第15話 暴力至上
拳から生々しい感触が伝わってくる。
警官の顔面が陥没して、片目が潰れている。
歯も折れている。
そこから馬乗りになり、何度も鉄槌を振り下ろした。
一方的に連打して撲殺を試みる。
とにかく反撃の隙を与えるつもりはなかった。
オークの殺害で得た身体能力はやはり強い。
警官は抵抗しているが、引き剥がされそうにない。
膂力の差でこちらが優勢なのだ。
人間ばかりを撃ち殺してきた警官は、きっと力の伸び幅が小さいのだろう。
強敵を殺害しなければ、劇的な変容は起きないらしい。
新たな発見を考察しながら、ひたすら拳を叩き込んでいく。
滅多打ちにされる警官がやがて獣のように唸った。
瞼が腫れて目は見えず、隙間から血が流れる。
震える手が拳銃を握って、手探りでこちらの腹部に押し付けてきた。
引き金が動く寸前、その手首を掴んで捻り上げる。
拳銃を取り上げてから、無我夢中で構えて連射した。
計三発が放たれて、警官の胸と頬と額に炸裂した。
それきり警官は動かなくなった。
呆けた顔のまま、割れた頭部から血と脳漿を垂らしている。
こうなっては即死だろう。
念のためにナイフを刺してみるも反応はない。
頭部への銃撃で息絶えたようだ。
死体の上から下りて立ち上がる。
突進時に撃たれた腹を見やると、血でシャツが赤く染まっていた。
弾は背中まで貫通しており、体内には残っていないようだ。
痛みを除けば動きに支障はない。
オークを殺したことで、やはり根本的な身体機能が向上している。
さらにゴブリンや目の前の警官も含まれていた。
多少の傷は気にしなくてよさそうだった。
腹の穴も数日以内に埋まるだろう。
とりあえず死体を漁り、拳銃の予備弾と伸縮式の警棒を入手した。
弾は計三十二発だ。
交番にもまだ残っているかもしれないので、なるべく持ち帰りたいと思う。
警棒は使い勝手が良さそうだ。
殴り付けることでオークの怪力を上手く活かせる。
そして狙いだった拳銃も手に入れた。
リボルバー式で装弾数は六発だ。
使い方はなんとなく分かるので問題なさそうだった。
ネットで猟銃について調べた際、ついでに他の銃についても勉強しておいたのである。
その場で空薬莢を排出して予備弾を装填する。
これで武器はナイフ、猟銃、拳銃、警棒の四種になった。
オークの身体能力も含めるとかなり心強い。
多人数が相手となると不安が残るものの、まだまだ戦えそうだった。
その後、拳銃を手に交番内を探索して、追加で三丁の拳銃と数十発の弾を見つけた。
いずれもリュックサックに詰め込んで帰宅する。
ちなみに交番内には警官の死体があった。
錯乱したあの警官が殺したのだろう。
今後はモンスターだけでなく人間も信用ならない。
十分に警戒した方が良さそうだ。




