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能力教室の号哭  作者: たるたるそーす
小さな蟷螂編
32/100

対天城ミズキ特別組織【奈落】・十

十!?


おかしいな、三話くらいで終わらせるはずがいつの間にか。あと数話で終わらせたい

昔々のそのまた昔、今となっては昔話になってしまった、私とフォボスが最初に出会った時の話だ。あまり覚えてはいないが、私は寿でフォボスを完膚なきまでに打ち負かした。実を言うと私はそこまでしか覚えていないが、今はそれだけで十分。重要なのは、「紅刀・寿がフォボスをボコボコにした」という事実だけだ。


あー、えーっと、なんだっけなあ。なんでかはわからないけどほんっとに思い出せない。まあ五百年以上前の話(・・・・・・・・)だからなー。うん。仕方ないね。



 ──午後7時40分・外──



「ちゃんと見てなよ?……『彩られし赤紫よ、今、唯一つの光へと交錯せよ。』」


二つの刀の刀身を交わらせる。藤色と桜色の刀身が合わさり、繋がりが深くなっていく。と同時に刀が光の粒子となって宙に舞う。


それはさながら蛍のようで、それはさながら雪のようで、淡い、されど消えない力強い光を放ちながら……やがて一つの形にまとまってゆく。二つの光は一つの形を形成して、最後にそれぞれの光が赤と紫に変色して…………一つの赤紫色の大太刀を残した。


これに必要な条件は「紫刀・雅と紅刀・寿の両方に蓄えられているエネルギーが最大値である」こと、そしてちょっとした詠唱を唱える(音声パスワード)だけだ。寿は元から満タン、雅も私が来た時にはすでに満タンになっていた。刀を満タンにするために必要なエネルギー量は膨大であり、少なくとも一般人100人程度は必要だろう。しかし、その分の威力と能力は保証できる。そうしてできた、その名を────


赤紫大太刀(セキシオオタチ)千紫万紅(センシバンコウ)……少なくとも雅や寿よりかは強いよ?」


「あぁ……はは……そうか……そうかそうか、あぁ。そうだな。それを出した時点でもう、覚悟は決まった……全力でぶっ殺してやるよ!!」


「そうかそうか、ではフォボスよ……死んでくれないか?」


「嫌に決まってんだろ……!」


お互いが本気を出す最強同士の激突が、今始まる。





さっきまで接戦、いや、ミズキ先生の方が有利だったこの戦いは、ミズキ先生が大太刀を出した時からほぼ互角の戦いとなった。


「……今……見えました?」


「いえ、先程までは目で追えていたのですが……雅が大太刀になってからはどちらも見えなくなってしまいました。互いがぶつかり合う時は一瞬だけかろうじて見えますが……」


フォボスが取り出して使っているのは包丁程度の大きさのナイフ。大太刀とナイフでは勝負にならないと思っていたが、この状況を見るとそうでもないらしい。


「信じてください。ミズキさんはとても強いです。きっと勝てますよ」


「そう……ですね」


言葉の間を埋めるのはいつもの静寂ではない。肉体と肉体のぶつかり合い、武器と武器のぶつかり合い、それらはすべて力の衝突となり、火花を、音を、エネルギーとして放出し続けている。それはまるで、あたかもこの戦いがこの世界の中心であるかのような、耽美的な戦闘()であった。


そして俺たちは、いつしかその光景に見入ってしまっていた。


戦闘はまだ終わらない。





「そのナイフのことなら知ってるよ。生憎詳しい事までは覚えてないけども」


「知らないなら結構!そのまま死ね!」


フォボスの能力により、何もない空間に魔力が集まり火球が形成される。その数実に──300。


火球の軍勢が次の瞬間私目掛けて降ってくる。自我を持っているように、火球は私の周りを囲み、徹底的に逃げ場を潰していく。


まずは火球を避けて……これ火球じゃないな。ただの高密度の魔力の塊だ。


避けた火球だと思っていたものは、地面につくや否や爆発を起こした。力の暴走は直径3メートルほどのクレーターを残して自然と消えた。


「こりゃあ、隕石だ」


「そんな所を見て、随分と余裕だな」


「そっちこそ、こんな大量に魔力出してもいいのかな?操作も大変だろう….っ!」


私は魔力弾を斬ることよりも受け流して避けの姿勢にシフトチェンジする。しかしそこにもしっかりフォボスはついてきて一本のナイフで追いかけてくる。それに対応しながら魔力弾を避けつつ最低限爆発させないように受け流して……やっぱり数が多いと困る。これ腕四本あっても足りないな。


いーや、やってみせるさ、このくらいできなくてフォボスが殺せるか!完膚なきまでにボコボコにしてやるよ。


魔力弾が浮遊する中、交戦は未だ続く。

舐めプしあっていたプロゲーマーが全力でやり合い始めた感じ。


フォボスの言っている「それ」とは千紫万紅ではなく寿の方です。

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