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戦国Trilogy  作者: 白猫
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13/49

第13話:旗揚げ

翌日、いくらかのお金を残し町外れとまではいわないまでも

町やや端に家を買った。

事務所兼住処である。

交渉は全て藤吉郎が行ってくれた。


そして翌々日、俺らは藤次郎の家を出ることに決めた。

今までの家賃と感謝の気持ちをこめ、藤次郎に残りのお金を渡した。

まぁ、あまり手伝いらしい手伝いをしていなかった俺にしてみれば

迷惑料といったところだろう。


俺にはこの時代の価値が分らないが、藤吉郎がそれくらい渡していれば

大丈夫と言ってたのでその額を残していた。

藤次郎は凄く喜んでいた。


俺は今まで不思議に思ってたことを聞いてみた。


「俺ってこんな格好じゃん、おまけに通じない言葉を

 話すときもあんじゃん、不思議に思ったりしなかったのか?」


「聞いたらなんか変わるんか?」


「いや・・・何もかわらねぇ〜けど・・・」


「だったら何も聞く必要はなかろう、今のお前がお前じゃ

 それに聞いて欲しいことがあれば自分から話すじゃろ?」


「ん・・・まぁな・・・」

何だか野口と話してるみたいだとふと思った。


「そうだ!!」


「どうしたんじゃ?いきなり大きな声をだして」


「藤次郎って名字ないって言ってたじゃん?

 今日から野口って名乗りなよ!」


「野口藤次郎・・・か悪くないなぁ〜」


「だろ!」


「せっかくだしもらっとくか、ありがとな」

そう言われると何だか照れくさい気持ちになった。


「じゃあ俺ら行くわ!」

別れと言っても近い場所にいるからまた会うことも

あるだろう、そう思うと寂しくはなかった。


藤次郎の家を出て数分後、前から藤次郎の娘が

歩いてくるのがみえた。


「おいっ!前からあり得ない不細工がくるぞ」


「あぁ、あの娘はあれじゃん・・・・」

そこまで言いかけたときには既に目の前にいた。

そして出会った時と変わらない口調で話かけてきた。


「そう言えば、今日出て行くって聞いてたわ

 始めから、貴方みたいな怪しい人を家に入れるのは

 反対だったのよ、出て行ってもらって助かるわ」


「ああ・・・」

相変わらずきっついなぁ〜と思いながらも言い返す言葉は

見つからなかった。


「お父ちゃんがどうしてもって言うから・・・

 何だか貴方には期待させる何かを持っているらしいわ

 私にはそう見えないけどね」


「藤次郎のおっさんが・・・?」


「そうよ、それに何か特別な事情があるだろうから

 何も聞くなとも言われたわ

 まぁ、もともと何も聞くつもりもないけど」


なんだか藤次郎のおっさんには色々と見透かされてる気が

してきた。

どう見てもただのおっさんにしか見えない男であったが

必要な出会いを神様が与えてくれるのかも?

なんてセンチなことを考えてしまった。


「あのさぁ〜」

と俺が話出そうとしたときには既に娘は歩き出していた。


「・・・・・」


「なんなんだあの性格悪そうな不細工は?良の知り合いか?」


「あれ藤次郎の娘だぜ」


「えっ!?えっ!?」

慌てて振り返る藤次郎。


「いや、だからあれが藤次郎の娘だって

 可愛い、可愛い娘でぇ〜す!」


「いやいや、可愛くないでしょう」


「まぁいいじゃん行こうぜ」


その後も藤吉郎は何度も後ろを振り返って

不思議そうな顔をしていた。


「なぁ、良、藤次郎のおっさんって目悪かったのか?」


「あははは、俺も同じ事言ったよ!

 ひょっとしたら娘をもったら俺らも分るかもな」


「分るかぁ〜??」


「やっぱ分かんねぇ〜かも、アハハ」


空を見上げると今日も空は晴れ・・・いや曇っていた。


「それよりさぁ〜俺らの会社名どうするよ?」


「かい・・しゃめい??」


「そうか・・・会社って概念がまだないのか・・・

 なんて言やぁ〜いいのか、二人の名前みたいな

 もんかなぁ〜」


「木下と半田だろ?」


「いや、そうじゃなくて・・・ん〜難しいなぁ

 まぁいいや俺が考えるわ!」


「よく分からんが任せた」


「分らないまま任された!」


そんな事を話しながら事務所兼家に到着した。

藤吉郎はそわそわしていた。

「何したらいい?まずは何する?」


身一つの俺らには特に片付けることもないし

いきなり仕事があるはずもない・・・

そもそも宣伝もしてないしな。


「まずは落ちつけって、いきなりする事もねぇ〜よ

 あっ!?あった!!

 藤吉郎、お前どっかからこれくらいの木の板と墨と筆を

 借りてきてくれ!」


「何にそんなもん何に使うんだ?」


「看板だよ、さっき話したじゃん!会社名の看板な」


俺は藤吉郎が戻るまでの間、社名を考えていた。


半田と木下でハーフウッドとか・・・・

二人だからツインズとか・・・


やっぱ横文字がいいよなぁ〜

・・・・あっ!?


「戻ったぞ!、これでいいか?」


「おっいいじゃん、ココ置いて」


「それで決まったのか?かいしゃめいってのは?」


「おうバッチリだ!」


俺はその木の板に筆を走らせた。


「これ何て読むんだ???よろずやの後ろ?」


そこに書いた文字は

<よろずやto you to me>だ。

なんでこの名前にしたのかってのは簡単だ

聞こえがいいのに加え、悲しいことに俺の書ける単語がそれ以外には

<I Love You>と<the>とかくらいしかなかったのだ。

ハーフやツインズの単語が書けないことに若干落ち込んだ。


「トゥーユートゥーミーって読むんだよ

 分りずらいならこの下にひらがな書いといてやるよ」


とぅーゆーとぅーみーと付け加えた。


「ふ〜ん、とぉーよーとーみーね!」


「ちげぇ〜よ、とよとみじゃねぇ〜よ

 お前発音悪すぎ!トゥーユートゥーミー

 こう口を尖らせてだなぁ〜」


そんなことで俺らは「よろずやto you to me」

を旗揚げした。


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