2話:営業接待の開始
餌をつけて15分後、竿がしなり大物の予感がした。 それを見て池田が間髪を入れず、わーすごい引きですねと言うと、笑顔で釣ってからだと返した。10分位して、引きが弱くなったので、どんどんリールを巻き、大きな魚影が、姿を現し、大きな真鯛だった。今井社長は大興奮、真鯛だーと叫んだ。最後はゆっくり、あげたところを、たも網で池田がすくい、今井社長の所へ持ってきた。30cm越えの大きな真鯛で、大喜びだった。
今井社長が、池田に向かって、「あんたは福の神じゃ」といって肩をたたき、また、餌をつけ釣り糸を投げれた。 他の人達は、アジやタコが多く、なかなか大物は釣れなかった。そのうちまた、今井社長に当たりがきた、先ほどのような強い引きではないが、結構つよい引きで、一度、糸を緩め、魚が疲れるのを待った。10分位で弱ったようで、急いで糸を巻いてみると、黒い斑点の模様が見え、石鯛かイシガキダイのようだと船長が言い、釣り上げてみると、イシガキダイだった。
「珍しい魚を釣ったねと言われた社長がまぐれです」とうれしそうに笑った。それを見ていた山北社長が、鯛2匹ですか、すごいですねと誉め上げると、まんざらでもなさそうに、今日は、君の連れてきた、池田君が、僕の福の神だと言い、また連れてきてよと言ってくれた。そして、3時間が過ぎて、船宿に帰って、解散となった。今井社長が、池田に名刺頂戴と言い、僕の会社にも、セールスにきて良いからと言ってくれた。
その代わり、
「一緒に釣りをつき合ってくれよな」と肩をたたかれた。
「承知しました、またお供させていただきます」と、笑顔で答えた。数日後、池田が今井社長の会社を訪ねたところ、歓待してくれ、我が社は、今も、発展中で、首都圏中心に横浜、東京、世田谷、川崎、大宮、千葉に支店があると話してくれた。そして、私の会社に釣り同好会もあるので、
「良かったら参加しないか」と誘われた。
「是非お願いします」と言うと、
「釣りの日が決まりしだいFAXを入れる」と言ってくれた。
「仕事の邪魔にならない程度で挨拶して良い」、また、
「昼休み若い社員がくるから営業活動して良いよと」、小さな声で言った。昼まで待って、若い社員さんに、名刺とパンフレットを渡すと2人の社員さんに、
「まだ保険に入ってないけど私に合った商品を紹介して」と依頼され、
「次回、おすすめの商品のパンフレットして欲しい」と言われた。そこで、早速
「近い将来結婚の予定、親との同居か否か、車の有無」を数分で聞きメモした。
数日後、再び、昼頃に今井産業を訪問して、保険商品の企画を依頼された2人に、それぞれ3つの商品のパンフレットとその特長、支払い金額と保証金額がわかる書類を渡し、検討してくれるようにお願いした。それを見ていた今井社長に
「一緒に昼食に行こう」と誘われ、お供した。その席に、会社の釣り同好会の会長の吉本営業部長がおられ紹介してくれた。「吉本営業部長が、彼が、社長の福の神ですか」と笑いながら言った。