表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/59

第3話 姉弟と姉妹

第3話 姉弟と姉妹

1


「へえ、二人は姉妹なのか」


「はい。私達は年は離れてますけど、立派な姉妹です」


「本当偶然よね。私達も双子の姉弟なのよ」


「へえ、そうなんですか。じゃあ色々と苦労が絶えないですね」


「そうそう。うちの馬鹿弟は、馬鹿すぎて手が付けられないわ」


「本人を目の前にして、それを言うなよ」


最初二人がエルフである事に驚いていた柚木と龍介だったが、いつの間にか二人と慣れ親しんでいた。空気がピリピリするよりは格段に良いので、これはこれで嬉しいが、


「あのさ四人とも、俺を忘れて…」


「へぇ、その服はこの世界の伝統的な衣装なんですか。可愛いですね」


「伝統的ってほどじゃないけど、褒めてくれてありがとう」


「ほら、そこにいる子もこっちに来なよ」


「嫌!」


「何で?!」


肝心の俺を放置されては困る。


「あのさ、話で盛り上がるのは構わないんだけど、俺を忘れないでほしいんだけど」


「あれ雄一君、いたんだ」


「ここ俺の家だからな!」


「パパ、今帰ったんですか?」


「おい!」


「誰?」


「ローナ、お前その反応が本当だったら、殴るぞ」


「うわ、お前子供相手に容赦ねえな」


「怖いですパパ」


「誰のせいだと思ってんだ!」


疲れる…。ローナに至っては、俺を完全に他人扱いだし(元から他人だけど)、ルシア達に至っては意気投合しすぎて、俺のツッコミが追いつかない。これは最悪な組み合わせだ。


「お前らもう帰ってくれ…」


2

その日の晩、何とか嵐を乗り越えた俺はルシアをリビングに呼んだ。ローナは呼んでもどうせ来ないと分り切っているから、ルシアだけにした。


「あのさルシア、一つ聞いていいか?」


「何でしょうか?」


「何で二人はわざわざこの世界、というか地球に来たんだ?」


「それは自分達の新しいパパを探しに来ただけですよ。以前話しましたよね」


「本当にそれだけか? 正直怪しいんだが」


「その根拠はあるんですか?」


「勘というか、何というか。不可解な点ばかりがあるからな」


新しいパパを探すためにわざわざここに来る必要だってないし、パパが居ないとしても母がいておかしくないはずだ。


「そこら辺は想像にお任せしますが、私達は何も隠していませんからね」


「ふぅん」


信じていいのかは分からないが、今の所は嘘をついているようには見えない。今はそれでいいが…。


「もう一ついいか?」


俺にはもう一つだけ納得のいっていないことがある。それは勿論ローナに対する俺の態度。いくら人見知りとはいえ、あまりに酷すぎるような気がする。


「ローナに関しては、私からは何も言えません。多分パパの接し方次第ではないでしょうか」

「俺次第…か」


なかなか難しい問題かもしれない。

続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