隠匿、嘘つきへの断罪・下
修正:一部 「…」を「……」に変更しました。
修正: 一部「ーー」を「──」に変更しました。
修正: 「隠匿、嘘つきへの断罪」の後ろについていた「一・二」を「上・中」に変更しました。
変更点多くて申し訳ないです。
──進路相談室2──
少し落ち着いたからか、視界がクリアになる。教室の様子を見ることができる余裕ができていく。俺とミズキ先生は教室の真ん中で机と椅子を向かい合わせて座っていた。部屋の電気は消えていて、窓から入る真夏の昼の陽光が教室を薄暗く照らしていた。
「とは言っても……ショウは『昇化』よりも先にみんなと仲直りして欲しいと思ってるんだよね。」
「はい。この後すぐに謝るつもりでいます。」
「そんなショウさんに問題。」
「はいっ。」
「あなたは嘘をつきました。そのことをこの後急に話すと、みんなからはどう思われるでしょうか?」
「えっと……普通『もう信用できない』と思われる……はずです。でも、それは俺が受けなければいけない罰で──」
「前半は正解。」
俺の言葉を遮りながら先生はぴしゃりと言い切った。「じゃあ後半は?」と聞きたかったが、ミズキ先生は間を空けない。
「んじゃ次。信用を再び得るためにはどうする?」
「……失態以上の成果を出すことですか?」
「そ。さて、ではこれらのことからショウがすべきこととは?」
「……誰よりも速く『昇化』を習得すること……ですか?」
「ありゃ、こりゃあ多分聞いてなかったな。」
「…ごめんなさい。」
「いやいいよ。今からもう一回説明すれば良いだけだし。」
一拍置いて先生は話し始める。
「実は能力は……進化する!」
「進化……ですか…?」
「ありゃ、思ったより反応が薄い……って、いやいいよ、全然大丈夫うん。」
日本人の悪いところである。雰囲気作りのために思ってもみないことをあえて言う。先生はそれが嫌いなのだろうか、どちらにせよ俺は拍手しようとあげた手を下ろした。
「随分前に授業で能力の解釈を広げろって話したよね。」
「……はあ。」
「あれの理由がこの『能力の進化』。」
先生が言っていた言葉を簡単にまとめるとこうだ。能力の解釈を広げていくと、だんだんとその解釈にあうように能力が変化していく。これが『進化』である。こうなると、その解釈にあった能力の使い方をすることが可能になる、もしくは使いやすくなり、より一層能力を深く自分に定着させ、強化させることができる。ただし、欠点として元の能力にはもう戻らないという点がある。
「つまり俺は……俺の能力を進化させれば良いんですね。」
「そゆこと。ま、ショウの能力は一番扱いやすいからね。その分進化もしやすいだろうし、伸び代もある。こうすればみんなも許してくれると思わない?」
「そう……かもです……!そうか。ですね!俺、覚悟決めました。……どうか、俺に指導をお願いします!」
「うんうん。やる気があるのはいいことだけれども……私はロジックを教えるだけだよ?」
「0からと1からでは全然違います!だって0に何かけても0じゃないですか!」
「……お、おぅ、頑張れー……私からのアドバイスは二つ。今覚えられるだろうし、メモはしなくて良いよ。一つ目は……自分の根幹を見つけること。要は『何に重点を置いて戦うか』だね。二つ目は……『今の能力を知り尽くす』ことかなあ。」
なるほどなるほど、俺は能力の座学は結構好きだから大体わかったぞ。……多分。好きではあるが得意ではないのが難点だが……
「具体的には──」
こうして、長い長い俺の面接は終わった。俺は別に最後の番というわけではないから、みんなを待たせてしまっている。
「……先生……俺、頑張ります!ありがとうございました!」
「ほーい。あ、でも言った二つは絶対に忘れないように。大事なとこだけ詰めて二つに抑えたんだからね。」
「……はい。」
「……あれー?いつものショウの感じじゃないぞー?」
「……はい!」
「よろしい。君には結構な重役を務めて欲しいから、任せたよ。………そうだ。最後に一つ。こっち向いて。」
ドアに手をかけて、教室を出ようとする俺の背後から先生の声が聞こえ、振り返が、先生の掌には大きな──鎌?
ミズキ先生の体を覆い被さるような大きさの鎌だ。逆光でよく見えないが、多分黒色、そしてそれに反するような白の輝きを放つ刃の切れ味は、光の反射が全てを物語る。先生は鎌を何の躊躇いもなく──俺に振り翳してきた?
「……?えっ!?ちょ待っ……!」
防……げるわけあるかい!出した部位が真っ二つになる!でもこの速さ……避けれな……いいや、いける!能力を足に集中!踏ん張って……くそ!思っていたよりも踏み込みが浅い!このまま動いても速度が足りな……!
シャッ!!
振り下ろされた鎌は俺の体を貫いた。




