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もっと黒巫女(わたし)は、カッコイイ?  作者: 傘流 正英
第一章
35/63

第三十五話  小夜の秘密

早紀が、小夜のことで何か気づいたようです。

みなさんこんにちは。

神野 早紀です。


私は小夜ちゃんと二人、竹藪にいます。あることを、試すためです。




私は、ここのところ休みの日は、小夜ちゃんと剣術の稽古をしています。

そして、小夜ちゃんの剣に、違和感を覚えました。


最初は私の気のせいだろうと思いましたが、違和感の正体がわかりました。

それは、小夜ちゃんが人を相手にするのが、自分では気づいてないようですが、

心のどこかで怖がっているようです。

相手に当たってしまったらどうしようと、心のどこかで思っているようです。

普通の人なら、それは当たり前でしょう。



しかし、私たちには霊力があるのです。


たとえば、木刀に柔らかいものが巻かれているとイメージして、

思い切り人を殴ったとしても、骨が折れるようなことはありません。

まあ、打撲程度で済みます。

逆に、鋭い刃がついていると思って斬ると、木刀でも日本刀で切ったような切り口になります。

斬れると思えば切れるし、斬れないと思えば切れないのです。




私が見た限り、斬るのが怖いというより、殴るのが怖いという感じです。


ということは、霊力を使いこなせてない、ということになります。


放っておいて大変なことになる前に、私は小夜ちゃんを試すことにしました。




私たちは、竹藪にいます。



「お姉ちゃん、こんなとこに来て何すんの?」

「ちょっとね、この木刀で竹を斬ってみせて。」


ぎくっ!


「そんなことかぁ。私忙しいから帰る。」


早紀は見逃さなかった。小夜の『ぎくっ!』の瞬間を。

そして、早紀は言った。

踵を返そうとする小夜に、


「竹くらい切ってみせてよ~、お、ね、が、い。」


ごめん小夜ちゃん。

ちょっと意地悪なお姉ちゃんになるけど許して。


「竹なんか切っても仕方ないよ。帰ろ、お姉ちゃん。」

「なんでよ~一本くらいいいじゃないの~切ってよ~。」

「なんでそんな、駄々っ子みたいなこと言うの。帰るよ。」



小夜は思った。



『もしかして霊力をうまく使えない事疑ってる?ちゃんと黒巫女としてお仕事してるのに?

ありえないよそんなこと。だいじょうぶ、だいじょうぶ。』



と、自分に言い聞かせていた。



「もしかして、斬れないの?」

「そ、そんなばかなことあるわけないじゃない。」


小夜の口調が少し強くなった。


「だよね~神野一族最強だもんねぇ~。」

「そうだよ~。竹くらい、スパっと切れるよ、竹くらい。」



早紀は言った。

小夜から視線を離さず、顔を近づけて。

まるで、能面の様な顔で。



「だったら、今すぐ切って、この竹切って。」


早紀の迫力に、気圧された小夜は、


「ごめんなさい。私うまく切れるかわかんない。」


小夜の目には、涙が浮かんでいた。

早紀は、抱きしめてやりたい衝動を、必死で抑えながら聞いた。


「どうして。?小さい頃は使えてたよね。」

「うん。自分でもわからなくて、気が付いたらうまく使えなくなってた。」

「そっかぁ。じゃ、なんで黙ってたの?」

「黒巫女になれなかったら、どうしようと思って。『こんな使えない子は、うちの子じゃない』

とか言われて、追い出されちゃうかもと思ったら怖くて。」

「そんなことは、お姉ちゃんがいる限りないよ。」

「おねえちゃ~ん。」


小夜は、泣きながら早紀の胸に飛び込んだ。

ああ、これは夢?などと一瞬思ったが、気を取り直し、



「小夜ちゃん、なんでこうなっちゃったか、一緒に考えよ。」

「うん。」


小夜は、上目遣いで頷いた。


も~~う、小夜ちゃん可愛すぎ~~



小夜のことになると、情緒不安定ぎみなところがある、早紀だった。









能面の様な早紀。こわすぎ~~

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