第九話 わたくし神野本家の神野 京香でございます
神野 京香。こいつは一体何者なのか。神野一族の者です。そうですね。
「お父様、お母さまお話があります。」
「なあに京香。」≪きょうか≫
「お二人はこの神野本家がある京都に、いいえ神野本家に御神刀が無いのをどうお考えですか。」
「京香、あなたは昔から本家本家とこだわりすぎだと思うのですけど。」
「そんなことはありません。家系図をたどればうちが本家に間違いないのですから。」
「でも、だれも使いこなせないならあっても仕方ないと思いますよ。」
「あ~もう、そんな考えだからうちに御神刀が戻ってこないのです。」
「だいたい神野一族に本家分家という考えはないのですよ。」
「そんなことは知っています。お父様はどうお考えですか?」
「おれ?おれは婿養子だからあんまりわかんないけど、俺の考えはお母さんとおんなじかなあ。」
だ~~~っ、この二人は、本家としての自覚が圧倒的に足りませんわ。
「お父様もですか!」
「そんなに言うなら、今の持ち主からとってくれば。」
「そんなことが出来るのですか?」
「ええ、あなたが試合で勝てばいいのよ。」
「そうなのですか。知りませんでした。」
「無闇に挑めないようにそれ相応のものを賭けないといけませんけどね。」
「それ相応のもの・・・」
「あなたが挑みたいなら、床の間に飾ってある大太刀をもっていけばいいわ。
でも姫路にいる小夜ちゃんは強いわよ~。」
「わたくしだって剣術の修行は欠かしたことはありません。」
「そんなに自信があるなら早く行きなさい。」
「ありがとうございます、お母さま。」
す~っ、ぴしゃり
「いいのか、姫路の娘って相当強いんだろ。」
「相当どころじゃないわ。歴代の御神刀の持ち主の中でも最強かもしれない。」
「そんなに強いのか。じゃあ何故京香をたきつけるようなことを。」
「よく言うじゃありませんか。かわいい子にはって。」
「ああなるほど。」
「ほんとうに強い人間のそばにいるだけで、人間はつよく成長できると私は思います。」
わたくしの名前は神野 京香。
京都で黒巫女をやらせていただいてます。
今からわたくしは本家に御神刀はあるべきという考えのもと、姫路にいる御神刀の持ち主、
神野 小夜という小娘に御神刀を賭けた勝負を挑みに参るところです。
神野 小夜はけた外れに強いという噂は聞いた事はありますが、
所詮噂は噂です。
わたくしだって物心ついた時には、剣術をやっていたのです。
その辺の道場の師範代になら負けない自信もあります。
そして一番の理由は神野 小夜が早紀お姉さまの実の妹ということです。
早紀お姉さまの妹はわたくしだけでいいのです。
でも、実の妹という事実はどうしようもないのもわかっています。
ですからこの実の妹の神野 小夜に一泡吹かせてやりたいのです。
「首を洗って待ってなさい、神野 小夜。すぐに一泡吹かせてやりますから。
お~ほっほほほ。」
こんこんこん
「お嬢様、大丈夫ですかお嬢様~~。」
京香ちゃん。この雰囲気だと大したことなさそうですね。お~ほっほほほなんて笑うやつに、強い奴はそういない。だからその笑い方やめなさい、京香ちゃん。