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能力教室の号哭  作者: たるたるそーす
小さな蟷螂編
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隠匿、嘘つきへの断罪・上

この前日常会が続くと言ったな……あれは嘘だ。


というのも刺激がなさ過ぎるのも良くないかなと思い、作者の独断でこうなりました。身勝手ですが、どうかお許しを。

 ──7月21日・ショウ宅──



俺たちが訓練に没頭する中、気付けば夏休みが始まっていた。ミズキ先生は俺たちそれぞれに合った別々の訓練内容を考えているらしい。だから俺はみんながどうやって訓練しているのかわからない。ちなみに俺はというと、初めは能力を最大限引き出すための瞑想から始まり、今は数学の問題を解きながら能力を発動して動き続ける……なんて事をしている。戦いでは瞬時に様々な事を見極めなければいけない。だからこそ、能力を無意識的に発動できるようになる程使い潰すことは大切なのだ。とミズキ先生に言われた。


夏休みになってから、特別教室の頻度は増えたが、それに比例するように自由時間も増えた。俺はそんな自由で、何もかもを成し遂げられるような輝かしい夏休みを満喫……できるわけがなかった。今、俺は家で死んだように倒れながら、ぼーっとしているのだ。


「くそう……やることない……はあ……学校行きたい……」


と言うのも、俺には特に趣味という趣味はない。ミサキみたいにアニメ観賞とか、しっかりとしたものがあれば、それに没頭できる時間として時間を割けたのだろうが……かろうじて体は鍛えるつもりではいるが、普通にだるい。両親は今日も夜遅くまで仕事だし、だーれもいない。だからといって目的も無しにどこかに出かけるのも気がすすまない。これ、まだ夏休み初日だぞ?この調子で大丈夫なのか……


しかし、そんな俺に最高の知らせが入る。スマホが通知を受信したのと同時に俺はスマホを見る。連絡アプリからだ。どうしたのだろうか。


天城ミズキ『一応夏休み中はずっと学校にいるはずだから、来たい人は来ていいよ。ちょっと前までは忙しかったけれど、今ならみんなに詳しいこと教えてあげられるし、いつでもウェルカムだよー』


それは今の俺にとって、素晴らし過ぎる情報だった。少なくとも学校に行けば先生に会える。よっしゃあ!行くしかない!


俺は足早に小さめのトートバッグに筆記用具と水筒を入れて、家を飛び出すのだった。



 ──30分後・進路相談室3──



「うわぉ、流石に先生もびっくりだよ。気が向いたら来てくれればいいなーくらいで考えてたのがさ、なんで30分で全員集結してんのさ?まあいいけど。」


ミズキ先生は呆れたような、しかしどこか嬉しそうな声で俺たちに言った。みんな同じなのかな。暇でしょうがない……いや、それよりもみんな自分のしたい事をするよりかは、ここに来て訓練だのみんなと話したりだのしたいのだろう。


「さてと……みんなあ。今日せっかく来てくれたわけだし、なんか質問あったら私に言ってみてよ。いつもギリギリまで訓練したり、私が忙しかったりで質問できる時間がなかったからね。」


「あ、じゃあ質問いいですか。先生。」


そう言ったのはアオイだ。


「昇化のコツについて、教えてもらってもいいですか?と言うのも私たち、5月ごろからショウからずっと『昇化』について教えてもらいながらどうにか習得しようとしているのですが、それから二ヶ月、私たちは誰一人として『昇化』を習得することができなかったのです。」


……は?嘘だろ?まじか、まずっ。まずい!やばい!!俺はみんなに適当な事言っていたから、ミズキ先生の言うことによっては矛盾が生まれる!


俺はミズキ先生の方を凝視しながら、願った。願わくば次の発言が来ない事を。発言が俺の教えと矛盾しない事を。しかし、そんな叶うはずもない願いを嘲笑うかのように、ミズキ先生の口はいつもと変わらず動き始める。


「二ヶ月もか……じゃあまず、どんな事を言われたのか教えてくれる?」


終わった。この後俺の発言が明らかになる。ミズキ先生ならそのことに違和感を持つはず。そして俺の嘘は消え去り、露見する。ああ……アオイが俺の話を伝えている。ミズキ先生が真剣に聞いている。終わったな。あーあ。みんな、ごめんなさい。


俺は目を瞑った。次の瞬間、ミズキ先生の運命の言葉が紡ぎ出される。


「なるほど……ごめん。多分それ、私のミスだね。」


え?どういうことだ?


