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能力教室の号哭  作者: たるたるそーす
星を追う飛魚編
100/102

焔風の支配者・二十一

100話だぁ。


ここまでモチベ保ったまま一つのことをやり続けた事なんてなかったので意外にも作者が一番驚いています。


本当に超ざっくり概算ではあるんですけど、今のところこの作品は300話くらいで終わるかな?と思っています。


あと続編も考えたりしてます。見るか見ないかはあなた次第です。

 ──午後5時・テイラー家──



「お疲れ、どうだった?」


「いやマジで……チートだろあんなん……」


「だから今から考えるんでしょ?」


偽ハナビとの戦闘の後、暫く休んでだいぶ体力が回復して来た頃、ダイニングにはもう俺以外全員が揃っていた。


まだ完全に回復しきっていないせいか少しもたつくが時間の問題だろう。そんな事を考えつつ椅子に腰を下ろす。


ここ最近は電気をつけていない。つけると周りに存在をバラしてしまい、家が混乱状態になると困るからだ。テイラー曰くよっぽどの事がない限り中には入られないはずだが一箇所だけガラスが割れているのでそこだけ心配だそうだ。アレはちゃんと強化ガラスだったため代わりの何かで塞いだとてあまり効果はないらしい。


「さて……まず何から話し始める?」


これからは作戦会議だ。思ったことは隠さずにどんどん共有していこう。


「そうね、まずあの子の能力だけれども…」


「詳しいことはまだわからんが、アレはおそらく「動き」を操る能力だ。これならあれらの現象全てを説明できる」


「だろうね。それにこれが当たってようが外れてようが一旦はそうと仮定して話を進めると、尚更今後はどう「隙を突くか」っていう戦いになるはず」


「あぁ、実際死角からの攻撃は通った。奴の「視界の外」から一撃を与えられれば勝機はある」


「でもやっぱり厳しいところあるよね……もし戦いが始まった瞬間に──なんなら見つかった瞬間にこちらの動きを封じられてしまえばなす術なくやられちゃうし」


「それは陣形を工夫すればどうにかなるだろ。主戦力だけでも俺とあんたの二人、偽ハナビを中心として一直線上に居続ければ少なくとも俺とあんたのどちらかは動ける」


「となればあとは、どう拘束するか、かな」


「そうだな。生半可に縄とかで縛ってもすぐ脱出されそうだし、かと言って気絶させたままだと情報も吐かせられねえ。いや、考えればここが一番の難所か?実際俺はそこで躊躇ったわけだし……」


「ぁ、あのー……発言してもいい、ですか?」


情報共有がてら今後の作戦を練っている中で一人声を上げたのはミサキだった。か弱い声であったが、俺たちの耳が反応するには十分なボリュームである。


「なんだ?」


「あのぅ……私、ハナビちゃんに能力を使ってみたんです。本当はこれで感情をかき乱せばチハヤの方を向いてくれるかなって思ったので……」


そういえばミサキの能力は『感情の糸』だったっけか?それなら納得だ。むしろ前線に出れない身としては最高の選択だろう。


「それで……あの、ハナビちゃんの中を覗いてみたんです」


「長くなりそうだね。もっとリラックスして話していいよ。誰も邪魔とか思わないから」


「あっ!すみません……いえ、わかりました。それで、ハナビちゃんの中、つまり意識を読み取ってみたんです」


「それで、どうだった?」


「初めは言っていたようにヒバナさんに何かしらの恨みを持っているのかなと思っていました。しかし私がハナビちゃんの中で見たのは、もう一人の、いえ、きっと本物のハナビちゃんでした」


「何!?」


「つまりはハナビちゃんは偽ハナビに囚われているか、乗っ取られているかってことだよね?」


「それがおかしいんです。それなら私は本物のハナビちゃんと偽物のハナビちゃんの二つの感情が読めるはずです。それなのに、私が読んだ感情は──重なった(・・・・)感情でした」


ここでミサキは一拍を置いて呼吸を整えた。そこには迷いが感じられなかった。


「つまりは二人は全く同じ事を感じているんです。そして、その二人のハナビちゃんの感情はなんだか複雑というかなんというか……少なくとも私には──」


もう一度一拍を置いて、ミサキがその一言をはっきりと発す。


「ハナビちゃんは本当に心からヒバナさんを殺したい、なんて思っていないと思うんです」


ほう、面白い事を聞けた。つまりは二人はほぼほぼ同一人物、という事なのだろう。まるでクローンみたいだな。


「っつう事は二人は俺を殺したくもあるし、生かしたくもあるのか。はは、あいつめ。俺のどこにそんな不満が……不満……?いや待て、そういう事なのか?」


俺はこれまでずっとハナビの行動を制限し続けてきた。ハナビは弱いと、守るべき対象であると。そのために俺は外界との繋がりを断ち切り、極端に制限を科す事でハナビを守り続けて来た。7年という長い歳月の中、ハナビ自身を縛っている事に目を背けながら。


あいつはここに来てさまざまな事を学んだ。美味いもの、楽しいもの、事、場所。それらは全てハナビにとっては全くの真新しい情報だったに違いない。


俺が制限をしたせいで、ハナビはそんな当たり前ですら特別と感じてしまうような環境にいる事を強制させられてしまったのだ。


「なんだ、結局は全部、俺の自業自得かよ」


結局のところ、そうだった。結局、善意は、善行と思う物は、結局全て愚策なのだ。

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