには何も言わないけど、青葉君にはいろいろ話したりしているのだろうな。わたしより、凄いのはこの人だろう。


「わたしは、別に、慣れてるから、今更変わらないけど」


 わたしは、自分だけが春紀の面倒をみている気になっていた。春紀はとっくにそんなんじゃないのに、思い上がり甚だしくて、恥ずかしくなった。変われていないのはわたしだけだ。


「そっか。でもまぁ、渡さんのことは、ちゃんとすると思うから、もうちょっとだけ時間あげてよ」

「何それ、どういう意味?」


 高橋さんが、怪訝な顔で青葉君を問い詰める。


「ないしょ」


 青葉君は、笑った。高橋さんは「全然かわいくないんだけど」と青葉くんの頬をつねった。意外にかわいいカップルだ。

 青葉君は、わたしが本当の彼女じゃないと知っているのだ。それで、名目上の彼女なんて、つまらないことを頼むのは止めるように、説得してくれているのだろう。春紀、いい友達がいるのだな。わたしの出番は本当にもうなさそうだ。


「あ、千賀君帰って来たよ」


 高橋さんの視線の先を見ると、春紀が走ってくるのがわかった。なんで走っているのか。由夏ちゃんを泣かせて逃げてきたとかいう落ちじゃないだろうな。いや、もうそんな心配は必要ないのか。わたしも、相当、思考がおかしい。


「お疲れ。観覧車空いてたか?」


 青葉君が、春紀に尋ねた。春紀は、息切れしつつ「え? 空いてたけど」と短く答えた。


「空いてるみたい。よかったね」


 高橋さんが、わたしに向かって言うのを、春紀が怪訝な顔で見る。


「でも、もうすぐ三時だから、フリーフォールに行かないと」


 青葉君が言うのを高橋さんが制した。


「いいじゃん、別に。あたし達が、二人は帰ったって言っておくから、観覧車乗ってきなよ」


 春紀がわたしの方を向いている。ちょうど高橋さんと青葉君の後ろにいて、二人からは顔が見えない位置だったので、右手を拝むように鼻の前につけた。


「まぁ、どうせみんな自由にしてるしな。じゃあ、オレら行くわ」


  青葉君と高橋さんが、話を進めるのを、春紀は黙ったまま聞いている。


「じゃあ、渡さん、またメールするね」

「うん、また」


 わたしが調子よく返事をすると、二人はフリーフォール乗り場に行ってしまった。残された春紀は、雰囲気で大体の状況を察しているようだった。


「諸々込みで、ジュースでも奢りますよ。何がいい?」


 わたしが言うと、春紀は短く「じゃあ、缶コーヒー」と返した。




「由夏ちゃんと何話してたの?」


 小さめの観覧車とはいえ一〇分はかかる。沈黙は辛い。プライバシーに介入するつもりじゃなかったけれど、聞いてしまった。木製コースターにもフリーフォールにも乗れず、春紀に悪いことをしてしまったから、何か好きな物に乗ればと勧めたが、観覧車に乗るという。わたしに気を使わなくていいよというと「いや、観覧車が好きなだけ」と冷たく返された。だったら好きな乗り物を聞いたとき、そう教えてくれればよかったのに、なんでこう隠しまわるのだろう。

 春紀は、乗った瞬間からずっと外ばかり見ていた。あまりわたしと話す気はなさそうだった。


「由夏ちゃん?」

「え? 由夏ちゃんとさっき観覧車乗ったんでしょう?」


 春紀が驚いた顔をしているのに、驚く。


「いや、よくわかったなと思って。一緒に乗ろうって言ってたの羽山だったろ」


 普通にわかるだろう。わざと恍けている様子はない。どれだけ人に関心がないのか、呆れる。


「女の子なら、大体わかると思うよ」

「ふうん」


 男の子でも、大抵わかるはずだ。春紀は本当に恋のキューピッドなんてやったのかな。大いに疑問だ。自分に好意を抱く高橋さんを、面倒くさいから青葉君に宛がっただけじゃないのか。二人とも仲良さそうだからよかったけれど、そうだとしたら結構あくどい。むしろ最悪だ。


「彼女のこと聞かれた」


 春紀は、観覧車の窓枠に肘をついて外を向いたまま言った。春紀は奥に、わたしは入り口側に対角線上に座っている。由夏ちゃんはどういう意図で春紀を観覧車に誘ったのだろう。思い出作りか、彼女がいても告白するつもりだったのか。(密室で告白とか、振られたとき気まずすぎるし、それはないと思うけど)思い出作りに乗ったのだったら、もっと楽しい話題をすればいいんじゃないのだろうか。

 片思いの人と観覧車に二人。わたしだったら、耐えられないから、最初から乗らない。息をするのも気になるし、緊張で心臓が壊れてしまうんじゃないかと思う。春紀と乗っても結構ドキドキする。やっぱり格好いい。遠くを見ている春紀の横顔は、完璧に美しかった。横顔が完璧というのはなかなか難しい。じろじろ見すぎたので、春紀がこっちを向いてしまった。


