焔風の支配者・四
なんか大晦日なのに書けちゃった。でもお正月は投稿できないと思うので先に言っておきます。
あけます。おめでとうございます。
わざわざこの作品を見にきてくれてありがとうございます。来年もゆっくーりのんびーり投稿していくつもりですのでどうぞよろしくお願いします。
この作品だけは絶対に失踪したくない。
──噴火直後・公園──
?今ちょっとだけ体がだるくなったような……気のせいだろうか?それか、どこか無意識的な影響で具合が本当に悪くなっているのか。今思えば、私は一週間もの時間家を離れている。更に言えば何があるのかわからない危険すぎると言っても過言ではないと言える外界にいる。ヒバナさんやテイラーさんがいたとはいえ、やっぱり精神的にはすり減り続けていたんだろう。
山肌を蠢いているように見える黒い影はまさにその火砕流というものなのだろう。そもそも富士山がどのくらいの高さなのか詳しく知らないから正確にはわからないが、やはり言われていたように迫るスピードが途轍もない。もし生身で食らえば飲み込まれる前に首が折れて死ぬだろうと、嫌な想像をしざるを得ないような力があると一目でわかる。
火砕流はそのまま止まる事を知らずに世界を包み込む。やはり私たちに逃げ場は無かった。テイラーさんはそれを理解していたからこそここで迎撃する事を決めていたんだ。そうしてその火砕流は──風壁と激突する。
ゴゴゴガァァン!!!と、風から出るはずのない音が少しだけ遅れて聞こえてくる。火砕流は途切れる事なく流れ続けているが、それらを風が押し返す、拮抗を続けている。
「……どうだ?」
「想定以上に、負荷が大きい。そう長くは持たないはずだよ」
「なら次はどうする?行動は早い方がいいだろ?」
「そうだなぁ……いや、まずい!上に気をつけて!」
そんな言葉を聞いて私たちがバッと上を見上げると、そこにあったのは数多の隕石だった。
隕石……隕石!?なんでこんなタイミングでこんなものが……いや、もしかしてこれも噴火が原因なの!?大きさは様々だがほとんどが人と同じかそれ以上の大岩である。それがまるで流星群のように風壁をすり抜けて町降ってきているのだ。そうしてそれらは炎と高音を纏ったまま破壊を進めているのだ。
私たちの近くにも、一つ降ってきて、それは公園の入り口を塞ぐように轟音と共に地面に突き刺さり止まった。
まるで世界の終わりだ。隕石が降ってきて、世界が灰色に覆われていくのがわかる。町だけじゃない、ずっと遠くまで、地平線までずっと熱く、厚く、広がっていくのが感じられる。
「少し想定外もあるけど……元からこの上から降ってくる火山弾は防げないことは分かってた。これからみんなは私の家に逃げること。あそこは頑丈に作ってあるからね、安全は保証できるし、そこで安全にして欲しいけれど……少なくともヒバナはそれは嫌でしょう?」
「当たり前だろ、俺をなんだと思ってんだ」
「だからヒバナは二人を送り届けた後に岩を壊したりして人を助けに行って」
「ちょっと待ってください、それじゃあヒバナさんが危険じゃないですか!?」
私は咄嗟にそう叫ぶ。
「俺がそれを望んでるんだ」
「それじゃあ、私も行きます。私だけが安全圏に篭るのは嫌です。そう、貴方と同じなんです!私なら能力で人の気持ちを聞いて落ち着かせる事だってできるんです!」
しかし、私のそんな言葉は一瞬で一蹴される。
「それでも、だ。少なくともお前はハナビを守ってくれ」
「それでも……」
「頼む」
「私は……私が弱いから、ですか?──いや、忘れてください。どうか気をつけてください」
「ありがとう。──んじゃあ離れてろ、この岩を爆破する」
「うん。私はここから動けないから任せたよ……大丈夫だよ。私は誰よりも強いし、あの風を起こせるんだよ?」
そう言いつつ、ヒバナさんは黒い球を出して岩に投げつけ、黒球は着弾すると同時に爆発した。
「……うーむ、こりゃあ思ったよりヤバいな。着弾点が熱すぎる。これじゃあ破壊はできても通れねえ。仕方ない、悪いがこっち壊すぞ!」
そう言いつつヒバナさんは近くの植木を爆破して穴を作った。
「行くぞ!ミサキ、お前はハナビを連れてきてくれ!」
そう言ってヒバナさんは先に出て行った。ここで止まっているわけにはいかない。私たちも早く移動しなければ。
「ハナビちゃん、行こう」
「……………」
「ハナビちゃん?」
「…………!あ、うん、行こう」
そう言ってハナビちゃんもその穴を通って移動を始めたのを見て、私もそれについていくように道に出る。そしてそのまま走ってテイラー家に向かう。ここからテイラー家まで約3kmくらいだろうか。やはりバスが使えないのが難点になってくるな。家はそもそも郊外にあったためこれまでは中心部までバスを使って移動していたし、そこを走って移動するとなると結構時間がかかる。でももうそれ以外に方法は残っていない。
私はヒバナさんと違って魔力強化が使えないが、それでもどうにか走り続けなければならない。止まれば死ぬ、遅くても死ぬ。そんな意気込みで走るんだ。
楽しい富士山町はいつの間にか命懸けサバイバルの舞台となった。
背後で公園の植木が燃え始めた。
上空の風壁も作用はしていますが、大きすぎる岩などは風壁に弾かれる事なく入ってきてしまう、ということ。ただし少しは風によって押されるため威力が減る。




