第四十四話 鍛錬そして休憩
がきんがきん音がします。何の音なのでしょう。
がきんがきんがきん
こんこん
がきんがきんがきん
こんこん
みなさんこんにちは。
超美少女黒巫女の神野 小夜です。
うん、やっぱり自分を超美少女と自己紹介するのは、恥ずかしいものですね。
私は今、鍛錬場で大槌を振っています。
なぜかというと、封印刀は機械を使わず人の手で鍛錬したほうがいいと聞いたからです。
今は、秀兄ちゃんが造る刀を鍛錬しています。
師匠のおじちゃんも、
「おれもおれも、俺のも手伝って。」
といいましたが、私たちの体は一つです。
「「じゃ~んけ~んぽん、あいこでしょ。」」
「やった~俺の勝ち。」
「くそ~っ、負けた。」
というわけで、秀兄ちゃんが勝ちました。
師匠のおじちゃんは、自分も大槌を振れば早く終わるだろうと、大槌係です。
がきんがきんがきん
こんこん
私たちが、大槌を振ると秀兄ちゃんがこんこんと、次たたいてほしいところを小づちで指図します。
がきんがきんごい~ん
「おい、こら。ちゃんと叩け、正二。」
私と師匠のおじちゃんは、ちゃんとたたけるのですが、外道さんはよくミスって怒られています。
「わ、わかってる。けど疲れた。一休みしたいんだけど。」
「仕方ねえなぁ。そんじゃ休憩にするか。小夜わるいけどお茶いれてくれるか。」
「わかった。」
「よかったな、小夜が入れたお茶が飲めるぞ。」
「はあはあはあ、確かにお茶が飲めるな。あんたの言う通りだな。
だがこんなの聞いてないぞ。だましやがったな。」
「俺は、だましてなんかないぞ。小夜と一緒に共同作業できただろ。」
「何が共同作業だ。こんなの何かを楽しむ余裕なんかあるか。」
「なんだお前、小夜ちゃんが好きなのか。」
「うっせえ、悪いかおっさん。」
「おおいいねえ、青春だねえ。応援してやるぞ小僧。」
「ほんとかおっさん。」
「ああ、応援してやる。だからがんばれよ。」
「それだけか?」
「なんだ、不服なのか。」
「不服だらけじゃ、おっさん!」
小夜が、お茶を入れて帰ってきた。
「どうしたの、大きな声が聞こえたけど。はい、外道さんお茶ですよ。」
「ありがとっす。(o^―^o)ニコ」
正二は、満面の笑みでお茶をうけとった。
だが小夜は思った。
この人の笑い顔は、ちょっと気持ち悪くて苦手だなぁ。
俺の名は、外道 正二。
男も女も関係ねえ。立ちふさがるものは、誰だろうと容赦しねえ男だった。
しかし、ここの神野 小夜に一目ぼれしてしまった。
そこから俺は、人生の坂道を転がり落ちている。
今ではただの、モブキャラだ。
いつの日か、小夜を俺のものにし、そして主人公にのし上がってやる。
「よし、それじゃ鍛錬始めるか。」
「おっしゃ。」
「はい。」
「おい正二。がんばれよ、いろいろとな。」
「うっせえ。」
外道 正二は、牙を折られたのね。神野一族によって。