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第2話 お金の話

「ちょっといいかしら?」

 お金の価値が分からないから教えて欲しいの、という美香にギルド長はあきれたようにダダを見た。


「いえ、そんな目で見られても。この一か月で美香が来れたのが6日。本当に時間ぎりぎりまで討伐に明け暮れた日々で、買い物ひとつできなかったんですから。美香がお金を使う暇なんかないじゃないですか」


「それもそうか。だいたいの目安だが、50万Gが標準的なアシドの4人家族の年収だ」


 鉱山では秋に大量の魔物が急激に発生した。その影響で2か月間というもの中に人が入れず、冒険者ギルドに討伐の依頼を出していた。依頼を受けてくれる人を探すうちにますます数が増えて、やがて中の様子も覗けない程のモンスターハウス状態だ。そのため追加の危険手当を含めての、この金額らしい。


 アリジゴクは全長2メートルと巨大なうえに、足場の悪い砂地に引きずり込む性質で、とても戦いにくい。

 固い殻に覆われているので、足場が悪く力が入れにくい状態では武器が通りにくい。既存の毒も効きにくく、上級者でもてこずる難敵だ。

 今回の美香の方法は非常に有効で、今後の討伐にも活かせるので、依頼料が割増しされている。


「殻が鎧の素材に使えるのでそれも標準的な価格で引き取らせてもらった」


 年収が50万なら、ざっと見積もって円の十倍くらいかしら?

 そう計算しながら、質問を続ける。


「食堂で食事をとるといくらなの?」


「アシドの下町なら30G前後が多いな」


「安いわね。宿にとまれば?」


「下町のそこそこ安全な宿でオーガが泊まれるサイズの部屋なら1000G以上だな。1万D以上の高い宿もいくらでもあるぞ」


「ありがとうございます。あとはダダ達に聞くわね」


 これから、貰った給料を持って、初めての異世界ショッピングなのだ。

 わくわくしながら立ち上がりかけた美香だが、ふと気付く。

 金額の話はしたが、まだ現物を受け取ってない!


「お金って今ここでもらえるのかしら?」


「ああ、お金は金額も大きいので口座を作ってそこに振り込まれるんだ。口座はタグに登録されていて、アシド内の商店ならどこでもギルドタグひとつで買い物できる。ギルドで硬貨に変えることも出来るから、必要な時には受付で言ってくれ」


 振り込むにあたって、依頼料のパーティー内の分配について聞かれたので、単純に4等分にした。美香がいない間にも他の三人は動いていることもあるので実働時間で配分しようかと聞いたが、その分は来た時にしっかり働いてもらうからと言われ、素直に受け取ることに。


 美香の口座の中には19万G。

 およそ190万円だがここでしか使えないお金だ。

 さあ、ショッピングを楽しもうか。



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