怖い話
リハビリがてら
「あっちなー!やっぱ世界は異常気象に包まれているわ!」
「・・・核の炎に包まれたみたいな言い方しているが、使い方間違っているぞ?」
「いいんだよ!ニュアンスで!」
安手ヒロシとその友、安永ヒロアキが田舎の店先でアイスを食べている。
このヒロヒロコンビは苗字も名前も似ていることから、いつも一緒にされていたため腐れ縁のごとくいつも一緒だ。
「カー!彼女欲しい!こんな奴と一緒じゃなく、可愛い彼女が欲しい!嫁でも可!」
「・・・何も自分でハードル上げなくても・・・。」
「どこがハードルあがっている!」
「しいて言うなら最初が無理。その後も無理から不可能にランクアップ。」
「同じ意味だよ!無理も不可能も!」
「だから言ったろ?最初からだって。」
「友達甲斐がねーな!」
「こんな奴と言ってくる奴に甲斐性求められても・・・。」
「どうすっかなー?こんなとこでアイス食っててもなんも無いしなー!」
「・・・無理やりだな?まあ人がまず居ないしな。」
「よし!都会に繰り出そうぜ!」
「金がない。」
「だよなー!」
いつものように集まって、いつものように妄想話を繰り広げる。
特に暑い日でも今の所、この日常は変わらない。
「そういやさ、ヒロシ知ってるか?最近この田舎で流行ってる噂。」
「イヤ知らん!」
「そっかー、知らないかー・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「え?終わるの?そっから噂ってこんなのだよって話が続くんじゃないの?なんなの?何で話を振って来たの?ふざけてるの?俺噂話知らないんだよ?」
「態々知らない話を聞かせるのもどうかと思って。」
「いや、気になるじゃん!知らない話を振られて教えてもらえなかったらめっちゃ気になるじゃん!何なら今日眠れなくなって8時間しか睡眠時間取れなくなるじゃん!」
「・・・何番煎じだよ。古い。〇ね。」
「辛辣!」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「いや!だから教えろって!」
「・・・チ!!仕方ない、教えてやろう。」
「・・・え?そんなに俺のこと嫌い?」
「最近な?男の夢を詰めたような格好のぱっと見超絶美少女が目撃されているらしいんだよ。」
「え?ほぼ裸の美少女?」
「・・・・・お前の夢は童貞の夢だな。違う。白いワンピースに麦わら帽子をかぶった清楚系だ!」
「・・・・・どっちも童貞だが?っていうかそっちの方が童貞の妄想だが?」
「夏の麦わら帽子と白のワンピース最高だろうが!!!」
「急に熱くなんなよ!!!ちょっと怖いだろうが!!!」
「・・・っち!!!・・・っチ!!!・・・まあいい。」
「二回舌打ちした・・・・。重要なのかな?」
「とにかく、美少女だという目撃されている人なんだが・・・誰も顔を見ていないらしいんだ。」
「・・・・・?なぞなぞ?得意やぞ!!!」
「嘘つけ!!!めっちゃ頭悪いやんけ!!!」
「辛辣!!!・・・で?何で顔見てないのに美少女なんだ?心眼使い、いっぱい居るんか?」
「噂によると本能で絶対美少女だと確信するらしい。」
「怖っ!モテない男の妄想怖っ!!!!!」
「んで、その子に会うと必ず3日間ほど寝込むそうだ。」
「・・・え?怪談なの?この話?」
「予想ではその子で・・・・」
「待って!聞きたくない!!!」
「そこで!この真偽を確かめたくはないかね?ホーム・・・いやコ〇ン君?」
「何で言い直したし!!!」
「馬鹿でもわかるかなって?」
「うっさい!!!・・・・・で、どうやって確かめるの?」
「なんでも帰り道にめっちゃ美少女に会いたいわ~って大声で言いながら歩くと会えるらしい。」
「ハッズ!!!田舎道でもハッズ!!!ってか最初に遭遇した人めっちゃ恥ずかしい人やん!!!そんなこと大声で言いながら帰ってったってことやん!!!」
「・・・確かに今考えると最初の人気が狂っているな?」
「今気づくんかい!!!」
「その後も噂になるくらいこの方法を試した人がいるってことで・・・・」
「もうこれ試した人がホラーやん!!!怪談やん!!!」
「その中に俺たちが・・・・」
「入ってしまう!!!ダメやん!!!」
「・・・ところで、何で似非関西弁?」
「え?芸人さんっぽいやん?」
「ポイだけで本人おもろくないぞ?」
「嘘やん!?」
こうしてコンビは、とりあえず美少女会える方法で帰ってみることにした。
まだ日も高いけど。
何ならお昼ごはんで帰るだけだけど。
「なんか恥ずいな?」
「めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!」
「怖っ!!!躊躇ゼロだし!!!」
「めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!」
「本気度高!!!」
「ほら!!!お前も!!!」
「ええ~?・・・・・めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!」
「お前もやんけ!!!!!」
「やるからには本気がモットー!!!」
「めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!」
「「めっっっっちゃ美少女に会いたい!!!!!!!!!!!」」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「出てこないやんけ!」
「・・・所詮噂か・・・・・。」
「・・・おおぅ。血涙って初めて見た。」
「!!!!!」
「どした?」
「前を見てみろ!」
二人の前に人影が・・・
「・・・本能で分かる?」
「分かる!!!あれは美少女だ!!!そうに違いない!!!絶対にだ!!!」
「・・・・・マジで?俺にはめっちゃヤバいと感じるが?なんなら何時代ですかって聞きたい感じだが?」
「?」
「?」
「「せ~の」」
「ミイラだな。」
「超絶美少女!!!」
「「?」」
「明らかにこの暑さで乾燥してんじゃん!!!なんなら格好は包帯じゃん!!!白いけど!!!」
「いやいや、確かに顔は見にくいが美少女じゃん?白いワンピースの麦わら帽子じゃん?」
「いやいや、乾燥剤入れて寝てた人じゃん?水分感じれないじゃん?なんなら見えにくいじゃなく目も口も鼻も何もないじゃん?ミイラ特有のアレじゃん?」
『あなた見えているのね?』
「うおっ!いつの間に!?」
「初めまして!好きです!!!」
「こっちはこっちで告ってる!?」
『あなたにはどう見える?』
「え?ミイラ?」
「土下座しろ!!!崇拝しろ!!!」
「何でこいつおかしくなってんの?元から?・・・・・元からだったわ。」
『あなたには真実の私が・・・』
「ちょっといいですか?連れが興奮しすぎて倒れたので病院に連れていきたいのですが?」
『・・・もっとあなたも動揺していいと思うのだけど?』
「え?なんで?」
『・・・・・私の姿が見えているのでしょ?』
「ええ。」
『普通驚かない?』
「驚きましたが?なんなら帰りたいですが?」
『・・・あなたに頼みごとがあるの。』
「申し訳ありません。無理です。」
『私の彼氏に・・・』
「喜んで!!!」
『・・・いろいろしこうがおいつかない。』
「よろしくお願いします!」
今までアッツい日が照っていた周りが急に暗くなる。
なんなら気温も下がった。
寒い。
「・・・あの~?この演出なんですか?」
『私の彼氏になるなら・・・あなたも私と同じにならなきゃね?』
「意識ある永遠の命!・・・?死んでしまうから命はないから永遠の存在?」
『前向きね?まあ概ねその通りよ?・・・意識残るか知らないけど。』
「え?結構上位存在?」
『何をもって上位というか分からないけど、まあ、あなたよりは。』
「ディスられた!!!」
『・・・怖くないの?』
「正直かなり興奮してます!!!」
『・・・まあいいわ。あなたの命を貰うわね?』
「ちょっと待った!!!!!!!!!!」
「なんだ起きたのか。まあいい。そこで彼女持ちになる俺を指くわえてみているがいい。」
「きっさま~!抜け駆けする気だな!!!そうはさせん!!!!!」
『・・・何が始まったの?』
「今までの話を統合して考えるに今こいつの邪魔するには・・・逃げるが勝ち!!!」
ヒロアキはヒロシを担いで逃げ出した!
ミイラは動けない!
ヒロシも動けない!
『・・・・・・は?』
「はっはっは~、全ては逃げるが勝ちよ!」
「待て!俺は逃げたくない!!!」
「いや!明らかにお前オカシイから!!!何でミイラと心中しようとしてんの?未だに俺には美少女だけども!?ヤバいくらいミイラなんだろ?やっべージャン!!!顔見えねえし!!!何あれ!?今まさに怖さが勝って来たわ!!!」
「お前意外と力強いな!?」
「完全に火事場の何とかだわ!危険センサーめっちゃ来てる!!!」
『・・・・・・・・・・は?』
そんなこんなで逃げだした俺たちはこの訳の分からない存在にその後も追われることとなるのだが、それはまた違う話で。
『逃がすわけないじゃない』