ミズキ先生の発言は俺を終わらせるものではなかった。俺は目を見開き、黙って先生の発言を聞く。


「まずね、ショウにみんなに『昇化』を教えてあげてって言ったのは私なんだ。」


「はい、そうですね。ショウから聞きました。」


「これ、なんでかって言うと、ショウの能力が『昇化』と似てるからなんだよね。効果も、原理も。ただね、だからといってショウ自身はまだ『昇化』をまだ使えないんだ。それに、能力の使い方ってのは人それぞれだからさ、ショウにとってはやりやすい方法だとしても、みんなにとってはやりにくい方法ってこともあるんだ。だから──」


擁護……してくれた?何故かはわからない。特に深い理由もなく、ただ単に先生がそう考えたからかもしれない。他にもいくつか理由は考えられたが……だとしても今正確にわかることは一つだけだ。助かった……


「えーっとねえ、じゃあ私がそれぞれやりやすい別々の方法を考えてみるよ。えーっと時間は……まだあるね。じっくり考えたいから一人ずつやるね。じゃあせっかくだし今回もアオイからでいいかな?」


ミズキ先生の発言で俺は助かった。ミズキ先生とアオイが隣の教室に移動した後、俺はみんなに向かって謝った。アドバイスが役に立つどころか、むしろ邪魔してしまっていて、ごめん。と言った。むしろ、みんな優しかったから、許してくれた。みんな優しかったから、「こっちが話を信じすぎてた。ごめん」って、謝らせてしまった。


……ほんっと、笑えるよな。みんなが謝ったのは他でもない俺のためだっていうのに、俺が謝ったのは自分自身のためなんだ。


背徳感が俺の背中を這い回って止まない。気を抜いたら冷や汗をかいて、肩で息をしてしまいそうだ。心臓の鼓動が速くなるのが聞こえる。


……今、言うべきではないのか?実はあれはわざとで、みんなの成長を遅させるためのものだったんだって。みんなを俺の周りに留めるための嘘だったって。……正直言って、もう辛い。仲間を欺くことは、想像以上に難しく、辛く、怖いことだった。だから、もう終わらせてもいいんじゃないか?


「みんな……」


俺は一拍置いてから……こう言った。


「……いや、えっと……そうだ。みんなはどんな事を考えて戦うんだ?ほら、人によって色々個人差があるってことはさ、そう言うのも知っておいて損はないんじゃないか?」


結果、俺は躊躇った。今感じている怖さや辛さよりも、全てを晒す一瞬の感情が、何よりも何よりも怖くてたまらない。もうわかっているよ。俺がどうしようもないクソ野郎だってことは。だけれどさ、もう仕方ないんじゃないか?まだみんなにはばれていない。真実はまだ俺の中。まだいいんじゃないか?


あと少し……あと少ししたら話すから……


それまでは……いいかな(隠していたい)

時間が経つのがはやい?ずっと鍛錬しているだけで見どころなかったのです。作者にそこを上手く見せる技量があれば良かったのですが……すみませんが今後も急に時間が飛びます。しかし、その間も生徒たちは頑張って訓練しているので、確実に強くなっています。


補足: もうすでに全ての生徒は最初とは別の発展的な訓練に進んでいます。訓練風景をあまり描写するつもりは今のところないです。すみません。暇があれば少し想像してみてください。


補足2: 今更ながらですが、この世界では戦いは頻繁に起きますし、人々は戦いは普通に起こるものと思っています。しかし、それが大事に繋がってしまっても、警察などという組織が動くことは少ないです。これは、警察などの組織よりも大事を起こす人々の方が強いからです。そのことがあってか、この世界では「強さ=権力、称賛されるもの」みたいな風潮があります。要はこの世界は実力主義で、強さは現実世界で言う学力みたいなものです。そのため、強い人というのは偉い人であり、かっこいい人であります。この世界の大半が強さを望むのはそのような理由があります。(少なくともミズキと生徒たちは別ですが)また、こうなった原因として、ミズキと一人の戦鬪狂が関係しています。(詳しい話はまだ言えませんが)

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