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戦国Trilogy  作者: 白猫
11/49

第11話:未来に刀はない


誰も何も言わないまま

どれくらいの時間がたったろうか


「濱嶺のおっさんよ、俺って未来からきた

 人間なんだよ」


「・・・??」


「いや何、うさんくせぇ~って顔してんの?

 これマジ話だっての!」


「まぁ、確かに言われてみれば恰好も

 変わっとるし、訳の分らない言葉も使うし・・・」


「だろ??」


「ん~それが本当だとして何かあるのかね?」


「意外と驚かないんだな?それはそれで

 少しへこむけどな、まぁいいや」


「お前見てて今更驚くこともなかろう」


「言えてる・・・・」と藤吉郎も口をはさむ


「いや、だからお前らが知らないこの先の

 ことを俺は知ってるわけだ

 そこで、濱嶺のおっさんよ、良いことを教えて

 やるよ」


「だから何かあるのか?」


「実はな、今からずっと先の未来には刀って無いんだぜ!」


「本当か!?」

驚く濱嶺と藤吉郎


「完全に無くなったって訳じゃねえ~けどな

 武器としては一切使ってねぇ~よ

 あるのは観賞用が殆ど、後はマニアっても

 わかんねぇ~だろうけど・・・・

 人を切る道具としては使われてないってことだ」


「やはりワシがやってきたことは意味のないこと

 だったんじゃろうか・・・」


この言葉に俺は切れたのか憤りを感じたのか

よくわからないが何かこみ上げるものがあり

大声をあげていた。

「いやいや、違うだ ろうよ!」


「お前がここで刀作らなかったら

 逆に未来が変わるだろうよ

 そうなってみろ、未来においても刀は人殺しの

 道具として使用されてるかも知れねぇ~んだぞ

 お前がやるべきことは最高の刀を作ることじゃね~のかよ

 何が一子相伝だよ!

 北斗神拳みたいなこと言いやがってたくせに

 全然中途半端じゃねぇ~かよ!」


「・・・・・・・・・」


「最高の刀を作る、その後のことを考えるなとは

 言わんが、まずは最高の仕事をすることだろ

 それすら出来てねぇ~ヤツが偉そうに次のこと

 考えてんじゃねぇ~よ!!

 俺が来た町を刀だらけにするつもりか!!」


多分そんなことにはなるはずもないが勢いで

怒鳴りあげてい た。


「そいれはいかんのぉ~」

そう言った濱嶺は少し笑っていた。


「俺は怒ってるのに何ニヤケてるんだよぉ!」


「濱嶺がおかしくなった!?」

あわてる藤吉郎


「心配せんでもおかしくなっとりゃせんよ

 そうか、そうか・・・・

 最高の刀が観賞用か・・・・アハハハ」


「そうだよ、それもなこんなケースに入ってたり

 床の間みたいな所に飾られたりしてんぞ

 それのどこがおかしいんだよ!」


「すまんすまん、それなら未来にもワシの名が

 残るように最高の刀を作らないとな」


「えっ!?今なんっつった??」


「いや、だから最高の刀を作らないとな・・・と」


「えぇ~作る気になったのかよ?」


「ワシが刀を作らないと未来人が困るんじゃろ?」

茶化すように濱嶺が答える。


「あ・・・あぁ・・・困る」


「お前の言葉でふっきれたわ、ワシは最高の人殺しの

 道具を作るんじゃなくて、最高の見世物の刀を作る」


「いいんじゃね!最高ってのが最高だ!

 よかったなぁ、藤吉郎」

藤吉郎の肩をパンパンッと叩いた。


その藤吉郎が心配そうに尋ねる。

「見世物の刀って切れるのか??」


「なぁ~に心配そうな面してるんじゃ

 最高の刀が切れない訳なかろう!!」


「ほっ」


「あっ、そうだ未来には切れない刀ってのもあったぞ

 模造刀ってな、これはハナから飾専用だ」


「ほぉ~切れない刀かぁ~なか なか面白いのぉ」


「良、余計な事を言うでない!

 切れない刀は刀ではなかろう!!」


「確かになっ!言えてるハハハ」


「まぁ、ワシの刀をどう使うかはお主次第じゃが

 当然切れ味も最高の物になるはずじゃ

 そして、お代も当然もらうぞ」


「いいじゃん、いいじゃんやっぱ

 プロは金もらってなんぼでしょ!」


「また、分らんことを言って

 もちろんお代は払うに決まってる」

そう言い藤吉郎は懐から袋を出しすべてを濱嶺に渡した。


「おっ!藤吉郎太っ腹だねぇ~!」


「ただ・・・すまんが・・・」


「おいおい、おっさんまだ何かあんのかよ?

 ここにきてやっぱ止めたとかはナシだぜ」


「 いや、そうじゃないんじゃがワシも刀をうつのは

 久しぶり、その中で最高のものを作るとなると

 どうしても時間がかかってしまう・・・」


「なぁ~んだよそんなことかよ、俺らは暇人なんだから

 いつまででも待つって、なぁ藤吉郎?」


「あ・・・あぁ・・・

 それでどれくらいの時間かかるんだ」


「まぁ、7日~10日くらいはかかるじゃろ」


「よかった、そんなものか・・・」


「いったいいつまでかかると思ったんじゃ

 久しぶりじゃが、感さえ取り戻してしまえば

 その先は慣れたもんじゃ」

そう言って濱嶺は笑った。


「んじゃ俺ら行くからさ時々様子見に来るわ!」


「次来るときは土産物でも頼むぞ」


濱嶺は清々しい顔をしていた。

その表情は見た目の年より若く見えた。


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