第1話 とある騎士との出会い
いつも通りの穏やかな朝。
私は自室に置かれいる白いソファの上に座りながら髪を梳かしてもらっている侍女のセリーヌに話しかける。
「ねえ、セリーヌ、私、王立騎士団の副団長であるエリックを私の騎士にすることに決めたわ」
「そうなんですね。それにしても何故、一番堅物で真面目で冷たいと噂の方を騎士にしようと思ったのですか?」
「昨日、私が彼に助けてもらったからよ」
そう、昨日、私は彼に助けられた。
仕事ばかりで休憩を取らない私を心配した私の騎士であるダリスから息抜きに少し外でも出たらどうですか?と言われて私は一人で中庭へと訪れたのだ。
中庭の花壇に咲く花を眺めながら中庭を歩いていた私は疲れからか立ちくらみがして、ふらっときて倒れそうになった所をたまたま中庭の前の通路を通りかかったエリックに支えられて助けられたのだ。
「アイラ王女殿下、大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。支えてくれてありがとう。えっと貴方は?」
「それならよかったです。私は王立騎士団の副団長エリック・フェリスと申します」
エリック・フェリス。
王立騎士団の若き副団長であり優秀な騎士であると陛下から称賛されていた騎士だ。
「エリック、改めてお礼を言うわ。ありがとう」
「いえいえ、では、私はこれで失礼致します」
「ええ、」
ふらついて倒れそうになった所を偶然にも中庭の前を通りかかったエリックに助けられただけだ。
ほんの些細な出来事であるが彼のことを気にいるには十分すぎる出来事であった。
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「では行ってらっしゃいませ。アイラ様」
「ええ、頑張ってくるわ!」
身支度を整えた私は侍女のセリーヌに見送られて自室を後にした。私はこれから自分の騎士にする予定のエリックがいるであろう営所へと向かう。
「ふふ、待ってなさいよ、エリック」