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第29話 父親になる資格

第29話父親になる資格

1

打ち上げパーティは日付が変わる頃まで続いた。

「なあ時間そろそろやばくないか? 二人とも」

いくら大学生とはいえこんな時間に二人だけで帰らすのは危ない気がする。

「おっと、もうこんな時間か。 そろそろ帰るぞあね…」

「ぐぅ…ぐぅ…」

「って、寝てる!?」

今日一日働いて疲れてしまったのか、柚木を含め、他の女子三人も一緒に寝息を立てていた。

「これは起こすと逆に可哀想だな」

そんな四人の姿を見て、陽介はため息をつきながらそう言う。

「だな。仕方ない、今日は家に泊まっていっていいよ」

「お、サンキュー」

俺もそれに答える。流石に気持ち良さそうに寝ている四人を、わざわざ起こすのも可哀想だし、今日は皆で寝泊まりって事でいいか。

「泊めてやる代わりに、後片付けは手伝ってくれよ」

「当たり前だ」

2

後片付けと入浴を終え、四人に掛物をかけてあげたあと、俺と陽介は二人だけで軽い夜食をとった。

「カップラーメンかよ、ショボい飯だな」

「人の家の飯にいちいち文句言うなよ」

カップラーメンができるまでの間、しばしの沈黙。

「なあ雄一」

「ん? どうした?」

「前々から思ってたんだけど、お前本当に二人の父親になるつもりなのか?」

陽介の思いもよらない質問に、思わず俺は驚いてしまう。

「えっと、それは真面目な質問?」

「ふざけてそんな質問するか?」

それはそうだ。

「でも何で急にそんな質問を?」

「だってお前、何だかんだで二人の面倒ちゃんと見てるじゃん。しかもパパって呼ばれてるし」

「まあそうだけどさ…」

ローナの方はまだ俺の事をそうは呼んでいない気がするけど。

「で、千代ちゃんは母親になるとか言いだしたんだろ?」

「聞いてたのか俺と千代の話」

「ちらっとだけど聞いてた。だからこうしてお前に聞いてんだ。なあお前はこれから本当にどうするつもりだ?」

「……」

俺がこれからどうするか….。

いつの間にか二人がいる事が当たり前になり始めていた俺は、この先どうしていくべきなのか、考えたことなどなかった。いや、考えたことはあるけど、具体的には浮かんでこなかった。その理由は、俺に二人の父親になる資格なんて本当にあるのだろうか? 千代は言っていた。俺達はもう本当の家族みたいなものだと。けど俺は…。

「俺は…」

「迷ってるなら、二人に直接聞いてみろよ。自分には父親になる資格があるのかって」

「そんな事聞けるわけ…」

「だったら、とっとと家族ごっこなんてやめろ。何も理解しようともせずに、家族になろうだなんて甘い考えするな」

「なっ!? お前何だよその言い方は」

つい陽介の言葉にカチンときてしまった。

「だってそうだろ! 身近にいる人の気持ちを理解できないくせに、二人の気持ちを理解できるはずがないだろ!」

「それはどういう意味だよ。身近にいる人の気持ち? そんなのちゃんと理解してるよ俺は!」

「だったら、だったら何でお前は…」

陽介は何かを言おうとするがやめてしまう。

「陽介?」

「悪い、ちょっと熱くなりすぎた」

「いや、俺も悪かった」

「謝るなよ。もう遅いしさっさと飯食って寝ようぜ」

「あ、ああ」

このあと食べたカップラーメンの味なんて覚えていない。陽介が言いかけた言葉がずっと気になってしまっていたから。

俺にはまだ知らない事ばかりなのか?

続く

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