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戦国Trilogy  作者: 白猫
42/49

第42話:少年と特訓


「従順な家臣より何を考えておるか分らない方が面白いではないか」

意外というか言われてみれば予想通りと思わざるを得ない答えであった。


「まぁ、そうかも知れんけど、俺は気味悪いのは嫌だな

 白か黒みたいなはっきりした面白さならいいけど

 アイツって灰色のような感じだろ、まぁ信長がいいってならいいけど

 後になって文句言うなよ!」


「そんな心配は無用じゃ、それより良三はいつワシの元へ来るのじゃ?」


「だから言ってんじゃん、いかねぇ〜よ誰かの下につくなんてのも

 まっぴらご免だしな、なんでそこまで俺にこだわるんだよ」


「特に理由はないが・・・」


「面白そうか?」

言いかけの言葉を奪うように俺が放った。


「ははは、その通りじゃ、だが理由はそれだけではないんじゃ」


「ほぉ〜何か気になるなぁ〜」


「まぁ、気にする程たいしたことではないんじゃが

 実はまだ幼いころ良三に似た男に会ったことがあるのじゃ

 その男が言うたことが忘れられなくてな

 お前と一緒にいるとまるで・・・・」


その後しばらく言葉につまり沈黙のあと信長はこう続けた。

「まぁよいただの戯れ言じゃ」


「ふ〜ん、その男は何て言ってたんだ?」


「それは秘密じゃ、ハハハハ」


「何だよそれ、そこまで言っといてよぉ」


「ワシは知らぬが有名な先生の言葉らしいからなひょっとして良三も

 聞いたことがあるかも知れんな、聞きたいならワシの元へ来い」

 

「それかよぉ!じゃあいいわ」


「ワシはいつでも待っておるぞ」

信長は楽しそうに笑っていた。


明智も無事引き取ってもらったことだしこれで俺も

ゆっくり眠れるなんてことを思いながら帰路についていた。


天翔の足も軽やかに感じる。

山の中だからなのか特に心地よい、これがマイナスイオン効果か?

「風が気持ちいいな」

そんなことを思い目をつぶった瞬間だった。


バチィーン

激しい音とともに顔面をひっぱたかれた感覚が。

多分、木の枝か何かにぶち当たったのだろう。


俺は天翔から真後ろに放り出された。


相当転がったはずだろう

「いってぇ〜〜〜!」

顔に手をやると生暖かい感触。


「うわっ、鼻血出てんじゃん!最悪」


「あれっ!?天翔は?」

俺はキョロキョロし辺りを見回したが天翔の姿が見当たらない。

俺を落としたことに気づかず先に行ったか?

・・・っまさかぁ〜


「お〜い天翔、お〜い」

一応叫んでみたものの気配すら感じない、鳥の囀りがシーンとした

中に響いているだけだった。


「ちっ、しゃ〜ねぇ〜な〜・・・歩くか

 はぁ〜天翔いないんじゃ、また迷子確定じゃん」

俺は鼻血を拭いブツブツいいながら歩いていた。


足も痛くなり、そろそろ休むかと思ったとき

騒がしい声が聞こえてきた。

しかし焦る必要はないのは声を聞いて分った。

その声の主達は明らかに子供の声だったからだ。

声の方に向かい歩いていくと、一人の子供が5人の子供に

囲まれている場面だった。

集まっている子供達は見た所小学生3、4年生

10歳くらいだろうか


「卑怯だぞ、一人づつ勝負しろ!」

囲まれている子供がそう言った。


まぁ、そりゃそうだな、しかし子供の喧嘩に首を突っ込む訳にも

いかないからな、なんてことを思いながらも俺は手助けする訳でもなく

ことの成り行きを見守っていた。


が多勢に無勢、流石に5対1では勝負にならないな、

一人づつなんてことを言っても馬鹿正直に一人づつ

かかってくる訳ではないし俺なら5人でも負けないけどな

さてあの少年はと・・・

「お〜お〜やられとる、やられとる」


その時、囲んでいる少年達の二人が棒っきれを持ち出した。


パシッ

俺はその棒が振り下ろされる前に掴んだ。

やられていた少年は頭を抱えうずくまっていた。


「何すんだよ、離せよ!」

棒を掴まれた少年がまくしたてる。


「これはいかんでしょ、ただでさえ5対1なのに武器まで使うか?

 さすがのお兄さんも黙って見てる訳にはいかんよ」


「うるせぇ〜!」

少年達は口々に歯向かってきたが流石に大人相手だと手は出せない。


「お兄さんが怒らないうちに引いといた方がいいんでないの?」

俺は思いっきり睨みを利かしてやった。

その後の展開は予測通り、5人とも一目散に逃げていった。


俺はやられていた少年に声をかけた。

「おしかったな」


「おしくなんてないよ、アイツら卑怯だよ、

 5人なんて勝てる訳ないじゃん」


「ほぉ〜そりゃそうだ、んで負けたのか?」


「見てたんだろ、どう見たって大負けじゃん

 なんでもっと早く助けてくれなかったんだよ!」

その少年は泣きそうなのを我慢してるかのようだった。


「俺が助けた瞬間お前の勝ちは無くなるぜ

 それでもよかったのか?」


「でも助けてくれないから負けたんじゃ」


「いいか少年、よく聞けよ、勝ち負けってのは自分で決めるんだぜ

 自分で負けたと思ったらそこで負けだぞ、逆にだ

 負けてないと思えば何度でも向かっていけるんだ、勝つまでな」


「でも・・・・」


「でもなんだよ」


「だったら今日はどうすんじゃ、こんなにやられてるのに」


「今日か?今日はまだ途中と思え、続きを今日するか

 明日にするかはお前の気持ち次第だよ、まぁ俺なら

 すぐ返しにいくけどな」


「・・・・・」


「良いことを教えてやろうか、安西先生って有名な先生がな

 こんなこと言ってたぞ

 <諦めたらそこで試合は終了だよ>だとよ」


「諦めたら終了?」


「そうだ、でお前はどうするよ?諦めるか?」


「・・・・ない」


「何?聞こえないぞ?」


「諦めない」


「よしっ、よく言ったぞ

 ここで会ったのも何かの縁だしな俺が勝つ方法を教えてやるよ」

そう言って俺はこの少年にパンチの出し方と急所

そして多人数での喧嘩のやり方を教えてやった。


「テンプル、ジョー、チン、ストマック、レバー、後みぞおちな

 相手が大きい場合はココ、小さい場合はココを狙え

 それ以外はむやみに拳を振り回すな、隙が出るだけだしな

 んで蹴るのもやめとけ、バランスをくずすからな

 ほれ、打ってみろ?」


「こう?」

少年は俺が手を出した所にパンチを打ち込む。


「おっ、いいじゃん、そうそうそんな感じだ」

時間が経つのを忘れ少年と特訓をしていた。

そして気がついた時は既に陽が沈みかけていた。


「どうよ、ちっとは自信ついたか?」


「よく分からん」

言葉とは裏腹に少年は汗だくになりながらも

清々しい顔をしていた。


「頑張れよ少年!おっ、そうだお前名前は?」


「吉法師・・・」

名前を告げると少年は深々と頭を下げ帰っていった。

きっぽう??何だか若いのに凄げぇ〜名前ついてんな・・・

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