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なりんの援護くん  作者: なりた
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  第十話 援護くんベリィへ

なりんの手引きで援護くんと歩はベリィで初対面を果たす。

なりんはきっと今日を忘れない。

というお話。

  第十話 援護くんベリィへ


 裕人とこりんは、あれからなんとな~く

よそよそしいというか、なんとな~く目も合わせないでいる。

 君たちがどう出ていいか分からなくなっているのかよ。

 そんな状態のままでふたりともなりんにはことさら陽気に話しかけてくるので、

なりんとしてもまあそれでふたりの気が保てるのなら

うん、相手しといたげるよと。

 裕人はヤングケアラー調査の件について現役ケアラーのなりんに相談してくるし、

一方こりんはいつも通りのガールズトークを話してくる。

 どちらか一方がなりんと話していればそれでもう一方も教室で間が保つので、

なりんはかわりばんこにどちらかの相手になっている。

 偶に他の級友と話すことになると、ふたりはどちらかが教室を出ていたり、

それぞれの同性のグループの輪に加わったりで別にそれで自然なようにも思えるが、

今まで賑やかに話していたこりんと裕人の組み合わせだけが教室から無くなっていて、

ああ、これが世の少年少女が告白をためらう理由なのかと。

 なりんもそして実は教室全体も、改めて学びを深くいたしていたが。

 どちらかとふたりきりになれるタイミングで、なりんはもう一方への思いを聞いてみる。

裕人は、

「僕は、この調査研究に打ち込むためにも告白したんですから、

こうなってしまったのもひとつの結果としてよしとします。」

「こりんのこと諦めるの?」

「諦めません!こりんちゃんには許可は頂けなかったけど、文化祭で発表をやり遂げて、

そのあと告白します!」

おぉ~。うまくいくといいね!

「あでも、こりんちゃんにこのことは…、

いや隠しておいてもらうよりいっそ伝えてもらった方が…」

 裕人がここでふらふらと懊悩し始める。

「うん。言うか言わまいかは私がその都度うまく判断しとくよ。」

「なりんちゃん。調査ともども、本当にお世話になります。」

 深々と頭を下げる裕人くん。

うむ、苦しうないぞ。面を上げい。

一方こりんとの会話では。

「あっベリィ知ってるよ。あたしん家の街の隣の駅だし。」

 なりんは徒歩通学だが、こりんと裕人は数駅先から電車通学してくる。

 幼馴染だから同じ街、今は通学の間どうしているんだろうねえ。

一緒の車両になったりしないんだろうか。

「つまりイケメンがギター教えてくれるわけだろ。いいなあ!」

 相変わらず興味のわいたところだけ拾う耳だな!

