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第4話

   

「……!」

 ガス惑星の大地に降り立つと、私は絶句してしまう。しばしの間、体を動かすことも出来なかった。

 そこには緑色の光が乱舞しており、学生時代に蛍狩りで見た景色そっくりだったのだ。

「これは……」

 ようやく口から漏れる言葉。

 ふと気づけば、私は胸元に手をやっていた。宇宙服の中で、ネックレスのオパールがある辺りだ。

 プレゼントをくれた彼女のことを、つい思い出してしまったのだろう。恋人の(たぐ)いではなく友人関係に過ぎなかったが、学生時代からの付き合いだった。大学の仲間同士で近くの水辺に蛍を見に行った時も、彼女はメンバーに含まれていた。

 たくさんの蛍を目にして、感激していた彼女。その表情が今でも目に浮かぶ。


「こういうの思い出すと、つい感傷的になっちまうなあ。彼女も含めて、知り合いは皆、とっくの昔に死んでるはずなのに」

 あえて口に出すことで、自分の気持ちを吹っ切った。

 続いて、飛んでいる光に手を伸ばす。捕まえてみると、まさに地球の蛍そのものだった。小さな生き物のお尻が光っている状態だ。

 そういえば、日本の蛍が風流なのは小さくて可愛らしいからであり、外国の蛍は少し大きめ。ハエやゴキブリが光っている感じとなり、鑑賞には値しない、という話を聞いたことがある。ならば、この惑星の光る生命体は「地球の蛍そのもの」というより、むしろ「日本の蛍そのもの」と表現するべきなのだろう。

   

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