106話目 先輩としての役目
敵の人数が増えた
てことは、ここにミルトネアの団長がいる
やはり、ここが本命
だが、これだけの人数を相手に
現状戦えるのは
ルーカス様とマリア
そして、お嬢様
だが、お嬢様に戦ってもらうのは
気が引ける
アレンとアランは戦闘に慣れていない
それに、まだ15歳だ
こういう経験をさせたくない
私も戦えるが
足手まといになってしまうだろうか
無駄な体力を消費することはなかったが
怪我をしている
あと、どれだけ持つか分からない
「ルイス、大丈夫?」
「あ、すみません」
「なんや、傷痛むんか?」
「傷は痛みますが
そうではなくて……
マリアにお願いが」
「なんでも言って」
「アレンとアランとお嬢様を連れて
遠くに行ってくれるかい?」
「……ルイス、何を言ってるの?」
やはり、この反応になるか
そのことくらいわかっていた
自分でもなぜこういったのか
分からない気持ちが半分ある
だが、今はこれしかない
この子達に
これ以上は、見せられない
人が傷ついていく姿を
斬られる姿を
自分たちが斬って行く姿を
見せたくない
「私のわがままになってしまいますが
これ以上は、見せたく、ないです」
「……そか、でもルイス知っとるか?」
「何がでしょうか?」
「俺の妹ミアは、貴族の娘
そして、司令官やで」
「それは、知っています」
「そして、こっちにいるアレンとアランは
過酷な人生を経験しているのよ」
「マリアまで、だからって」
「大丈夫だぜ!俺たちは 」
「そうですよ、僕も今のような場面は
見たことあるので」
「私もよ!お兄様について行って
騎士団の稽古を見たことあるわ」
「ほな、大丈夫やな」
そんな、簡単に決めてしまって
大丈夫なのだろうか
私が心配性なだけなんだろうか
……多分そうなのだろう
心配性過ぎるのも迷惑になる時もある
「そして、ルイスひとつルールや」
「ルールですか?」
「そや、悩んだらアカンで」
「悩んではいけない」
「うん」
「何故でしょうか」
「悩んでたって仕方ない時があるやろ
ええか、冷静になるんのもしっかり考えるのも
大事なことやし忘れてはいけないことや」
「だったら、尚更 」
「だとしても、時にはバカに
なることも大切や」
「バカになることですか」
「そや、悩んでも答えが見つからんのやったら
試してみるしかないやろ」
「でも、それで失敗したら」
「失敗しても、死んでなければええんや」
「ですが、怪我をしている場合は
慎重に動く方が良いと学びました」
「それも大切やけど、慎重になりすぎたら
周りが見えんくなるやろ
それも怪我をする可能性だってある」
「確かに」
「ルイスは、全部を真面目に受けすぎや」
「受けすぎですか」
「そや、今の自分にとって必要になるもの
それを、見極めて受け取ることを学んでいかないとな」
「必要になるものを見極める」
「まぁ、それはそのうちわかるやろ
焦らんでも平気や気づいたら出来とるからな」
「そんなものなんですね」
「そや、砕いてみるとわかったりもするやろ」
「はい」
「それを、丁寧にできる時にすればええんや」
「ありがとうございます色々と」
「ええって、後輩を育てんのも
先輩の役目やからな」
ルーカス様は、どんな経験をされたのかも
年齢も分からない
今まで、気にならなかったから聞いてこなかったけど
ルーカス様は
大人なんだと、ちゃんとした大人だと
今、気づいた
そして、私は自分が
思っているよりも子どもだったことも
大人だと思っていたのに
まだまだ、学ばなければならないことが
沢山あることに
遅かったのか分からないが
それでも、気づけたことは
いいことだと思った
「そして、もうひとつ
先輩としての役目を果たさないとやな」
「もうひとつですか?」
「そや、こっからは大人の出番や」
ルーカス様は1人で
前に立った
今から何をするつもりなのか
心のどこかでわかっていたが
声が出なかった
足に力が入っている
ルーカス様が何を言うのか
私は、それを待つことしか出来なかった




