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隣人が魔物に喰われる世界観の暮らし ~異世界と融合した時代を気ままに生きるだけ~  作者: 結城 からく


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第23話 探索

 オーガは付近を捜索している。

 隠れた獲物が周辺にいると確信しているようだ。


 迂闊な行動を取ればたちまち見つかりそうなので、慎重に部屋を移動する。

 二階の荒れた部屋を順に巡っていく。

 こちらの存在を悟らせないように意識した。


 家から逃げ出す気はない。

 迎撃の準備を整えるつもりだった。

 そのために隠れて状況を仕切り直した。


 室内戦が有利なのは間違いない。

 オーガに動きづらさを感じさせつつ、一方的に攻撃を打ち込めるのが理想だ。

 身を隠した後、オーガが外に出ていく前に不意打ちすることも考えたが、一旦様子を見ることにした。

 ベッドの下から見えた僅かな情報と聞こえてくる捜索の音で、いくつかの発見があったのである。

 それに伴って戦略も見えてきた。


 まず大前提としてオーガは激怒している。

 理性が飛んで行動が単純化していた。

 捜索も形ばかりで、実際は頭が働いていない。

 隠れている最中、苛立った息遣いばかりが聞こえていた。


 そしてオーガの負傷は決して軽くない。

 拳銃で片目が撃ち抜かれているのは大きい。

 弾が脳まで破損しているのかもしれない。

 片手も散弾で負傷しており、二階のあちこちに血痕が付いていた。

 かなりの出血量だ。

 動き回るせいで見事に悪化している。


 オーガは強靭なモンスターだが、決して不死身ではない。

 ネットの情報なので鵜呑みにはできないものの、頭部や心臓の破壊で死に至ると明記されていた。

 殺害されるオーガの映像もいくつか見ている。


 きっと人間よりも耐えられるだけなのだ。

 銃火器による先制攻撃は、オーガにとって致命傷になっているはずだった。

 上手く畳みかけることができれば、リスクを抑えて倒せるのではないか。


 こうなってくると銃を捨ててしまったのが悔やまれる。

 再装填の関係で咄嗟に使えないので、どちらも外に置いてきてしまった。

 回収に向かえば、まず間違いなくオーガと鉢合わせになる。

 室内で決着させたいので、手持ちの武器と室内にある物でどうにかしなくてはならなかった。


 そのために二階から一階を探索していく。

 元は子供のいる家族が暮らしていたのか、明るい色調の子供部屋や玩具があった。

 台所では子供用の食器が見つかった。


 肝心の住人が見当たらないので、どこかに避難しているのだろう。

 もしこの家にいたら、オーガとの戦闘に巻き込んでしまうところだった。


 こんな世の中なので罪悪感は大してないものの、積極的に迷惑をかけたいわけでもない。

 オーガとの戦闘が済んだら、すぐに出ていくつもりだった。

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