表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法チートのなれのはて  作者: ナベのフタ
幼少領主編
10/37

第8話 ラウスとイリア

 ― Side ラウス ―

 その日は珍しくイリアの機嫌が悪かった。

 待ち合わせの時刻を過ぎたとかは些細なことだろう。仕事はほとんど人任せの俺もゴラウスの街の領主だけあって中々多忙だ。

 イリアとの待ち合わせだって時間通りに来たことはほとんどない。

 そもそも時計を持っていなので時間を合わせるのは不可能だ。


「おにいちゃんなんて大ッ嫌い!!」


 なら何故イリアがこれほどまでに怒っているのか?

 それは俺が先程、広場で獣人の女の子のしっぽを夢中で追いかけていたからだろう。

 いや、だって目の前でフリフリしていたから…。気がついたら体が勝手に動いていたというか…。

反省している。後悔はしていない。


大丈夫だよ! 俺ギリギリで踏みとどまったからね! 獣人の女の子も笑ってくれていたし何も問題はない!

 ただ、その現場をイリアに見られただけで。


「おにいちゃんのバカぁぁっ!!」

「ふごっ!」


 無意識に身体強化を発動したイリアのパンチが顎に綺麗に入りました。

 あっ、これダメだ。足ガクブル。

 俺は膝を曲げて地面へと落ちる。

いいパンチだ。世界を狙えるぜ。


「知らないっ!!」

「…イ、リア」


 イリアは泣きながら森へ走っていった。

 …知らないって、そりゃないぜ。

 足が動くまで正座で待つ。


「イリアに殴られたのは初めてだな…よしっ! うおおおぉぉ、立つんだ俺ぇぇぇぇ!!」


 うおぉぉっ!! 根性で立ち上がりました✌

 流石にあの状態のイリアを放っておくわけにはいかないな。

 待っていろよ! 捕まえてうんとお仕置きしてやるぜ!


 森へ逃げ込んだイリアを感知魔法で捕捉する。

魔力で体を身体強化させて追いかける。イリアは俺の感知魔法の範囲ギリギリを物凄い速度で移動しているがそれでも【ソナー】の範囲を出ないところがまだ子供だな。

 さーて、構ってちゃ(イリア)んを捕まえるのに少し本気を出しますか。


「アクセル!」


 身体強化のレベルを上げてさらに速度を上げてイリアを追いかける。

 数分後にはイリアを補足した。


「いい加減に捕まれ! 【アースバインド】!」

「きゃっ!?」


 イリアの足元の土が手の形に変化して、イリアの足を掴んだ。

 身体強化状態で走行していたイリアは勢い良く地面に頭から倒れる。


「う~ん、びっくりした」

「捕まえたぞイリア」

「おにいちゃん!」


 結構な勢いで転んだのにイリアは無傷だ。

 魔法の才能に関しては俺よりもイリアの方が上だな。


「おにいちゃん、ごめんなさい」

「イリア、どうして怒ったんだ?」

「…だって、おにいちゃんが他の女の子となかよくしてたから…。

 イリアのことはどうでもよくなったのかと思って、そしたら胸がモヤモヤして、それで…」


 ヤキモチですね…。分かります。

イリア自身その感情をまだ理解はしていないのだろうけど…まあイリアは俺以外友達がいないからな。

 お兄ちゃんは将来イリアがヤンデレ化しそうで心配だよ。

 そんなルートを回避するためにもイリアには少し厳しくするべきか?


「おにいちゃんイリアのことキライにならないで」

「っ!」


 イリアはうるうるした瞳で俺を見つめている。

 反則やで。


「馬鹿なことを言うなよ。俺がイリアの事を嫌いになるはずがないだろ」

「ほんと?」

「ああ、何があってもずっと俺がイリアを守ってやるから」

「えへへ、イリアも」


 俺はイリアの頭を軽くなでたあと抱きしめてやる。

 嬉しそうに俺の胸に顔を埋めるイリアの体温がとても暖かく、この温もりをとても愛おしく感じた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