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能力教室の号哭  作者: たるたるそーす
飛べない豚編
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夏休み明け課題テスト

 ──8月23日・チハヤ家──



一応私たちはこの世界(日本区)の中ではかなり、というか最もと言えるくらいには優秀である。別に自慢をしているわけではないが、少なくとも私たちは強いだろう。さらに言えば、学校の中でも落ちこぼれというわけではないし、いじめや何かの問題に巻き込まれているわけではない。今のところはなんともない普通の高校生活……ただ問題は、この学校が決して普通の高校ではないことだろうか。


結局私たちは全員能力祭へエントリーすることを決めた。


「君たちはみんな私の生徒なんだから強いよ?いけるでしょ!」


とか言っていたけれども、先生は知らないのだろうか?毎年のようにテレビに映る能力祭の中で繰り広げられる熱血とした戦いを。


(疲れたし、ちょっと刺繍しようかな)


裁縫が好きなのに特に理由はない。強いて言うならばかっこいいからだろうか。昔っからずっとやっていたから、今ではもうすっかりプロのような手つきができるようになった。少しは楽しいけれど、すごく楽しいかと言われればあんまりって感じだなぁ。


まあ嫌な気分はしないけれど。






 ──9月2日・1年3組教室──



「それでは、始め」


やっちゃったぁぁぁぁ。うわぁぁぁあ。忘れてたぁぁぁ。


机に向き合う。目の前にあるのは国語のテスト用紙。名前を書いて、問題用紙を開く。


何度も言うが、この学校は進学校だ。だからかはわからないが、この学校では夏休みが終わったらすぐ、課題テストが行われる。課題範囲から出題されるから大丈夫かと当初は思っていたが、それでも私たちはみんなこれの存在自体を忘れていた。


(まずいまずい。もしこれで悪い点数取ったら、最悪の場合能力祭に出場できなくなっちゃう!)


能力祭のエントリーが行われるのは課題テストのすぐ後である。それはつまり、課題テストの結果が悪ければ、問答無用で能力祭に出られなくなってしまうという可能性があるのだ。


私たちはこれまでこれといった勉強をしていなかった。マオやアオイあたりは多分大丈夫だが、ショウとリュウがちょっとね。まあ信じるしかない。あれ、これどう活用させればいいんだっけ。……ちょっと集中しよう。








 ──9月4日・ミズキ特別教室──



「やったね」


「やってしまいました」


「うーん、まあしゃーなしだね」


「すみません……」


案の定、ショウが赤点を出したので、ショウは能力祭にエントリーできなくなってしまった。他の生徒はかろうじて赤点を回避していたので、私たちは7人でエントリーをした。


エントリーをしたとしても、それは確定ではない。確実に希望者は百を超えるだろう。その中から16人を選ぶために、学校は近くの山を貸切にして毎年バトルロワイヤルを行う。そこで残り16人になるまで戦闘不能にならずにいれば晴れて能力祭に参加できる。


「つまり、私たちが対策すべきことは、複数人を相手するときの戦略だよ。みんな、久々の座学だよー」


「あ、これ俺も聞いたほうがいいやつ?」


「そりゃあもちろん」


バトルロワイヤルは近場の山、標高300メートルほどの小山で行われる。能力でも道具でも学校が認めるならば何でもありで、気絶したり、戦闘不能状態になる、または山から出てしまうと即退場。これを残りが16人になるまでし続ける。つまりは夜になろうと嵐が来ようと、残り16人になるまで続く。そういう過酷な戦いだ。


逆に言えば自由度も高く、誰かとペアを組んで行動するもよし、ずっと隠れてやり過ごすもよし。本当に何でもありだ。


また、参加者は学校側から特殊な端末を渡され、それによって管理が行われる。具体的な機能としては

残り人数の表示

気絶、その他戦闘不能時の退場判定

棄権用・業務用の通信

が主である。


強さとは一つではない。ではそんな多数の定義があるものを一つのもので判断するには?この学校はそれに対して、同じく解法を自ら制限しないことで解決することにしたのだ。


「君たちが今からすべきことは二つ。実践経験を積むことと、能力の強化だね。要はいつも通りやってればいいよ」


「…………」


それでも私には、不安が残っている。


16人。これはつまり約500人いる全校生徒の中の役3%になれということ。それもこの環境(能力進学校)でだ。この学校に入っている時点ですでに人の中の上位3%には入っているはずだ。その中の3%………約0.1%になる……


さらに言えば私たちはこの学校の中で最弱(一年生)。言われずとも厳しいことはわかっている。


「絆強化……どう使えるのかなぁ」


今のままでは(・・・・・・)使えないよ?」


「うわびっくりした、先生かぁ。で、私ってどうすればいいでしょうか?」


「まあ能力使えないなら体術磨くしかないんだよね。でも、チハヤはあんまり体術得意じゃないでしょ?」


「はい、お恥ずかしながら……」


「じゃあ──」


私たちにできることはそこまで多くない。ならば私はこうやって付け焼き刃でも、刃を強めていたほうが良いと、そう思ったのだ。

補足: これまでは生徒はみんなそれっぽく取り繕っていたため、第3話『ミズキ特別教室』でのマオの偏見はあまり役にたちません。ちょっと紛らわしいですね。ごめんなさい。


補足: もしショウが出れていたら出場までは無双できます。まあ学内最強とは言い切れませんが。


補足: この年の9月1日は日曜でした。よって課題テストの日(9月2日)は学校初日ということになります。

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