 ていうか裕人についての話題を切り出させない。

「あたしもバイトする!なりん、紹介してよ!」

「いいけど、ちょっと待ってね。」

 先ず援護くんが歩くんに会いに行く。

 こりんがいたら話せる話なんかない。

てか、うっかり口が滑ったなぁ。

「なんでよ。今日行こうぜ今日!」

「あたしはお祖父ちゃんの世話みに帰るから。今度都合のつく時ね。」

 あたしはあたしで、裕人くんの借りた本先に読んだり、けっこう隠しごとしてるよなぁ。

 そこはごめんね、我が級友たちよ。


実際その日のうちに、なりんはベリィに向かった。こりんや裕人が通学に使う路線は

念のために避けたのだが、時間も経費も余分にかかった。隠し事は、割に合わない。

 本来の最寄り駅前に行き、待ち合わせた書店で援護くんを見つけた。

「援護くん。」

 声をかけた背中が気付き、振り向く。

 読んでいた雑誌を棚に戻し、援護くんが微笑んでくれる。

「なりんちゃん。」

外で会うなんて、ちょっとデートみたい。

本当は家で会ってるいつものほうが凄い気もするけど。

 我が澤菜家ではお祖父ちゃんありきの、

援護くんの厳粛な職場でもあるからね。

「援護くん、行こう。」

「よろしくお願いします。」

 ベリィは駅から続く元?繁華街から住宅地方向へ向かうと一瞬道路と空き地があって

その手前のちょうど切れ目あたりに一軒で立っている。

 完璧な防音も売りのひとつで、島辺家の亡き祖父が建築設計から心血を注いだジャズバーが

その後その伴侶たる祖母のカラオケスナックとなり、

二度めの店内改装を経て今はその孫のベリ子と歩のライブバーになっている。

 7月のまだ明るめな17時前ふたりは今日は閉じていたドアを開け、

「こんにちは!」と声をかけた。


「なりんちゃん、いらっしゃい。そちらが。」

 やや緊張した面持ちで島辺歩がぎこちなく微笑む。

「始めまして。遠藤圭吾です。」

 ベリ子の前では穏が話していた「敬語くん」で通すことにしている。

「ベリ子、のんちゃんが話していた敬語くん。」 

歩がそう紹介する。

「敬語くんね。店長のベリ子こ島浜辺莉子よ。今日はライブまでは観ていけないんだっけ?

