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隣人が魔物に喰われる世界観の暮らし ~異世界と融合した時代を気ままに生きるだけ~  作者: 結城 からく


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第43話 復帰

 ミミックとの逃走から十五分が経過した。

 意識を集中させながらの休憩だったが、身体の調子は劇的に改善した。


 まず両腕がしっかりと動く。

 回したり指を開閉しても不自由はない。

 折れた骨の修復が進んでいる証拠だ。


 まだ痛みが響く感じはあるが、我慢できる程度のものだった。

 出血も完全に治まっている。

 万全ではないものの、八割くらいの実力は発揮できるだろう。


 肉体が連戦に適した形へと変容してきたようだ。

 その深度は、もはやモンスターと同等である。

 やはり単独行動で殺し合いを続けているのが功を奏しているらしい。

 集団で動く人間の数倍の速度で強くなっている。


 休憩中、たまに外から悲鳴や咆哮や戦闘音が聞こえたが、やや離れているのでスルーした。

 きっと商店街のどこかで弱肉強食が起きているのだ。

 ここだけではない。

 常にどこかで誰かが殺し合っているのだ。

 何も不思議なことではないだろう。


 むしろ漁夫の利を狙うのも作戦の一つだ。

 後で他の店を探索する際は意識しようと思う。

 それを卑怯だと思う倫理観はとっくに捨てていた。


 立ち上がって二階へと続く階段に向かう。

 何の物音もしないが、きっとミミックが待っている。

 巧妙に隠れて獲物を待ち構えているはずだった。


 両手に持つ武器は出刃包丁と、アルミ製の小さな脚立を抱えている。

 脚立はレジ裏に置かれていた物を拝借した。


 ミミックの主な攻撃は噛み付きなので、それを脚立で防げるのではないかと考えたのだ。

 少なくとも盾にはなりそうだった。

 もし無理でも鈍器として使えばいい。

 怪力で叩き付ければ、モンスターでも撲殺できるだろう。


 包丁と脚立を持って慎重に階段を上がる。

 相手は隠密能力に優れたモンスターだ。

 いつどこから襲撃してくるか分からない。

 先制攻撃されることを想定して、防御や反撃を意識していくべきである。


 一歩ごとに軋む階段を煩わしく思いつつ、やっとのことで二階に到着する。

 そこは住居スペースと倉庫が混ざった場所だった。

 段ボールが積み上がったそばにはちゃぶ台があり、割れたコップが床に散乱している。


 その奥の台所に注目する。

 小さな土鍋と隣り合うようにして、宝箱が鎮座していた。

 薄く上蓋が開いて、ちろちろと舌を出している。

 感じる視線は、殺意と悪意に満ちていた。

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