第3話 王女と兄王子達のお茶会
麗かな昼過ぎ頃、私は実の兄であり、このヴァルラード王国の第一王子ルーカス・ロディスから招待されたお茶会へと参加していた。
「俺の騎士から聞いたんだが、お前、王立騎士団の副団長様を落とす為にわざわざ騎士団の営所まで行ったらしいな」
「うっ…… ごっほ、ごっほ」
「大丈夫か?」
第二王子であるヴィリア・ロディス。
私のもう一人の兄であり、ルーカスの弟でもある。
ルーカスの言葉に動揺して紅茶でむせた私を心配して顔を覗き込んでくる彼が長男ならよかったのに。と心の中で思いながら私はヴィリア王子を安心させる為に頷き返した。
「大丈夫よ……!」
「よかった、おい、ルーカス。いきなり言うのやめろ。アイラが動揺して咳き込んだじゃないか」
「そんなに動揺するなんて思ってなかった。すまん」
「もういいわよ。それにしても貴方は本当に色々な情報を仕入れるのが早いわね……」
私の言葉を聞いてルーカスは何故か嬉しそうに笑う。
「そうだろう! 俺の騎士は優秀だからな」
「褒めたつもりはないのだけど」
「アイラ、エリックのことを本当に騎士にしたいって思っているんだな?」
ヴィリア王子殿下の問いに私は頷く。
彼を私の騎士にしたい。そう強く思っているから彼が首を縦に振るまで私は諦めるつもりはさらさらない。
「そうか、まあ、あいつならその内、アイラのことを受け入れるだろう」
「そうだといいのだけど……」
部屋の窓から見える晴れた空を見つめながら私は手元に置いていた紅茶が入ったカップを手に取り一口、紅茶を口に含んだ。
その後も他愛のない会話は続き、茶会は夕方頃にお開きとなった。
「久しぶりにお兄様達と話せて楽しかったです。それじゃまた来月の茶会で」
「ああ、そうだな」
「エリックを落とせたという報告を期待してる」
「まあ、頑張るわ」
お兄様達と別れた私は自室へと繋がる王城の通路を歩きながら5ヶ月間でエリックを落とす。と心に決めたのであった。