「千冬ちゃんの名前なんて出してないよ。ただの願望を言っただけ」


 別にそういう意味で見ていたわけではなかったのに、誤解を生じさせてしまった。願望なんてあったのか。春紀は、彼女なんていらないのだと思っていた。彩歌ちゃんと知り合ったから、願望ができたのかな。それはそれで、なんだかくさくさする。たぶん焼きもちなのだろうけど、いらない物でも人に取られるのは嫌だという感覚に近い。こんなのは、人として駄目だ。


「ハル君にも、願望なんてあるんだね。ちょっと驚き」

「あるでしょ、そりゃ。オレことなんだと思ってるの」


 本当に、なんだと思っていたのだろう。なんだかすごく惜しい気分。逃した魚が惜しい気分だ。


「願望って何? たとえば木製コースターに乗ってデートするとか?」

「だから、コースターはどうでもいいって」


 春紀の顔が日差しにまみれて、歪む。わたしの正面の席に座りなおすように勧めると大人しく従った。わたしは後頭部をがんがんに照りつけられていた。立ち上がった、くらくらするんじゃないかと心配になった。春紀は、正面に座っても、やっぱり遠くの方を見ている。他に見る物なんかないから、当然そうなるのだけれど、わたしはあまり外を見たい気になれない。観覧車は平気だと思っていたけど、苦手なのかもしれない。ビルの上から見る眺めは平気なのだけど、浮いている感じがどうも好きじゃない。


「千冬ちゃんは、理想のデートあるの?」


 外を見たまま春紀が言った。無趣味すぎて、特に何もない。人のことを聞いておいて、自分はないと言うのもどうかと思った。


「そうだね、強いていうならモントレオリーブのホワイトマカダミアチーズケーキを一緒に食べに行くことかな」


 理想にしては、リアルで、ハードルは低い。彼氏さえできればすぐに叶いそうなのに、ちょっと情けない。


「それって、駅の前のケーキ屋?」

「そうそう。あそこのホワイトマカダミアチーズケーキは本当に美味しいの」

「食べるケーキまで指定すんの? 違うの頼んで、交換したりしないの?」

「交換?」


 ふうん、で流すかと思っていたけど、割と突っ込んで聞いてくる。観覧車の回るスピードが遅いからだ。


「一口どうぞ、みたいなの。女の子って好きだろ」


 確かによくある光景だけど、春紀のいう女の子とは、誰をサンプルにしているのだろう。


「あぁ、わたしそれ無理。女の子同士ならいいけど」 「え?」


 これはこの間クッキング部が、内部分裂しかけた案件だ。わたしも木部ちゃんも甘党の男の人が苦手なのだ。木部ちゃんが、作ったババロアを食べている千秋君に「友達だからオッケイだけど、男としては完全にアウトだよ」と言い放った。千秋君は、男女差別だと、ずっと文句を言っていて、わたしが木部ちゃんに賛同すると、離婚だと三行半を突きつけられてしまった。「最初から嫁にあげた覚えはないよ」と木部ちゃんが言うと、千秋君が泣いたふりをして謝るという、コントが繰り広げられたばかりだ。


「彼氏は甘い物なんて食べたら駄目だよ。百年の恋も冷める」

「何それ、自分はめちゃくちゃ甘党のくせに? 無茶苦茶じゃない?」


 千秋君と同じ反応だ。春紀なんて別に自分は甘党じゃないのだから、いいじゃないか。確かに理不尽な話なのだけれど。


「いいでしょ別に、理想なんだから。わたしは好きな人と好きなケーキを食べながら、そんな甘い物よく食えるな、とか言われたいの。乙女心は複雑なのだよ」

「乙女……」


 春紀は、ちょっと笑いかけて、すぐにそれをかみ殺した顔をした。失礼だなと思ったけど、気遣いのひとひらが見えたので流した。


「そっち、日が当たり過ぎてる。場所変わるよ」


 春紀は、やっとわたしの方を見て言った。


「もう、着くから、大丈夫だよ」


 由夏ちゃんにした対応と同じなのか。まともに、紳士的だ。社会性があって、優しくて、格好良くて、ハイスペックな春紀か。性格が残念だから、外見だけ好きだったのだ。中身も、良くなったら、わたしは、春紀を本当に好きになったりするのだろうか。考えてなかったな。想像もしなかった。

 地上に着くと、従業員の男性が扉を開けて、外に出るよう案内をしてくれた。立ち上がると、案の定、くらっときて、一瞬よろめいてしまった。春紀が、後ろから支えるようにしてくれるのを、苦笑いで制する。今日はことごとく格好悪い。

 帰りの電車の中でも、春紀はずっと気遣って、席に座れるようにしてくれていた。今まで、春紀と二人で出かけることなんてなかったから、こんな風に対応されることもなかった。わたしのことを、しもべ扱いしているというのも、わたしの思い込みなだけのように思えた。春紀を好きな女の子達は、春紀のこういう部分を見て、好きになったりしたのだろうか。

 春紀が家まで送ってくれると言うのを、自転車に乗って帰るからいいと断わった。駐輪場に入る前に振り向くと、春紀は不安げにこちらを見ていた。別に、大丈夫だし、そんな大層なことなど何もない。ただ、普通に格好良い男の子になってしまった春紀を、わたしは、不思議なくらい好きじゃなかった。

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