第105話 人外変容
三人の殺人鬼は便利な変容を取得した。
ただし、彼らだけではない。
この身体にも新たな能力が付与されている。
三人とはまた異なる代物だ。
それは、ヒュージセンチピードという種族の制御能力だった。
喉に生まれた特殊な発声器官を犬笛のように鳴らすと、ヒュージセンチピードが現れるのだ。
こちらの意思を乗せて喉を鳴らすと、ヒュージセンチピードはその通りに行動する。
頭部や背中にしがみ付いて移動することも可能で、もちろん戦闘にも使える。
ヒュージセンチピードというモンスターは世界各地に存在する。
地下深くにて繁殖しており、たとえ地上で殺されたとしても、季節ごとに数を増やすので問題ない。
この変容が腐ることはないと思われる。
あまりにも強い能力だった。
当然ながら頻繁に使うつもりはない。
上手く加減ができるわけではなく、戦闘のために呼び出せば周囲一帯を更地に変えてしまう。
使い勝手という面では劣悪と言えよう。
あくまでも切り札の立ち位置だ。
よほど追い詰められない限りは封印しておこうと思う。
ちなみにこの変容を取得して分かったが、あの時に倒したヒュージセンチピードは種族的には小さめらしい。
個体によってはあれより大きいサイズが普通に存在するそうだ。
彼らは地中にいたり、地上で暴れて殺されている。
もし全個体が暴走状態になって地球を蹂躙したら、あっという間に世界が滅びそうだ。
果たして誰か止められる者はいるのだろうか。
少なくとも自分は、今回の変容があるので巻き込まれずに済む。
自宅周辺に被害が出ないようにコントロールするつもりだ。
現在は近所の地下に五体のヒュージセンチピードを待機させており、基本的には休眠状態にしている。
何らかのピンチに陥った時に解禁する。
とりあえず何体かを呼び出せば、大抵の揉め事は終わるのではないか。
世界には様々な災害級モンスターが跋扈しているが、これで多少は有利に立ち回ることができる。
たとえドラゴンが来襲したとしても、正面衝突で対抗させられる。
負けたとしても別の個体を呼び出すだけだ。
相手が死ぬまで襲わせ続ければいい。
まるで大型の殺戮兵器を所持しているような感覚だった。
特に負い目はない。
殺さなければ殺されるような世界なのだ。
莫大な暴力は大歓迎である。
もちろん悪用するつもりはない。
今の日常を保つことができればそれで十分だ。
この前のようなトラブルはなるべく避けたいと思っている。
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