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能力教室の号哭  作者: たるたるそーす
星を追う飛魚編
74/100

テイラー

訂正:富士山麓町→富士山町

 ──午後1時・テイラー家──



「ここだよ。まあ、お茶出すから座ってて」


こじんまりとした家、それが第一印象だった。通路は車椅子の移動の都合かほとんどがカットされているらしく、部屋と部屋が直接つながり合っている状態だったことから元から車椅子生活を想定に入れている構造であることは明らかだった。


「さてみんな、まずは歓迎するよ。富士山町にようこそ。私の名前はテイラー」


おじさん──いや、テイラーさんの口調はどこかミズキ先生を思い出させる……この穏やかさだろうか?丁寧さと力強さが共存していて、どこか気持ち悪いのはそこが原因だろうか?でもなんかすごいオカマっぽい。口調がね?いや違うな、一般人とオカマが混ざって3:1になっている感じ……いやどうでもいいわ。


「二人のことはもう知ってるとして……君のことを少しだけ教えてくれる?」


「はい。星崎ミサキです。日本区から社会見学としてここまで来ました」


「なるほどぉー……あーおっけ、多分教師誰か分かったわ。あのイカれ白髪でしょ?」


「多分そうですけどそんなこと言っちゃっていいんですか!?」


「こんなとこに子供寄越してる時点でイカれてるわな」


「確かに」


普通だったらまず考えられないしね。ここまで特に襲われたりすることはなかったけれども、一応外界は危険であることには変わりないし。


「というか先生のこと知ってるんですか!?」


「まあね〜。あの人私に黒歴史を作らせた張本人だし」


うーん、パワーワード。でもミズキ先生と接点があることには驚いた。まだまだ私たちに隠していることはあるのかな?


「まああいつがあたおかなのは俺も同意する。だってあいつバケモンじゃん」


「だねぇ」


言われてみれば、私の能力はミズキ先生とテイラーさんにだけ通用しない。二人にはなんの共通点があるのだろう?強さ?テイラーさんのことはよく分からないけれど、ミズキ先生の特徴としては当てはまる。


「あの、よく分からないけれどミズキ?っていう人はそんなにやばい人なの?」


「バカ強い」


「絶対に敵に回したくない」


「あのお兄ちゃんが!?」


「言っとくがこいつ(テイラー)俺より強いからな」


「いざとなったら頼ってね?まあまずはゆっくりしてって。あ、そういえばまだお昼食べてないだろうし、適当に作ってくるからちょっと待ってて」


意外と雑談は楽しく、時間が過ぎるのはあっという間だった。車椅子だというのにテイラーさんはそれを感じさせない早さで作業を進めていくことが分かった。程なくして食卓に並べられた生姜焼きは日本区で食べるようなもので感動した。ここ数日は缶詰とよく分からないスープしか飲んでいなかったので肉が恋しかったところでありがたい。


「うわぁあ!!何これ、すっっごくおいしい!!こんなの初めて食べた!」


声を上げて誰よりも速く生姜焼きを平らげるのはハナビちゃんだった。


「そう?レシピは簡単だからまた今度教えてあげるよ」


「やったー!テイラーさん?ってお兄ちゃんより料理上手なんだね……あ、お兄ちゃんの料理も嫌いじゃないよ?あれはあれで美味しいから」


「そう……できればテイラーさんじゃなくてお父さんって呼んでくれる?」


「ひえっ」


「嘘嘘冗談だって〜」


(多分本当に呼んで欲しかったんだろうな)


「そうだ、これからヒバナちょっとだけ借りるね」


「ハナビを頼んだ」


そう言いつつひと足先に食べ終わった二人は別の部屋に入って行った。多分これ、私たちに聞かれたくない内容だろうな。ハナビちゃんをわざわざ私に監視させておくなんて、よっぽどのことなんだろう。いや私の信頼度高すぎない!?まぁ覗いたりなんてことまずしようとは思わないけど。



 ──午後1時30分・空き部屋──



個人的にこの家はコンパクトでありながらも部屋が多くて好きだ。車椅子に乗っている自分が快適に暮らせるようにするために急遽こういう作りに変更したが、今思えば車椅子でなくても、あの戦いがなかったとしても私はこの家を作っているかもしれないとつくづく思う。元々この家は私たち三人で暮らす用だったせいで一人暮らし用には部屋がちょっと多過ぎる。そのため、いくつか空き部屋というものがあり、そのうちの一つ、ハナビから一番遠い場所にある空き部屋に私たちは来ていた。


「さてと……7年と2ヶ月12日経ってようやく里帰り?ヒバナ」


「んなもんいいわ。本題から入る……ハナビを頼みたい」


「何言ってるのさ、元より私の方から預けたんだよ?……正直言ってここに来たのはちょっとした観光が理由であって欲しかった」


「そんなに強いのか?あんたを瀕死にまで追いやったっていう奴は」


「まぁね。あの男に勝てるのなんて多分、ミズキくらいだと思うよ」


「でもあんたはそいつ相手に足止めくらいはできたんだろ?」


「いや、そんなものできても数分が限界。だからこそ一応!何度も言うね──あの男……フォボスに殺されたくないなら私から距離を取っておくほうがいいよ」


これはミズキが言っていた情報によるが……フォボスにとって私は結構邪魔な存在らしい。ならばなんの前触れもなく私を排除しに来る可能性も無くはない。


「フォボスと対峙した時、私だけならミズキが来るまで耐えられるけど……他を守ってる暇は流石に無いしね」


「だとしてもあんたがさっき言った7年と少しの間、そいつは一度も襲いに来なかったんだろ?」


「7年は短過ぎる。私にとっても、フォボスにとってもね」


偶然、少しだけ世界が揺れた。震度的には1かそれ以下……ほとんどの人は気付きもしないだろうが、私たちにははっきりと感じ取れた。


「……地震?」


「最近よく起こるんだけど……もしかしたら、ね」


「なんだ?」


「まぁ杞憂であると信じるよ。それよりも、色々聞かなきゃいけないことあるからさ」


「あぁ、その上であんたを納得させて見せる」


「ふーん、まあ頑張ってみなよ、私はハナからハナビを受け入れるつもりはないから」


わかっているよヒバナ。わざわざここに来たってことはそれだけハナビに関して非常事態だったってこと。それでも背に腹はかえられぬ。命が何よりも一番なんだよ。

テイラー名付けまで

火花と花火

火をつけるもの

ライター

タイラー

テイラー


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