表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣人が魔物に喰われる世界観の暮らし ~異世界と融合した時代を気ままに生きるだけ~  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/107

第20話 遭遇戦

 生存者グループに話しかけようと考えた寸前、その足を止める。

 十字路の近くにある二階建ての古屋から、のっそりと大きな影が現れた。


 薄汚れた布の腰巻きに赤褐色の肌。

 筋骨隆々な体躯は、陽光を浴びて鈍く照っている。

 金属板を何枚も張り合わせたような棍棒を持つその生物は、昔話に出てくるような鬼そのものだった。


 ネットで見たモンスターの情報を思い出す。

 見た目通りの鬼系統で、画質は悪いが酷似した写真が掲載されていた。

 あれはオーガだ。

 ゴブリンやオークの上位種族で、重機のようなパワーを持つモンスターである。


 有志がオーガとの戦闘を録画してアップロードしていた。

 躍ろうことに、加速したトラックに衝突されても押し返すほどの力を持っていた。

 おまけに硬い皮膚は銃弾の威力を削ぐ。

 海外では、警官隊の一斉射撃を受けながらも突進して多数の犠牲を出していた。


 そのような怪物が近くにいる。

 ひとまず身を屈めて息を殺して動きを止めた。


 オーガは生存者グループを目視すると、絶叫しながら襲いかかった。

 五人の男達は慌てて逃げ出すが、それで撒けるほどオーガは鈍足ではない。


 逃げ遅れた一人が、頭上から棍棒で叩き潰されて即死した。

 地面に血肉がへばり付いて原形を失っている。


 それをオーガは踏み潰して前進する。

 間もなく二人目に横殴りの棍棒を炸裂した。


 その生存者はあっけなく吹き飛び、上半身をブロック塀を粉砕した。

 勢いは止まらずに、敷地内に消えて見えなくなる。

 砕けたブロック塀には鮮血が染み付いているので、無事でないのは確かだろう。


 残る三人は逃走を断念し、武器を構えていた。

 このままでは全滅すると悟り、立ち向かうことを決めたらしい。

 とても勇敢だが、あまりにも命知らずである。


 傍観しているうちに両者は本格的に戦闘を開始した。

 三人の生存者は、それぞれの武器でオーガを滅多打ちする。

 鈍い音が鳴っているが、大して効いていない。


 オーガは鬱陶しそうに片手を払った。

 それだけで一人が宙を舞って地面に落下する。

 打ち所が悪かったのか、頭から血を流して動かない。


 他の二人も、順にオーガの攻撃を受けて即死した。

 それぞれ棍棒を受けた頭部が砕け散った。

 五つの死体を築いたオーガは、唸りながら死体を貪り始める。

 外傷は皆無であった。

 バットで殴られたり、包丁で刺される程度では痛みもないようだ。


 オーガが死体を喰らう様を後方から観察する。

 考えていることは一つだ。


 ――自分がオーガに敵うか否か。


 相手は間違いなく格上だ。

 しかし、挑むだけの価値はある。

 もし命を奪うことができたら、どのような変容が生じるのか。

 好奇心が恐怖と生存本能を上回っている。


 それを自覚した途端、身体は動き出していた。

 持参していた二連式の猟銃を携える。

 弾が装填されていることを確認し、足音を立てずにオーガへと接近する。

 高鳴る鼓動は、殺し合いへの期待を主張していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 第20話到達、おめでとうございます! [気になる点] 勝てるかどうか怪しい強敵に戦いを挑む主人公。 彼なら敗けて死んでも自業自得として受け入れるでしょうが、勝った時には何を手に入れるのか?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