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戦国Trilogy  作者: 白猫
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第4話:決意


藤次郎の家は山を一つ超えた先の山間にあった。

そこは少し高い場所にあり村の様子が伺える場所だった。


俺は遠慮なくここで水を借り、飯を食わしてもらった。


シャワーなんてしゃれたものはこの時代にはないものの

井戸水で行水ってのもこの季節では乙だなぁと感じた。


それに昔の飯はまずいって誰かが言っていたような記憶があるが

腹が減ってたってこともあるかもしれないが結構美味いものだった。


(藤次郎のおっさんも良い奴だしな)


腹を満たされた俺は庭にある石に腰をおろし

タバコに火をつけ残りの本数を数えた。


「残り、14本かぁ~・・・この時代ってタバコって

 あるんだつけ??」

過去に飛ばされたってのにまず俺が心配してることが

タバコの事ってのもなんだか切なくなる。


「ふぅ~~~」

煙を思いっきり吸い出し、吐く。

そして、昨日の事を思い出しこれからのことを考えてみる。


「こっちに飛ばされたのは当然あの頭やられたときだよな」


「・・・・・・」

「・・・・」

「・・・」


やばい、何も思いつかない。。。


そりゃ、そうだ、歴史を勉強したわけでもなく

過去に詳しいわけでもなく

何かを発明するような実験もしたことがない。


俺にできることって言ったらバイク乗る事

喧嘩すること、学校さぼること、武士から逃げること・・・


「って俺だめじゃん凹むわぁ」


「だいたいあれだろっ、過去に飛ばされた話って

 いきなり有名人にあったり、料理つくったり、中国に飛ばされたりって

  感じだよな。」


「当てはまることゼロだな

 どう考えても藤次郎のおっさんは有名人には見えないし

 よく分からない言葉はしゃべっていたものの、中国語にも思えない

 料理もできねぇ~しなぁ~~」


そう言やぁ、前に言われたことがあったな。


「お前らなぁ、遊ぶなとは言わんがいつかツケを払わにゃ

 いけんときがくるぞ」


俺らはいつも通り遅刻をし、特に勉強するわけでもなく校門をくぐった

ときだった。


「おいっ!お前ら今日も遅刻か!」


そう叫んだのは俺と透の担任でもある、野口だつた。

常にジャージ姿に竹刀を持ち歩いているコテコテの体育教師

どちらかと言うと強面の部類に入るだろうか

しかし、話の分かる数少ない先生でもあった。


堂々と遅刻をした俺らは野口に見つかり体育教官室につれていかれた。

普通の先生ならそこで説教の一つでも・・・ってな感じになるんだろうが


野口から発せられた言葉は

「お前らコーヒーでいいか?」

であった。


調子にのった学が答える。

「俺、砂糖多めで!」


そして出てきたコーヒーに口をつけると


「にがっ!」学が叫ぶ。


「あぁ、お前のだけ砂糖入れ忘れたわアハハ」

「それよりお前らなぁ~毎日遅刻してくるけどもうちっと

 なんとかならんか?」


真剣な顔で聞かれたことに、特に遅刻している理由もない

俺は「なんとかって言われてもなぁ~・・・」

と曖昧な返事をした。


うん、うんと残りの3人も相槌をうつ


「今はそれでいいかもしれんがなぁ~

  お前ら、将来のこととかなんか考えたことあるか?」



「馬鹿にすんなよ、それぐらいあるに決まってんじゃん」

今度は透が答える。



その時、野口の顔が少し明るくなったように感じた。

「そうかっ!あるのか!将来何がしたいんだ??」


「いや・・・ぁ~~・・・」

先程の勢いとはうって変わって急に吃りだす透


「なんだよさっきの勢いはよぉ~」

のぼるが突っ込みをいれる。


突っ込みを入れられしばし考え、出した透の答えは

「う~~ん、そうだ!あれだっ!俺は歴史に名を残す

 ような人間になることだ!」

かなりドヤ顔である。


あきれ顔の野口は

「あのなぁ~金城、歴史に名を残すっていってもな色々だぞ

 政治としてなのか音楽なんかの芸術なのか、スポーツなのか

 犯罪ってのもあるんだぞ」


「アハハハお前の場合犯罪だろうな!!」


俺らは指を指し爆笑した。それを遮るように野口が冷静に話しだす。


「まぁ、金城が犯罪者で名を残すとは先生は思わんし

 夢はでかい方がいいのもわかるが・・・・

 大きい夢は土日に見ろ!そして平日は現実を見ろっ!」


「遊ぶのはかまわん、喧嘩するのもエネルギーを爆発させる

 場所が分からないからだろう・・・

 今、他の奴らは授業を受けてる、その間授業を受けていない

 お前らはいつかこのツケを払わなければいけない時がくる

 勿論、これは授業を受けている奴らにも言えることだけどな

 お前らが喧嘩をし、殴り殴られる痛みを勉強しているときに

 平和にしている奴はやはりどこかでそれを学ぶ時がくるはずだ」


「せんせぇよぉ〜何言ってるかさっぱり分かんねぇ〜んだけど

 学なんて頭から煙り出てんぜ」


「う〜ん・・・つまりだな、あの時、ああしてればなぁ〜

 なんて後悔するのは一生懸命やってない証拠ってことだ

 まぁ、お前ら風にいうとイケてないって事だな

 そういう生き方はするなよって話だ」


「なんか、分かったような分からないような・・・・」


「いや、俺は分かったぜ」

と学は自信満々に答えた。

「ようは歴史に名を残すために後悔しないように

  頑張れよってことだろ?」



「(竹内 学)お前には特別もう一つ教えてやろう

  後悔するなとは言ったが反省するなとは言っていないからな

  お前は頑張るより先に反省を覚えた方がいいな

  猿でもできるくらいだからな」


「あははは、そうだぞ学、犯罪者にならない為にもな」

のぼるがさらにツッコむ。



「お前らうるせぇ〜よ、俺が歴史に名を残しても

 一人で頑張ったことにするからな」


「はい、はい」

一同の呆れた返事が体育教官室に響いた。





ツケってのはこんなに早く回ってくるものなのか?


ん〜きっと誰かがダッシュで回したんだろうな。


それにしても、学校さぼって遊んで、喧嘩してたツケで

過去に飛ばされるってのは妥当なツケなんだろうか??

やっぱ利息とかがついたのかぁ〜・・・・まさか!?トイチ??


まぁ、結局の所

いつまでも悩んでても何も変わる事はないだろうし

元の世界に戻れる方法も保証も当然ない。


なら俺はここで精一杯生き、それこそ歴史に名を残す

ような事をしてやれば、いつかアイツらにも届くんじゃねぇ〜かな

どうせなら、いっその事、未来かえちゃう??

なんて前向きな事を考えてると


「あちぃっ」

タバコの火が根元まできて俺の指を焦がしかけていた。


何でもない事だったが、なんだかその熱さが俺の考えに

賛同してくれた合図のようにも思えた。


空を見上げると、透き通る青空だった。

「過去に来ても、空は変わんねぇ〜んだな」


「見てろよ」

そう呟き、俺は拳を空に突き上げた。

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