第25話:越前裁き
藤吉郎が今川の元に行ってからの俺は・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
何も変わっていなかった。
町のもめ事の仲裁をしたり、台風被害にあった畑を一緒に
復旧させたりそう言えばこんな事もあった。
ある日
財布が落ちているのを見つけた田格
中を見るとなんと3両も入ってるではないか
その財布には、名前を書いた紙も一緒に入っていた。
落とした人はさぞかし困っているだろう・・・・
まぁ、名前も書いてあるから届けてやるかと
落とし主の吉七郎の所へわざわざ届けに行った。
だが落とし主の吉七郎は
「一回落としたものはもうワシの物じゃねぇ
お前が貰っとけばいいよ!」
所が、せっかく届けたのにそんな物言いをされたものだから
売り言葉に買い言葉・・・田格も
「ワシは乞食じゃねぇ〜お前の物だからワシが貰える訳はねぇ〜」
そんな些細な親切が大きなもめ事へと発展し
俺の所に話がきた・・・・
何だか聞いた事ある話ではないか、コレならばと
「双方の言い分は分った、ではどっちもいらないってんなら
俺が貰っておこう!」
「えっ!?」
「えっ!?」
そういいながらも、いらないと言ったもんだから
どうしようもない。
帰ろうとする二人を呼び止めここで決め台詞!
「正直ものの二人に俺からのお礼だ!ほらよ」
そういい届けられた3両を田格にやった。
そして、俺のポケットから更に3両を吉七郎にやった。
「これはどういうことなんですか?」
不思議そうに田格が聞いてきた。
「よーく聞いてろよ!
田格、お前は3両を拾ってもらえるはずだった3両を・・・
3両を・・・貰ったよなぁ〜・・・
吉七郎は自分の無くした・・・・3両が戻った事になるよなぁ〜・・・
俺は・・・・関係ないのに・・・3両・・・損してるよなぁ???」
不思議そうに二人は俺をみている。
「あれ??なんだかおかしいぞ、これ??
越前さばきになっていないぞぉ・・・・なんでだ??」
「どうかしました??」
「いや・・・仲良くしようぜってことだ・・・」
越前裁き使えねぇ〜〜!と思った一日であった。
当初の目的・・・理想の万屋にはほど遠いものであり
スカウトどころか、町の苦情係でしかなかった店だったし
未来の知識を活かす場面なんてこともなかったが
時折、藤吉郎の事を思い出しながらも、充実した日々に満足していた。
そんな、ある日・・・・
蹄の音が耳に入った。
「珍しいな、町の人間が馬ってのも・・・・」
慌てて、一人の男が入ってきた。
その男は町の人間ではなかった。
「良三殿ぉ〜!!」
えっ!?何だか懐かしい、この呼び方をするのは・・・・
「某は柴田角内・・・・」
「ああ、やっぱりあんたか」
「覚えておいででしたか・・・・」
「そりゃあん時よ毎日探し回られりゃ覚えるっつーの!
それより久しぶりでそんな慌ててどうしたんだよ?」
「そうであった、殿が大変なことになっています」
「道三が??」
柴田角内の慌てた様子からするとかなりヤバい事が起こっているのは
間違いないだろう。
俺は自分を落ち着かせる為であったが
「まぁ、落ち着いて話せって・・・」
ここから俺は乱世に巻き込まれて行くことになるとは
この時には予想もしていなかった。




