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魔法チートのなれのはて  作者: ナベのフタ
幼少領主編
16/37

閑話 一年後の王宮

 光の国アポロンではセブルス王と大臣が話をしていた。

 それは一年前に誕生した新たなドラゴンキラーであるエルフの少女について。


「ドラゴンキラーのその後はどうだ?」


 セブルス王の問いに小太りの老人、大臣のアスファルが答える。


「はい、順調でございます。

 初めは元マッハンス家の息子の名を呼んで泣いてばかりいましたが今は落ち着いて訓練に励んでいます」

「ラウス…と言ったか」


 セブルス王は思い出すように目を瞑る。

 それを見てアスファルは小さなため息を吐いた。


「ドラゴンキラーとなった少女の話ではラウスという少年こそが竜に深手を負わせたとのことですが、それ以外にもあの魔道具の申し子と言われた神童です」


 ラウスが【アイテムポーチ】や【マジックライト】という数々の魔道具を生み出したことは王宮内でも話題になっていた。


「ああ、余も初めは信じられずにいたがここ一年で納得がいくようになった」

「はい。それにさらに分かったことが、あのエルフの少女はドラゴンキラーの力だけではなく無詠唱による魔法、それも上級魔法を簡単に扱ってみせます。

 それだけでも宮廷魔術師を遥かに凌駕するというのに、それの指導を行ったのがラウスという少年でした」

「なんだと!?」


 セブルス王の目が大きく見開く。


「エルフの少女は魔法については決して誰にも話そうとしませんでしたが、ラウスという少年が竜を倒したと証明させるため自分が教わった魔法を見せてくれました」

「それが本当ならマッハンス家の息子は神童どこらか化物だな」

「元マッハンスですよ」

「…そうであったな」


 セブルス王と大臣アスファルは苦笑する。

 マッハンス家の当主がゴラウスの領主であり自分の息子であるラウス・ゴ・マッハンスを勘当したことは知っている。


 その時は王宮もエンシェントドラゴンへの対応やドラゴンキラーの誕生で忙しくマッハンス家には干渉しなかった。

 それにアイテムポーチのような歴史的な魔道具を作ったと言われている息子を勘当するとは思えず、ラウス・ゴ・マッハンスの神童という噂はデマだと思っていた。

 

 ドラゴンキラーであるエルフの少女にエンシェントドラゴンを倒した時の話を詳しく聞いて疑問を覚えたアスファルがゴラウスに調査の兵を出し、初めてラウスの噂が真実だと知った。


 アスファルは急いで国中を探させたが既にラウスは国を出ており、行方を掴むことはできなかった。

 

「現マッハンスの当主は何を考えておられるのでしょう? あれほどの逸材を自ら手放すなど…」

「ふむ、今のマッハンス当主は頭がかなり固いからな。末の子が神童でも家督は継がせられぬうえ、争いの火種になる事を嫌ったのであろう」

「なんと小さな男か」

「アスファル、口には気を付けよ!」

「はっ、失礼いたしました」


 国王の注意を受けて反省を口にするが、アスファルの表情に失望の色は隠せない。大臣であるアスファルはラウスの発明を特に評価していた。それだけに王宮に呼び込めなかったことを悔やんでいる。


 セブルス王としてもラウスを失ったのは痛手であったが…。

 本来なら歴史的発明をしたラウスを王都に呼び、手元に置いておきたかった。

 だが『ゴ』の貴族であるラウスは王といえ簡単に手出しすることはできない。


「はぁ~、せめて王都の学院に入ってくれていれば…」

「アスファル、お主もしつこいの」


 アスファルに苦笑しながら王は次の会議の書類を手に取る。


 














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