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戦国Trilogy  作者: 白猫
29/49

第29話:郷に入っては郷に従いたくない


ここは一人でも味方がいると心強い

俺は信長の好意を受け取ることにした。


「そうと決まれば、大桑城に急ごうぜ!」



「何を言っておる?そのまま行くのか?」



「他に何があるんだよ??」



「戦になるのは分っておろう?

 そもそも、その恰好で戦場にいくのか?」



「えっ!?なんかまずいの??」




「いくらなんでものぉ~・・・」




「じゃあどうすんだよ!!」




「取りあえず、尾張に来いそして準備をしてから

 出陣じゃ・・・

 

 ・・・それにその怪我の手当てもいるじゃろ」



「確かに・・・」

殴り合っている時は、アドレナリンで痛みも感じにくく

なっているが冷静になると・・・痛い・・・

多分、熱もでるな。

俺は信長の言う通り尾張に立ち寄ることにした。



今まであれば、元の世界の話でもして・・・

くつろぐ所ではあったはずなのだが、この日は違った。



清州城へ入りくつろぐはずの俺の目に飛び込んできたのは

俺を袋叩きにした他の奴らの顔だった。

先程の柴田勝家もそこにはいた。



俺は一気に頭に血が上るのを感じた。



「おいっ!お前ら、俺のこと覚えてるよなぁ~」



「お主!まだやられ足りぬか?」

そう声をかけてきたのは柴田勝家



「さっきの髭じゃねぇ~か!

 お前こそ、さっき負けたのもう忘れたか?」



周りの奴らがどよめいていた。

「柴田殿が負けたのか・・・?」

小声のひそひそ話が耳に入る。



顔を真っ赤にした柴田勝家が慌てて言い訳をする

「何をいっておる、この者の顔を見てみぃ

 どっちが勝ったか明らかであろう!」


一生懸命、言い訳をしたものの、どっちの顔も同じくらい

腫れ上がっていた。

これではどっちが勝ったかは判断つかない所だった。



「まぁ、だいたいあれだよ

 負けたヤツってのは騒いでごまかそうとするよな」


俺は冷静を装いそう話すと、周りにいた人たちも納得していた。



「もう、良いではないか・・・」

呆れたように信長が割って入る。



「いや、よくねーよ、俺はやられた恨みは忘れねーの!」



「いくら良三が素手の喧嘩が強いといえど・・・

 その顔で更に殴り合うか?」



俺は自信満々に胸をはり

「余裕っ!!」

と答えた。



「今は、それどころではないのであろう・・・」



「・・・・・・・・・ん・・・確かに・・」

そうだ、確かにそれどころではなかったのに

目の前の喧嘩に我を忘れてしまっていた。


そして、信長が間に入り後日

<いつになるかわからないけど>

事が片付いたのち、各々とは一対一の勝負をすることで

話がまとまった。


勝家の顔を見て、俺との勝負を拒否するヤツもいたがそこは信長が

きちんと話をつけ正々堂々と勝負することを約束させていた。



その後、俺は部屋に通され看病をしてもらっていた。

「悪いねぇ~」


「いえ・・・信長様の大切なお客様ですので・・・」



「君、名前なんての?」



「帰蝶にございます。」



「あっ!?君が例のあれだ・・・道三の娘で

 信長の奥さんのきっちょむさんだ!」

(なんだ、人妻かよぉ~)



「知っておられたのですか?」



「いやいや、初めましてだけど・・・

 話には聞いてたよ

 ってか道三のおっさんに全然似てねぇ~じゃん!」



「父上をご存じなのですか?」



「あぁ、よく知ってるよ!

 これから君のおやっさん助けに行くからさ」



「それは真でございますか?」

帰蝶の顔が少し明るくなったのがわかった。



「うん、信長も手伝ってくれるってさ!」



「信長様が・・・・」



自分の親の為に旦那が・・・と思うと

中々複雑な心境であるだろう、俺はそれ以上の話は

せず話題を変えた。


「そうこれ、道三からもらった刀なんだけどさぁ

 俺、刀使わないからあんた持ってなよ

 まぁ、刀なんて女性に渡すもんではないけどさ・・・」


「父がこれを・・・・」



「うん、俺が持っててもしょうがねぇ~し

 いらないなら誰かにあげりゃいいって言ってたよ」


 


同時刻、信長は今回、道三を助ける旨を家臣に話していた。


そうとうな反対にあったらしいが・・・

そんな様子は見せていなかった。



そして、翌々日に俺らは道三を助けるため出立した。



周りの気合い入ってる奴らをよそに俺だけが・・・


「何これ?めっちゃ重いじゃん!!」

早速わがままを言っていた。

それもそのはず初めて着けた甲冑は2、30Kgはあろうかと

いうものだった。


「仕方ないであろう!!」


「これ今から着ける必要あんの??」

俺の愚痴は止まらなかった。

いや、道中がほぼ愚痴と言っても過言ではない程だった。


俺は思った、この時代の人たちは馬鹿なのか?

こんな重い物をつけて動き回れるはずがない・・・

自らやられに行くようなもんではないのか?と。

現に、体力なさそうなヤツはすでに歩いているだけで

ヘロヘロであったのを俺は見ていた。


郷に入っては郷に従うというが

さすがに従えないなぁ~と思った。

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