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戦国Trilogy  作者: 白猫
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第3話:タイムスリップ

それにしてもなんてことだ、2年坊には殴られるし

武士には襲われるし、くせぇ〜し、疲れたし、頭痛いし


殴られた所も、切られかかった部分の血もすべて乾き

かぴかぴになっていた。


「はぁ〜・・・・」


深いため息を一つついた。


陽も暮れかかりあたりは薄暗くなっていた。

このまま山をウロウロするのもなんだか危険な感じもするしな。


そんなことを考えながら空を眺めていると眠気が襲ってきた。

時折吹く風が心地よかったことが眠気を誘ったのかもしれない。


いつの間にか俺はその場で眠り込んでしまっていた。


どれくらい眠っていただろうか?

よほど疲れていたのか、相当眠り込んでしまっていたようだ。


「おぃ・・・生きてるか??」


この知らないおっさんに棒でつつかれて俺は目を覚ました。


「ぶ・・・・武士っ??」

俺は瞬間飛び起き距離をとり、寝ぼけ眼をこすりよく見てみると

そこに居たのはただの冴えないおっさんがいた。


「はぁ、焦らすなよぉ〜」

そう言った俺におっさんは。


「よかった、よかった生きとっとようじゃな」

と安心したそぶりを見せた。


「そりゃ生きてるでしょ、雪山じゃないんだからよ

 それにしても、もう明るいじゃん、俺何時間寝てたんだ・・・・?」

そういいながら俺は一伸びをした、瞬間我に返った。


「!?」

「そうだ、おっさんここ何処だ??」

慌てて訪ねた。


「何処って・・・・ここか??」

あっけにとられた顔でおっさんは訪ね返す。


「そうだよ、ここだよここ」


「ここは山じゃが・・・・」


「そっか・・・山かぁ・・・っておい!そんなことは分かってるんだよ

 住所だよ、住所!!」


「じゅうしょ??・・・はて??なんのことやら??」


「はて?ってその百姓みたいな格好は撮影かなんかなんだろ?」

そう、そのおっさんは昨日の武士とは格好は違うものの時代劇に出てくる

百姓のような格好をしているのであった。


「さつえい?さつえい?はて・・・?」


「えっ!?撮影じゃないのにその格好、もしかして趣味??

 それともここじゃ流行ってんのかそういう格好が」


おっさんはいまだキョトンとしたまま考え込んでいる。

「さつえい、さつえい・・・あぁ〜・・・!?

 ひょっとして薩摩のことかぁ、薩摩は多分遠いぞぉ〜」


「いや、芋のことじゃなくて・・・ココだよここ」

手を広げあたりを指し必死に聞いた。


「あぁ〜ここかぁ?ここは尾張じゃよ」


「はぁ?何言ってんだおっさん、俺はまだ終わってねぇよ!」

カチンときた俺はおっさんを睨みつけた。


「何をそんなに怖い顔をしとるんじゃ、尾張に恨みでもあるんか?」

不思議そうな顔で俺に尋ねる。


確かに、このおっさんを責めた所で何か好転するわけでもないし

このおっさんには罪はない。

冷静に考えるとわかるはずだ・・・・

「いや・・・悪ぃ・・・・ちょっとイラついててよぉ」

ばつが悪そうに答えた。


「それよりお主は見慣れん出で立ちじゃが、何処の者じゃ?」


そう聞かれ、今までの経緯を話そうとも思ったが

このおっさんに説明してもきっと理解を得られる訳はない。

「あぁ・・・」

とだけ答えた。


なのにおっさんは更に訪ねてくる。

「何処からきたんじゃ?」


ん〜〜〜なんて空気の読めない奴だ、まぁこんな山で百姓の

コスプレをしてるおさっさんがまともな訳はないがな。


「多分、話しても知らんよ」とだけ答えた。


おっさんの顔が少し明るくなり

「あぁ、信濃かぁ、それは遠い所から」


なんだそりゃ??と思ったがここまでくると答えるのさえ

面倒くさくなってきたおれは

「あははh・・・」

と愛想笑いをした。


「しかしえらい汚い、なりじゃな・・・・」


「ぐぅ〜〜〜うぅ〜〜〜」

おっさんの話を遮るように俺の腹が突然なった。


(そっか昨日のあれから何も食ってないなぁ〜)


「ぐぅ~~~うぅ~~~」

再び腹がなる。


あまりの勢いある音に同情してくれたのか?

人が良いのかはわからないが


「腹へっとるんか?家くるか?」

と見かけによらず親切な言葉をかけてきてくれた。


「いいの・・・・??」

このままここらへんをうろついてても仕方ないし

とりあえずは甘えよう、俺はばつが悪そうに答え

おっさんの後について行った。


「その匂いもなんとかせんとな、ははは」


「うるせぇ〜これが流行ってるんだよ」


そんなこんなでおっさんの家に行くまでの間

噛み合ない話を何度もしながら

コミュニケーションをなんとか図った。


そしていくつかのことが分かった。


まずこのおっさんの名前は「藤次郎」と言うこと。

なぜか名字はないらしい。

きっと、(藤)(次郎)をくっつけたんだろうと勝手に想像した。


そしてもう一つ大事なことが分かった。



「ついたぞ、リョ」


「だから俺の名前は半田良太だって

 『りょうた』だよ、『りょ』できるなってばよ、

 ったく何回言ったら・・・・」


と言いかけた所でその光景が目に飛び込んできた。

「マジかよぉ・・・セットじゃねぇ〜よな・・・」


映画かドラマでしか見たことのないような村が目の前にはあった。


そう、もう一つわかったことはどうやら俺は過去の世界に飛ばされていたらしい

ということだ。


俺のしわの少ない脳みその歴史認識はこうだ

(縄文時代=猿)→(江戸時代=侍)→(現代=俺)


「・・・ということは江戸時代??」


透明人間になったらなにしようか?と考えたことはあっても

過去に飛ばされたらなんてことは考えたこともなかった。


が現実に飛ばされてしまった後ではさらにどうしようもない。

これがあのタイムストリップかぁ〜?と思うくらいしかない。


スリップとストリップの違いも分からない奴が深く考えても

仕方がない、悲観するより腹が減っているそして風呂に入りたい

欲求の方がどう考えても強いのが現実だった。


その後のことはその後考えようと、案外気楽な気分ではあった。


なにわともあれ俺はタイムストリップしてしまったのである。

多分・・・??江戸に・・・??


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