 お忙しいんですよね。」

 ベリ子は今日も感じよく愛想がいい。

「ベリ子さん、お邪魔します。」 

 うまいこと名乗らずに挨拶する援護くん

間を開けずに歩が言葉を継ぐ。。

「ベリ子、俺は今日はもう準備は全部済ませてあるから、今日は開店まで援…、敬語くんと親睦深めてるからな。」

「敬語くんもなりんちゃんもごゆっくり。

 敬語くんアルコールはやらないのよね。ふたりともコーラでいい?」

「ごちそうになります。」

「俺もまた送って行きたいからさ。コーラくれ。」

「早く帰ってきてよ?」

「ああ。」

 ベリ子が厨房に消えるのを見送って。

「さて。改めて初めまして。島辺歩だ。」

「島辺さん。兄が本当にご迷惑をおかけしました。」

 援護くんが頭を下げ、しっかりと時間をかける。 

「頭をあげて下さい。よく来てくれました。」

静かに頭をあげる援護くん。

「よく分かったよ。もうこれでいい。俺はこれから、ベリ子に本当のことを話そうと思う。

援護さん、俺のことも、援護してくれるか?」

「分かりました。」

 コーラを乗せた盆を持って、ベリ子が現れた。

歩が立つ。

「ベリ子、今ベリ子のぶん持ってくるから、ベリ子も座ってくれ。」

「なに?紹介してくれるの?」

 歩が立つ間、なりんと敬語くんな援護くんとベリ子の三人になる。

 歩が戻ってくるまで、なんとなく無言で笑顔を交わしている三人。

「お待たせ。ベリ子、はい。」

 歩がコーラのグラスを渡す。

「それじゃ、乾杯。」

 テーブルでグラスを合わせる4人。

飲んでグラスを置いたところで、歩が切り出す。

「莉子。こちらは遠藤圭吾さん。これから俺の新しい親友になるひとだ。」

「遠藤…、遠藤!?さん?」

「聞いてくれ莉子。いつか俺は花火なんてしてないって話したよな。あれは本当に本当なんだ。」

「ええ?」

「莉子さん、遠藤圭吾です。遠藤真也は僕の兄です。兄が、歩さんに本当にご迷惑をおかけしました。」

「ええ…、待って、どういうことなの?」

「莉子、俺は誰も傷つけてない。本当に、遠藤真也の方がやった事で、俺は巻き込まれた側なんだ。

 そして、この遠藤圭吾さんは、その話をしに来てくれたんだ。」

「ええ、待って、それって、ええ!?」

 ベリ子がまだ全然話に追いつけなくて、凄い怪訝な表情で3人を交互に見つめる。

「莉子、だから俺は遠藤真也のことは今でも許せないけど、この遠藤圭吾さんに対しては別にそんな感情はない。

莉子は俺の大切な家族だから、せめてお前だけには俺の本当を解かっておいて欲しいんだ。」

 歩くんが一気に真剣に語りかける。

そして、ベリ子こと莉子さんの咀嚼と解釈を待つ。

「歩、…あんたは、あんたが、それでいいのね?」

「ああ。この本当は、これからもここだけの話だ。ベリ子、お前だけは俺たちとこの秘密を一緒に背負ってくれ。頼む」」

「秘密にしておくこと…、なのね?」

「一旦はそうしておいてくれ。誰かに話したくなったら、その時はどうか俺に相談してくれ。頼む。」

「…、分かったわ。まだなんだかさっぱり噛み砕けてないけど、何か言うのも聞くのも私自身もう少し整理がついてからにする。」

「ありがとう。すまない。」

 ひと段落のところで、なりんはたまらずコーラにもう一口をつけた。

「さて援護くん、改めて聞くが。」

「えんごくん?」

 ベリ子が聞く。

「ああ、敬語くんは今は援護くんなんだ。」

 歩がベリ子に一言説明する。そして援護くんのほうに正対し、

「遠藤真也の死因は、なんなんだ?」

 唐突に切り出したのでなりんは驚いた。

まだそこ!?

「…、分かりません。兄が静かだったのでまた眠ったかなと思って布団をかけに行ったら、倒れていた姿勢が変で。

 まさかと脈をとったり呼吸を確かめたりしたら全て止まっていて。

慌てて救急車を呼んだのですが、この時にはもうこと切れていたようです。」

「ぜんぜん分からないのか?」

「分かりませんでした。それで病院にも警察にも本当に何日も何度もかけて繰り返し同じ質問をたくさん聞かれましたが、

僕にとっても本当に突然のことだったんです。」

「…、そうか…、でも本当に何かないのか?手がかりとか」

あゆみく、…歩さん。何がそんなに気になっているの?」

 たまらずなりんが口を挟む。歩のこだわりが分からない。

「なりんちゃん、援護くん、ベリ子。俺はさあ、生きていたいんだ。怖いんだよ。いつまで生きていられるのか。」

 まだ話が見えない。

「俺は結局遠藤真也と同じ爆発を浴びて、大けがでしばらく動けなくて、そのあと今こうして生きているんだ。

 でも、遠藤真也は死んだ。それが突然のことなら、俺は大丈夫なのか?

