24.連想を重ねろ!
*スマホから投稿する場合、投稿後に文字数調整を行う為、前回読んだ時から話が繋がっていない場合があります。
*[本屋クロックドア 編]に登場する推理は、蒼城双葉さんが「小説家になろう」やpixivに投稿している、
『探偵王子カイ 容疑者ナギとワールドフールの螺旋』(https://ncode.syosetu.com/n0703eo/#main)から着想を得ています。
(具体的に言うと、「第二章15 『台風の目』」内の、タロットと星座の話からです。)
これは、日本の古典文学を元にした、二次創作作品です。
原作は、後書きに載せます。
[神戸][南京町]といった、現実の地名が出てきますが、実在する同名の場所とは、外観が大きく異なる場合があります。
「僕は、この本を手に取ったので……そのポップは、小栗さんの作品に関するポップの中で、一番印象に残っています。」
晃は、胸の前で抱えている、『黒死館殺人事件』に視線を落とした後、再び熊城を見据えた。
「火、水、風、地……この並びから連想されるのは、[属性]です。
そして、属性と言えば……。
熊城さん。
貴方が出した、スペシャルヒント……
[乙女座]にも、割り当てられていますよね。」
熊城は、頷く事も無く、ただ満足げな顔で、ぼうっと晃を眺めていた。
晃は、気にせず続けた。
「僕が、その事に気付けたのは……
[星座占い]について、女の子たちが話しているのを、聞いていたからです。
その会話の中で、
『乙女座は地属性』
というフレーズが、出てきました。
それを思い出した時点で、僕は、
[白髪の女の子は、土に関する何かを行っていたのだ]
と、推測出来ました。
……話は変わりますが。
熊城さん。
貴方は僕が、ここまで辿り着くと、見越していたのでしょう?」
熊城は、大きくたじろいだ。
「僕が、斎藤さんについて、食いかかった時……
貴方は、僕の耳が非常に良い事を、知りました。
だから、[星座占い]についての会話を、僕が聞いていてもおかしくないと、判断したのです。
……貴方は、試したんですね。
その会話を、僕が思い出し、ここまで辿り着けるか。」
少し、間を置いた後……
熊城が、口を開いた。
「……ええ、そうっすね。
解けっこ無い問題なら、判断のしようが、ありませんからね。
……でも、分からないっす。
法水さん。
貴方は、何で……
園芸や農作業を、1ヶ月以内に行っていたと、分かったんすか?」
「合っていたんですか?」
晃は、ホッとした調子で尋ねた。
熊城は、姿勢を崩し、幾らかリラックスして答えた。
「ええ。」
「……僕は、[ジャリッ]という……砂や小石が、互いに擦れ合ったような音を、聞きました。
音の発生源は、白髪の子の……
[靴底]です。
彼女が、場所を移動した時、また同じ音がしたのと……
床を見ると、ツルツルとした素材で、何も落ちていなかった事から、そうだと確信しました。
その後、彼女のブーツを、よく見ている内に……
それが、[ただのブーツでは無い]と、気付きました。」
「ただのブーツでは……無い?」
熊城は、怪訝そうな顔を浮かべながら、そう言った。
「はい。
それは、[普通のブーツに見える、園芸靴]だったのです。」
「え、園芸靴……!」
熊城の目が、大きく見開かれた。
「た、確かに……
ブーツでやっていたから、おかしいとは、思ってたんすけど……。
法水さんは、何で分かったんすか?」
「僕の父は、出版社の社長で……僕はよく、その出版社に訪れていました。
ある日、僕がそこで見たのは……園芸雑誌の、打ち合わせでした。
その時、打ち合わせの場に、彼女が履いている園芸靴が、置かれていたんです。
その園芸靴は、発売されたのが、今から丁度1ヶ月前です。
それを、底に砂や、小石が詰まるくらい、使ったのだから……
この1ヶ月以内に、園芸か農作業を行ったのだと、推測しました。」
熊城は、晃を認めた事を示すように、首を上下に振った。
「……お見事です。
でも俺は、今の貴方を見て、もっと先……真実に触れた貴方を、見てみたくなりましたよ。
法水さん。
俺が、もう1つヒントを出しますから、更に推理を、狭めて下さいよ。」
晃は、黙って頷いた。
とても長く、喋っていた為に……晃の気分は高揚し、強気になっていた。
「では、行きますよ……
[フール]、です。」
晃は、フールから連想した。
素直に訳せば、愚か者。
しかし、エイプリル・フールのフールかもしれない。
晃は、瞼を閉じ、連想を続けた。
今浮かんだ発想は、過去の記憶と結び付ける事で、何倍もの意味を成す……。
それを、つい先ほどの推理で、晃は実感していた。
だから、連想を重ねた。
それは--輪唱歌のように。
『さっきから、何の本見てるの?』
『これ。』
『タロット占い……。』
『うん。』
その会話を思い出した時、晃はハッと目を見開いた。
タロット……フール……と来れば、
タロット番号0、
[愚者 ザ・フール]しか無い。
晃の脳裏に、ザ・フールの絵柄が、蘇ってくる。
カードの中心に居るのは、お気楽そうな青年。
彼は、長い木の棒の先に、風呂敷のような包みをぶらさげ、肩に担いでいる。
彼の足元では、一匹の白い犬が、何やら吠えている。
……何と吠えているのだろう?
晃は、疑問に思い、推理を始めた。
園芸……農作業……長い木の棒……包み……吠える犬。
「……そ、そうかっ!」
晃は、喜びの感情を、声に乗せた。
「……言ってみて下さい。」
熊城が、晃に答えるよう、促した。
晃は、それに従った。
「……『ここ掘れワンワン』、
……ですよね!?」
晃は、目をキラキラと輝かせながら、熊城に尋ねた。
熊城は、スッキリとした笑顔を浮かべながら、頷いた。
安心した晃は、流れるように言葉を続けた。
*お読み頂き、ありがとうございます。
*原作
『黒死館殺人事件』著・小栗虫太郎
『二十世紀鉄仮面』著・小栗虫太郎
『オフェリヤ殺し』著・小栗虫太郎
『ドグラ・マグラ』 著・夢野久作
『二重心臓』著・夢野久作
『一寸法師』著・江戸川乱歩
『心理試験』 著・江戸川乱歩
*絵は自分で描いています。




