第6話:江戸時代じゃねーの?
「藤吉郎??はて??どこかで聞いたような・・・・?」
「・・・・・・??・・・・??あっ!?
俺が世話になってるおっさん藤次郎だ!
お前、おっさんの知り合いか?もしかして、親子?」
「いや、それないから・・・・」
真顔のまま藤吉郎は手をヒラヒラさせて否定した。
「だよな、うんうん始めから分ってたしぃ
わざと聞いてみただけだしぃ~
知ってたしぃ~」
俺は意味もなく戯けてみせた。
「おっと、そうそう俺は、半田良太 半君でも良ちゃんでも良ちんでも
好きに呼んでくれ」
藤吉郎はキョトンとして俺をみている。
「御主、なんだか珍しいなりをしているな」
「あぁ、これ学ランね、つってもこの時代にはないから
わからねぇ~か?
俺はねぇ、遠い未来からやってきたナイスガイ!
いわゆるタイムストリッパーさ!!ストリッパーっても
脱いだりはしねぇ~ぜ!」
ドラマや漫画であればこういう事は隠したりするもんだろうが
俺は堂々と答えてやった。
これが漫画であればバックに効果線、どーんって感じだ。
深い考えもなく、未来への影響なんて事も考えていないんだから
隠すってことが頭から抜け落ちていたのも当然だ。
そんな軽い気持ちで答えてやったものの
藤吉郎の頭の上には「?」がいっぱで混乱している様子だった。
「もしもーし聞いてるか??」
「あぁ、すまない・・・・
言っている事が理解でできないんだが・・・」
「ん~やっぱわかんねぇ~か・・・
俺は今よりずぅ~~~~~っと先の時代からやってきたってこと
なんだけど、信じらんねぇ~よなぁ、俺だっていきなりそんなこと
言われたら、頭おかしいんじゃねぇ~かって思うもんなぁ」
「御主の言っている事が真なら、御主のいた世界で
この尾張はどうなっている?幕府は?」
「いやいや、日本に尾張って県はねぇ~よ!
それに幕府ってなんだよ!・・・・
いやちょっとまてよ、何か聞いたことあるぞ・・・
あれか?将軍様か?」
「足利か?」
「あしたか??、いや明日じゃなくて暴れん坊将軍っての
がいたはず・・・多分だけどな・・・」
「御主の時代の将軍様は暴れているのか?」
「いや・・・暴れてるかどうかは知らんけど、そう呼ばれてるみたいだぞ」
「他には何かないのか??」
「喰いつくねぇ~藤吉郎君よぉ~でもなぁ、マジで歴史の
事とか俺全然わかんねぇ~からな・・・・
単車や車のことなら詳しいんだけどなぁ~!」
「たんしゃ??何だそれは??」
「単車はい~ぞ、多分見たらちびるぜ!
馬40~50頭くらいの力をもった乗り物なんだけどな
めっちゃ早いぞ!」
「ほぅ、そのような乗り物があるのか?」
興味をもったのか藤吉郎の目は子供のような目をしていた。
が俺はそれを遮るように
「まぁ未来の話はまたにしてよ、それより藤吉郎はなんで
縛られてたんよ??」
本当は未来の自慢をしたい、マックや吉牛の美味さ、コンビニの
便利さを懇々と話してやりたい・・・が俺は言ってしまったのである。
(犯人は俺が見つけると)・・・
何であんなこと言ってしまったんだろう??
「何で縛られたか、わしにも皆目見当もつかない・・・
ただ歩いていただけなんだが・・・」
「えっ!?マジで??」
「まじ??ってなんだ??」
「本当かってことだよ!!」
「わしは嘘は言っとらんぞ!」
「だから、マジかよって言ったんだって」
「おぅ、そうか・・・それならマジじゃ」
「歩いてただけで縛られるって江戸こえぇ~~!」
「江戸?ってなんじゃ??ココは尾張だぞ」
「えっ!?この時代って江戸だろ??」
「なんじゃそれは、江戸なんて時代はないぞ」
「いや、だって俺、刀持った武士にあったぞ」
「当たり前じゃろ!武士なんだから」
「だから江戸なんだろ??E・D・O!」
一向に話が噛み合ないが、どうやら江戸じゃないらしい
江戸時代って聞いたことがあるんだけどなぁ~
こんな事なら少しは歴史の勉強をしておくんだと思った。
「まぁ、いいやっ、ぶっちゃけ時代なんてなんでもいいし
それよか、いきなり歩ってて縛られたって言ってたが
なんで歩ってたんだ?」
「そりゃ、走るような事でもあれば走るが普通は歩くだろ」
「じゃなくてよぉ~なんでこの村に来てたかっつーことよ」
「ああ、そっちか」
「そっちかって藤吉郎って意外と天然だな」
「てんねん・・・」
とまで藤吉郎が言いかけた所で
「いや、それはもういいから、続きたのむわ」
「実はな、この村のはずれに噂の刀工がいるって話を
聞いてな・・・」
「まて、まてまたおかしなこと言ってるぞ!
登校がいるってなんだよ?」
話を遮る形でつっこんだ。
「刀工と言ったら刀を作る人じゃ、噂ではその人に刀を作って
もらった人間は歴史に名を残すと言われてるらしい・・・」
「マジか?」
「ああ、マジじゃ」
「おっ!?早速覚えたじゃん」
藤吉郎はニヤっとして続きを話した。
「でその刀工を探しにきてるとき、たまたま荒らされた畑があった
ってだけなんじゃが」
「まぁ、そりゃそうなるわな、荒らされた畑に見知らぬ奴
見知られてない俺が言うのもなんだけどなアハハハ」
こんな感じで噛み合ない事も多々あったが俺らは話をするうちに
次第に打ち解けていっていた。
「なにわともあれ、犯人を見つけられないにしても
無実の罪ははらさないとな、ワトソン君」
「わとそん・・・?」
「気にするな、俺がホームズやるからお前がワトソンやるしか
ないだろ」
歴史を知らない俺は後の豊臣秀吉をこともあろうかワトソン君に
していた。