死にたい少年
『ピッピッピッピッ、』
薄暗い部屋の中、アラームの音が鳴り響く。
少年はかろうじて保っている意識をフル回転させて
アラームを手探りに探し始めた。
少年の名は亜久日向。高校2年生である。
「はぁ、今日も学校かぁ」
日向は嫌そうに言いながら起き上がる。
日向は他人より成長が早かった。日向は人間の死について
正確に認識してしまったのだ。
だからこそ日向は未来をとても嫌がり、
死さえも願っていたのだった。
1階から声が聞こえてくる
「ひなた〜、早く起きなさい。遅れるわよ〜」
母親が呼ぶ声がして日向は急いで部屋を出る
そして日向は叫びながら階段を降りた。
「ごめん、いまいくから〜」
日向は急いで駆け降りると、食事をとり始めた。
鬱々とした気分の中、日向は食事を食べ切り家をでた
「行ってきます」
そう言って家を出る。日向は早足で道を通り抜け、駅で電車を待っていた
彼は2駅先の学校に通っていた。
そして電車に乗り、2駅先で降りて学校へ向かった。
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学校が終わると日向はすぐ帰る。
(はぁ、今日も疲れたな)
日向は学ぶということが苦手であった
それもその筈である。
日向は生きることすべてに絶望していた。
日向は心から死にたがっていたのである。
日向は未来に絶望した。だからこそ未来のために使う「勉強」そのものが苦痛なのである。
日向は家に着くとすぐに自室へ行き、携帯をつける
日向は全て絶望していたが1つだけ好きなものがあった。
それは音楽であった。日向は常に鬱々とした気分
だったが、音楽だけがそれを和らげてくれた。
日向はいつも通り曲を漁る。
漁ってた時、一つの歌声が流れてきた。
その歌声は力強いが荒いものではなく感情を歌声にしたみたいだった。
日向はその歌声に心が奪われた。
日向はその歌声の主を調べていく内にvtuberであることを知った。
それからというもの日向はそのvtuberだけが生きがいになっていた。
どこへ行くにもその歌声を聞いた。
日向にとってそのvtuberは『薬』そのものであったのだ。
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日向がそのvtuberに夢中になってから数ヶ月経ったころ、そのvtuberが活動停止すると発表したのである。
それを聞き日向は絶望した。
日向は元々絶望して死にたがっていたがそのvtuberのおかげでマシになっていたのだ。
日向はそのvtuberに生かされていたのである。
しかしその支えを失った日向は何もやる気が起きなくなった。
日向の絶望はまたしても続くのだった。