感傷に浸る
…目を閉じて、静かにゆっくりと呼吸をすれば、そこは海の中だから。
感傷に浸る、あい【愛・哀・藍】の世界。
広いということは感じるが、閉塞感が私を包む。
心がキュッと握りしめられ、ああ、自分は生きているのだと感じる世界。
その深い海の奥で、私はそっと息をひそめる。
暗く静かなその中で、ひたすらに落ちていきながら自分の鼓動を胸に聴く。
海には誰もいない。
私。
ただ1人。
私。
鼓動と呼吸が【あい】に溶け、【あい】に響く。
その腕を上に伸ばしても何に当たるわけもなく、ただ泡をかすめ水を切る。
腕を伸ばした方が上なのかすら、今はもう分からない。
暗く広い海の中で、自分がいるだけ。
上も、下も、なにも無い。
なにもかも。
この世界には、【あい】の海には全てが消える。
私はここにいる。
私がここにある。
私の、心が、【あい】に溶ける。
溶けてゆく。