遠藤真也が頭をやられていたからって、死因がそことは限らないだろう?」

 口調こそ穏やかなままだが、剣呑な言葉が続く。

歩は涙目でほとんど泣き出したような表情だった。

 他人には知れない、切実な不安と心細さに苛まれているのだろう。

これも考えてもみなかったことだ。

「俺はさ、今幸せなんだよ。そりゃさ、なんだって頑張りすぎるとこの脇が痛み出して、

酷けりゃうずくまってしばらく動けないくらいだけど。

 それでも今こうしてベリ子と店も始めて、音楽にも若い奴らにもそれなりにじゃれ合えて。

やりたかったことぜんぶじゃなくても、今やれてることが幸せでしょうがないんだよ。」

 歩が語る。涙がもう零れそうなほどたまっている。

「バイクだってツーリングする間にも痛い時間が来るし、他にももうきっと叶わない夢だってあるんだけどさ、

それでもせめて生きていられれば、こうして幸せなんだよ。

 ただ生きていたいんだ。せめてそれくらいは、叶うのか?」

みんな堪らなくなって、その場の4人がみんなで涙目になった。

「遠藤真也が死んだと訃報で知ったとき、もうそんな不安が頭をよぎっていたんだ。

 死因が分からないままなら、俺だってどうなるか分からないじゃないか。だったらいっそ

他殺であってくれと思ったくらいだよ。」

 歩くんは切れ者だから、思いつかなくていいことにまで頭がまわってしまうんだ。

心配ないなんて、言える?あたしは無理。

 あたしよりよっぽど頭も勘もいい歩くんが心配になることなんて、あたしが大丈夫と言い切れるわけがないじゃない。

「島辺さん、兄については本当に、僕にも分からないんです。

でも兄はろくに通院も出来ていなかったしきっと島辺さんとは条件が違う筈です。

 定期通院や検診や、打てる手は兄よりずっと多いと思います。」

援護くんが真剣に答える。援護くんは無責任な気休めも茶化しも決して口にしない。

「もしもご体調が辛くなったら、僕は出来る限り看護に伺います。ただ、自分の暮らしも立てねばなりませんから、

ずっと、というわけにはいきませんが。」

 援護くん、援護を買って出ちゃうんだな。

「そうしてくれるか?援護くん。俺が動けなくなったら、あんたも顔を見に来てくれるか?」

「絶対にひとりにしません。莉子さんも、それでいいでしょうか。」

 圧倒され通しだったベリ子が急に話を振られて、涙目を白黒させる。

「へ!?は、はい、お願いします。」

 歩の表情が、ようやく和らいだ。

「ありがとう、援護くん。俺、ここまで打ち明けられる味方が欲しかったんだ。ベリ子にも、

やっと本当の俺をわかってもらえそうだ。ありがとう。これからも、俺と会ってくれ。」

 両手をテーブルの上で組んで、頭を下げる歩。

その手を上から両手で包んで、援護くんが頷く。

「歩さん、僕らお友達になれそうですね。これからどうかよろしく願いします。」

 ベリ子さんが両手で口を覆って感涙を噛み締める。

なりんもコーラのグラスを握りしめてこの劇的な邂逅を目に焼き付ける。

 遠藤真也さんの過ちに巻き込まれた者同士、

出逢い方次第では敵対してたっておかしくなかったふたり。

援護くんの援護は、子どもやお年寄りに限らず人の人生を救うんだ。

そこでふと壁の時計が目に入る。

「ベリ子さん、そろそろ開店時間!」

「やだ若い子来ちゃう!私メイク直してくるから、誰か来たら歩、よろしくね!」

 バックヤードに走りこむベリ子。

「おう!援護くん、なりんちゃん、ベリ子のメイクが直ったら送っていくから、しばらく待っててくれ。めっちゃ待たせるが。」

「聞こえてるぞう!」

 奥からベリ子の声がする。

「集中して早く直せ!」

 悪態で返す歩はもう笑顔だ。

一人ぼっちの不安から解放された笑顔。

歩くんはきっと今までよりずっと元気に生きられる。

いつまでかは分からないままだけど、

本当はそんなこと誰だってそうだし

歩くんだってあと少しとも限らない。

援護くんのいう通り、通院もしっかりやって暮らしてさ。

切ないけど、消えることのない痛みの発作とも、共存しながら。  

 

 帰りの車内は歩の運転で助手席はなりん、

援護くんは後ろの席でなりんの通学鞄と並んで座っている。

 和やかな走り出しだが、やや言葉数が少ない車内。

まだ何かありそうかなと感じていたら、思った通りに歩が重い口調で話し出した。

「援護くん、もうひとつ俺から伝えておきたい事が残ってた。」 

 さっきとはまた違う強張りかた。

凜はルームミラー越しに歩の眼差しを伺う。

「なんです?」

 援護くんが穏やかに真摯に聞き返す。

それを待ってから、一気に話す歩。

「爆弾はあいつの作ったもので、爆発させたのもあいつだ。でも、知らずに通りかかった俺を、飛び出して庇ったのも、奴だ。」

 なりんは歩の横顔を凝視した。

 歩は前方をしっかり見て運転をしながら、言葉を続ける。

「最後に遠藤真也は、俺を庇った。ちゃんと距離をとって実験を見ていたんだろうが、俺を見つけたら飛び出してきて、

俺に覆いかぶさって爆発を浴びた。」

 そうだったんだ…。

「庇い切れていれば俺は無傷だったんだろうが、咄嗟のことで俺もこの脇や何か所かに大けがを負った。

 だから、許す気はないけど、あんたの兄貴にもあんたに伝えておくべき名誉はある。

これ一度きりしか言わないからな。

覚えておくなり聞き流すなり、好きにしてくれ。」

 歩の言葉は怒ったような投げ遣りなような、手厳しい口調ではあったが。

 前方に集中してハンドルを握る歩の眼差しはどこか哀しげな、いっそ辛そうな本音を潜めていた。

歩くん、理屈とは別な感情も、あったのかな。

真也さんに対しても。

「そう…、でしたか。よく、教えてくれましたね。」

「言いたかなかったよ。でもさ、なりんちゃんの前で隠し事できる奴なんて、いないんだ。」

 あたしですか?また。違うよね、ダシにしたよね。

「なりんちゃん?あぁ…、」

 援護くんも、そこで納得しないで?

