第1話 私達のパパになってください!
『E.P.O〜エルフのパパになった俺~』
第1話 私達姉妹のパパになってください!
1
「私達姉妹のパパになってください!」
「いや、あのさ…」
あまりに話が突飛すぎじゃないか? これぞまさしくで落ちって奴か?
「駄目ですか?」
「駄目とか以前に、君達には色々説明してほしいのだが…」
「説明とは?」
「まずは明らかにこの世界の住人じゃない君達が、何故俺の目の前に現れたのか?」
「そんなの決まってるじゃないですか」
この後彼女が何を言おうとしているかは今の会話の中で分かりきっているが、あえて尋ねてしまう。
「私達のパパになってもらうためです!」
ですよねー。
2
まず俺の事から説明しよう。俺の名前は関口雄一、どこにでもいる大学生だ。ただいま一人暮らしをエンジョイしているのだが、GWが始まった初日、見知らぬ誰かが家を訪ねてきたので出てみた。
「あの私達、家がないんです」
俺の目の前に現れたのは、どこぞのRPGにでも出てきそうなエルフの姉妹、どちらもまだ幼い。俺は一瞬夢なのではないかと思ってしまったが、どうやら夢では無いらしい。
「えっと、君達はコスプレか何かですか?」
「コスプレ? 何ですかそれは?」
「いや、だってその格好どう見てもコスプレじゃ…」
「これは代々エルフ族に伝わる服ですよ」
「そう言われてもな…」
信じられる話ではない。
「私達、遠い異世界から来てるから、そう簡単には信じてもらえませんけど、本当に私達はエルフ族なんです。今は信じてもらえなくていいです。だからどう、家もない私達を泊めていただけませんでしょうか?」
「うーん…」
確かに簡単には信じられないのだが、困っているのは事実だ。しばらくの間だけでも泊めてやるか。
「分かった。少しの間だけだぞ」
「はい。ありがとうございます!」
と、ここまでは別に構わなかった。しかしGWが明けた直後、
「パパになってください!」
なんて言い出すもんだからさあ大変。俺にそんな事頼まれても困るだけだ。
「私達は家族になる運命なんですよ」
「そんな運命、どこにもないだろ」
さて俺は、これからどうすればいいのだろうか?
パパになるのか?
二人を無理にでも帰すか?
さあ、どうする…。
「俺はそんな柄じゃないけどな…どうせ何言ったって聞かねえだろ?」
「はい」
そこは笑顔で答えるなよ。
「分かったよ。ただし、こっちの世界のルールはちゃんと守って生活してもらうからな」
「ありがとうございます!」
(ふぅ…)
これで本当に良かったのだろうか? 俺がいきなりパパになんかになって…。
続く