表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
能力教室の号哭  作者: たるたるそーす
星を追う飛魚編
73/101

変なおじさん

 ──午前11時・富士山役所前──



ただならない不安を抱えてはいたものの、結局は案外楽に身分証をとることができた。これが日本区の中だったら戸籍だのなんだのでめんどくさかっただろうが、ここは外界なのだ。戸籍なんて物作ってしまえば良いのだ。という普通に問題大アリな思想の中でこの世界はまわっていることを知った。


「ん、じゃあとっとと行くぞ」


「そう言えばだけどお兄ちゃん、俺たちってどこに住むの?テントは置いてきてたじゃん」


「言ってなかったか?ここに知り合いが住んでるからそいつの家に泊まらせてもらうんだよ」


「ふぅーん。ちなみに何日滞在する予定なの?」


俺は(・・)長くて10日だな」


俺は(・・)なんてわざわざ主語をつけているのはきっと、できればハナビちゃんにこれ以上嘘をつきたくないんだろうな。


「へぇ?もっと留まってけばいいのに?」


「!?」(私が驚く声)


「!?」(ハナビちゃんが驚く声)


「よぉ、久しぶりって感じだなぁ、死に損ないのオッサン」


振り返って声の聞こえたところを見てみると、私たちよりも低い位置にその人の頭はあった。まあこの人は一言で言うなら変な人なのだ。どこがって?全身誰よりも筋肉詰まってそうなのにめちゃめちゃ車椅子ってところかな。普通車椅子って体自体をあまり動かせなくなるから筋肉が衰えるはずなんだよね。というかそれどころじゃないこの人何か変だ。……感情が読めない?嘘でしょ!?


「やめようね?他人の黒歴史掘り起こすのは……それよりもこの部外者は誰かな?」


「こいつは部外者じゃねえよ、れっきとした旅仲間だ」


「ほーん、あのヒバナがねぇ、「旅仲間だ」ってねえ、HAHA、ウケる」


「おじさん、だぁれ?」


「ほらぁあぁぁ、ヒバナがそんなこと言っちゃったからハナビすらも真似しちゃったじゃん!ハイハイ、どうせ自分は30代の年代的に一番キッツイ時のおじさんですよおぉ」


「ざまぁないぜ」


「えぇ?(困惑)」


うぉぉぉと呻きながらうずくまる変な男の人、正直言ってめちゃくちゃ怖い。ヒバナさんとか私の知ってる男の人が結構細身多いからって言う理由かもしれないけれど、改めて結構ガタイいいよこの人。さっきの兵士よりもいいんじゃないかな。


「そうだ、君はどう思う?私、別におじさんじゃないよね、ね?」


「あっ、いや別にそうですね、ハイ。おじさんではないと思いますよ?」


「この子マジ偉いわ。好きになっちゃう」


「おい、その発言はマジでやばいぞ、というか死ぬぞ?社会的に」


なんかなんやかんやで仲良さそうではあるんだけどなぁ。ヒバナさん、口ではああ言っているけれど心の中ではまんざらでもなさそうだし。……ん?あれ、ハナビちゃんが私の影に隠れている。


「ハナビちゃん、どうしたの?」


「………あの人、なんか怖い」


恐怖と不安と困惑、十中八九あの人のせいだけどなぁ。まあわかるよ?口には出さないけど完全に不審者の類だしね。一人称はもう諦めた。まぁ今時筋肉モリモリマッチョマンの変態がいるわけだし今更……あ、これはミズキ先生が言っていた話だけど個人的にすごい可哀想。


「ちなみにどんなところが?」


「全部」


「泣くぞ」


「あ、会話聞かれてた」


「おう泣け、んでもってその醜態が完全に世間に晒し出されてから爆破してやんよ」


「(´・ω・`)」


いやそんな顔でこっち見られても……あぁほらハナビちゃんの力が強いってか痛い痛い。


「あのぉ……」


「どうした?そんな顔してもお前の仲間は誰もいねえぞ?見ろあのハナビの顔を、もっともお前が見ればさらに悪くなるかもだがなぁ!」


「ふざけんのも今のうちだぞ?わたしゃあ老害かもしれんがなぁ、そんなこと言ってたらッ!後で後悔するヨッ!」


「語尾にカタカナつけんな気持ちわりい、そんなんだからおじさんなんだよ」


「あの!場所変えましょう?」


「「あ」」


気付けば私たちは人に取り囲まれていた。…いや能力使うまでもないわ、距離感とか警戒心とかその辺りだろう。よかった外界にスマホという概念がなくて。あ、カメラはあるんですねちょっと聞いてない待ってくださいそこのあなた。


結局この場はすぐに収まった。ヒバナさんたちが色々してたから悪い噂は流れないだろう……多分。



 ──同時刻・???──



誰にも知られることはない。これまではまだ、その時ではないからだ。故に誰も気付かない。この切迫とした状況に。もうその時が……。これには意思があるわけでもないし目的があるわけでもない、いわばただの生理現象。ただ言えることは、今回だけは、止められることは無いだろう。過去4回この機会があったが、全てが一人の干渉により先送りにされてきた。


これは、あるはずのない災害であり、人々の心から忘れ去られた災害である。来たる9月26日、人々の表情は絶望以外に染められるだろうか?未来はまだ手中にはない。

コマンドー見返したので許してください

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