「でも、聞けてよかったです。島辺さん、なりんちゃん、僕はね。今やっと、元爆弾魔の怪物なだけではない、

人間を介護できてたんだな、って。 久々にそう思えました。」

今度は援護くんが胸の内を打ち明けるよう。

「通院もできてない兄が、今更知性を回復するとは思えませんでしたが、それでも

何かのはずみに、ほんの一瞬でも脳の回線が繋がって、正気を取り戻さないかなって、

そんな事も夢想していました。」

 訥々と援護くんが語り続ける。

「そして、一言でいいから、真実を打ち明けて謝るなり悔やむなり、何か反省を表して欲しかったんです。

いつかそんな一瞬が来てほしいって、そんな願いを介護の日々の支えにしていました。」

 その願いひとつで、引き換えに出来ていた歳月なの?援護くん…。

「でも、兄はああなる前に、既に見どころひとつ残していたんですね。」

 少し安堵が混じる。

「兄の罪はそれでは消えませんけど、でも僕はこれで自分の介護を、道を誤った兄の禊を手伝っていたことにできると思います。

 そうすることにします。」

「ああ。」

 歩が相槌を打つ。

「兄はあちらでも改めて罰を受けているのかも知れませんが。」

「そう願うよ。あんたに大事にされてたんなら猶更、閻魔さまにお目玉でもくらってて欲しいもんだ。」

 口調がやわらいだ。もう大丈夫そう。

「さあ!これで俺の腹にはもう、一物も荷物も残ってないぞ!今度こそすっからかんだ!」

ハンドルを握りながら、歩が爽快な声でそう叫ぶ。

「そういうわけで援護くん、俺のことはこれからシマって呼んでくれ。呼び捨てのシマだ。」

 シマ。

「シマベのべはとっくにベリ子にくれてやった。俺は残りのシマだ!」

「歩くんのお名前の方は?」

「それはなりんちゃんがそう呼んでくれ。でも援護くんにアユミとかアユミくんとか

呼ばれるのも気色わりいし、島辺さんも堅い!!だから、シマ!

 なりんちゃんは、引き続き、あゆみきゅん。」

きゅんとは呼んでない、呼ばんし。

「それから、あんたの方が年長だから、くんはつけさせてもらう。あんたが援護くんで、俺がシマだ。」

さんではないんだ。

「それから敬語も俺には無しだ、いいな?」

「えっじゃああたしにも。援護くん、くだけて?」

「いや、それは」

「お願い。ここだけでもいいから。」

「それじゃあ…、」

 車内に和やかな緊張が走る。

「シマ。」

「おう。」

「…、なりん。」

「うん!」

「これからも、よろしく。」

「おう!」

「うん!」

 ふたりの声が揃う。

「援護くん!」

 車内が笑顔と幸せで満ちた。

3人は今、ひとつのチームになった。

なんのチームかは、知らないけど。


歩は援護くんの前に主人公として準備していたキャラクターなので、

設定や背景など煮詰めが充実しているのです。ただ、

「過去の深手、傷を抱えたイケメン」では前例も多く、主人公としてやや物足りないかな、て。

それで新たに援護くんを主役に迎えて。

でも例えばコンドルのジョーのように、脇に配置することでより活きるキャラかもしれません。

 なのでこの再起用はとても気に入ってます。

 援護くんと歩の関係性は、少しだけ映画「シン・仮面ライダー」のダブルヒーロー、

本郷猛と一文字隼人も意識しています。

 ふたりの元ネタはそれだけではなくて、様々なお気にを複合しての創作です。


 次回第11話 ここが粘りどころ

 物語にまたひとつ転機が訪れます。

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