第6話 鍵の秘密
すっかりくつろいで話し始めた美香とダダ達3人だが、ハッと大切なことを思い出した。
「そうだ。助けてあげたいのはやまやまだけど、私、今、仕事中なのよね」
段ボール箱4箱分の骨董品を集めて、ここに湧いて出る黒い悪魔……魔物たちを掃除しなければならないのだ。
それを聞くとダダが一つ提案してきた。
「でしたら、私たちがこのダンジョンの宝物を集めて、この箱の中に入れましょう。ここに現れる魔物も、討伐しますので、どうか一緒に魔物退治に来てください」
「うーん。今日はもう、あまり時間がないし私がここに来るのって、週に4~5時間だけなのよ。そんな短時間では無理だと思うわ」
「いえ、美香の破壊力なら、4時間あればかなりの成果を上げられるでしょう」
「魔物の発生地点まで行くのにも時間がかかるじゃない」
「あ、でもそれは……」
ズーラが美香のポケットのほうを見る。
「美香は転移の魔道具を持っていますよね?それがあれば、殆どの魔物の発生源まで1時間もかからずに往復できますよ」
「魔道具?」
「ええ、そのポケットの中に」
それは店長から預かった、緑色のリボンが付いた鍵だった。
「まあ」
「世界中のいたるところに、ドーアという転送装置があるのですが、その魔道具を使うと記憶にあるドーアへと転移することが出来るのです。私たちがあらかじめ案内したい魔物発生地点のそばのドーアを見つけておけば、すぐに転移することができます」
店長から借りた鍵は、魔道具だったのだ。
なるほどね。
と、いつものように美香は素直に納得した。
「では、我々を助けてもらえますか?」
「ええ、私のできる範囲で良いならね」
美香のその了承の言葉と同時に、美香とダダの間に、細く、見えない絆がつながった。
ダダはオーガの美香をテイムした……のかもしれない。