1話目 お嬢様、これはペガサスです
カッコがない文はルイスの心の声です
1話1話短編です
隙間時間にもおすすめです
私は、あるお屋敷に住んでいる
お嬢様の執事をしている
私が勤めているお屋敷は
由緒正しく、地位の高い一族が住んでいる
主人は力強く勇敢な方
奥様は可憐で淑やかな方
このおふたりから生まれたお嬢様
さぞかし、頼りになる方
……と思っていたのですが
「あははは」
お嬢様のお声が
……は?
お嬢様が、木にぶらさがっている!?
じゃなくて、木でできた馬にまたがっている
あれは……ペガサス?
「おお、お嬢様!何をされてるのです」
「あら、ルイス」
「危ないですよ、降りてください」
「大丈夫よ、それよりこれ楽しいわよ」
「こっちは、楽しくないです!」
「やってみれば楽しいわよ」
全くお嬢様の行動にはいつも
ハラハラする
「わぁ!」
「お嬢様?……って落ちる!」
「あぁ、びっくりした」
「びっくりしたのはこっちですよ」
「あら、ルイス、ナイス!」
「ナイスじゃないですよ全く
あと、お嬢様」
「何かしら?」
「面白いこと言ったわ感出てますよ」
「あら、いいじゃない
この話コメディなのだから」
「確かにそうですけど
言わないでください」
「どうして?」
「何かが崩れます」
「何がかしら?」
「分かりません」
こんなことが日常茶飯事
私も慣れてはきましたけど
焦りはします
正直怖い
「お怪我をされたらどうするのですか」
「その時は、治してもらうわ」
「そう、簡単に治る傷ばかりではありませんよ」
「また説教?もう聞き飽きたわ」
「そんなこと言われましても」
お嬢様は、良い方なのではあるのですが
活発すぎというか
お嬢様らしくないお嬢様です
「ねぇ、それよりもこれ凄いでしょ」
「木でできた馬ですか?」
「そう!これユニコーンなの」
……これが、ユニコーン?
羽が生えているし
角ないし
「お嬢様、こちらはユニコーンではなく
ペガサスです」
「何言ってるのよこれは、ユニコーンよ」
「……そうですね、よく見れば
これはユニコーンです」
「うふふ、そうでしょ」
そういうことにしましょう
こんなに、目を輝かせている
お嬢様に本当のことを言うのは
可哀想な気がします
このお屋敷には由緒正しき一族が住んでいる
勇敢な主人
可憐な奥様の間に生まれた
お嬢様は、とてつもなく
アホで、活発でいつも私をハラハラさせる
そんな、お嬢様の執事をするのは疲れます
でも、なぜだか毎日笑っている気もします
どんなに、手がかかっても
私にとっての可愛らしいお嬢様は
ただひとり、ミアお嬢様だけ
【おまけ】
【ペガサスとユニコーンの違い】
「お嬢様いいですか」
「いいわ」
「まず、ペガサスは羽があります
そして、ユニコーンは角があります」
「ペガサスに角はないのかしら?」
「ありません」
「なら次は、ユニコーンを作るわ」
「はい」
お嬢様と執事の1日を読んでいただきありがとうございます
お嬢様と執事の一日を見て少しでも笑ったり
癒されたら嬉しいです
これからも、同じように短編でどんどん投稿していきます。