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戦国Trilogy  作者: 白猫
24/49

第24話:明智光秀の依頼②


しばらく無言の状態が続いた。

光秀の方をチラッとみると、慌てる様子も苛立つ様子もなく

静かに待っている。


「なぁ、藤吉郎ってばよ!」


「・・・・」


「えっ!?何??

 んなボソボソしゃべってたら聞こえねぇってよ」


「今川の所に行くわ・・・」


「えっ!?マジかよ!そんな慌てて結論出さなくってもよ

 返事は待って貰おうぜ!!」


俺は明智光秀にこの依頼の返事を明日まで待って貰うことにした。

光秀は相変わらず、慌てもせず

「では明日、返事を貰いにくるとしよう」

と言い引き上げていった。


俺は嫌な予感しかしていなかった。

今にも降り出してきそうな曇った空が今の俺の気持ちを

表してるようだった。


その晩、俺は藤吉郎と話あっていた。

曇っていた天気はいつしか大雨に変わり

雨粒が屋根に当たる音がやけに耳についた。


・・・結論から言えば藤吉郎の気持ちは変わることなかった。


「俺は、別に今川の所にスパイに行くのが悪いってんじゃないだぜ

 ただ、あの明智って男の話にのるのがヤバい気がしてならないんだって」


「そうは言ってもこれが初仕事じゃないのか?」


「そりゃそうだけどよぉ・・・」

俺のアイディアで始めた万屋だ。

そう言われると中々反論しにくいものである。


そんな俺をみかねたのか・・・

「そう困った顔するなって、本当は仕事とか関係なく

 これが好機だと思っただけなんだ・・・・

 自分はこの時代で名を上げたい、確かにあの明智という男には

 裏があるのは分る・・・」


「だったらよぉ・・・」


「でも、だからこそ自分にも、のし上がれる機会が

 あるのでは・・・とな」


「どういうことなんだよ??」


「今川義元ってのは明智のいうように今確実に勢力を延ばしている

 今川に臣下になれってなら話はわかるが密偵をしろってことは

 あの明智という男は確実に今川の敵、もしくは今川を裏切ろうと

 しているかのどちらかだろ?」


「まぁ、そうなるわな・・・」


「あの明智という男は計り知れない何かがあると感じたのは

 良も同じだろ?

 そんな男が、伊達や酔狂で今川を調べるとは思えないだろ?

 近いうち今川を中心としこの辺りの国が荒れると読んでいる

 その時、誰につくべきか?どう動くべきか?

 今、動いてる時代の中に居なければ見えないことが沢山あるんだ・・・」


後に天下を取る男の考えは深いものがあった・・・が

当然この時の俺にはそんな事も知る由もなかった。


「何だかわかんねぇ〜けど、色々考えてんだなぁあ〜」


「ああ」

藤吉郎は小さくうなずいた。


「だったら、この依頼はお前に任せるよ!

 お前の夢や希望を否定するつもりはねぇ〜けど・・・

 取りあえずは仕事の依頼って事でいいんだよな?」


藤吉郎が遠くに行ってしまうというより俺だけが取り残されて行く

感じがしあえて依頼だからと言う言葉を口にしていた。

(だせぇ〜よな・・・)


「ああ、依頼だな、良がいると目立って動けなしいな」


「いうねぇ〜!!まぁ、お前の事だからヘマはしないと

 思うけど・・・・一応・・・・死ぬなよ」


「・・・・ああ」


外はすっかり明るくなり、雨も上がっていた。

俺らは朝飯を食い、くだらない馬鹿話をしながら明智光秀の来るのを

待っていた。


昨日同様、涼やかな顔で光秀はやってきた。


「良い返事は頂けますかな?」


「ああ・・・この依頼を引き受けるわ」


「だと、思いました」


「ふん、お見通しって訳かよ・・・」

俺は、そのものいいが少し気に入らなかった。


「良、まぁそう言うな、依頼主だぞ」


「コレは約束のお代です」

明智光秀は俺に金の入った袋を手渡したが俺はそれを

藤吉郎にそのまま渡した。


「訳わかんねぇ〜とこ行くんだろ?

 せめて金はもってけよ!」


「はははは、何言ってんだ良

 建前と言えど一応は今川に仕えに行くんだぞ

 当然その手はずは出来てるんだよな、明智さん」


「勿論です。」


「なんだなんだ、二人して・・・

 いいよ、この金、全部使っても文句言うなよぉ〜」


「良、お前の好きにすれば良いよ

 まぁ、しばらくは帰れないと思うから留守を頼むぞ」


「おお、偉そうに上から目線かよ!

 大丈夫だってお前がいなくても余裕だよ!!」


「そうか・・・なら心配はいらないな、では行ってくる」

そう言うと、藤吉郎と光秀はあっさりと行ってしまった。


「これから、どうすっかなぁ〜・・・」

この世界に来て二人でいた時間が長かったこともあり

一人が急に寂しくなった。


その時・・・・フーフーと

俺の頬に当たる生暖かい風を感じた。


道三から貰った馬が心配そうに俺を気遣っていた。

「大丈夫だよ、お前優しいな」

俺はそう言い、馬の顔をポンポンとなでた。


「そうだ、お前まだ名前なかったな、今日から藤吉郎と命名しよう」


「ヒヒーン・・・」


「嫌か??そりゃそうだよな藤吉郎は良いヤツだし

 オーラを持った男だけど・・・イケメンではないもんな!

 お前、結構イケメンだもんなぁ〜

 でもこの時代のイケメンって知らないしな」


「天に羽ばたくって感じで天翔<あまと>でどうよ?

 DQNネームっぽいかぁ〜??」


「ヒ・ヒヒーン!」


「おっ!?気に入ったか?じゃあ今日からお前は天翔な

 改めてよろしく!」

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