第三十二話 アニメ地獄
アニメは生に限るけど、仕方ないよね。
神野 秀っす。
俺は今、充実している。
刀の問題も、師匠のおっちゃんにOKをもらった。
これで心置きなく、録りためていた深夜アニメを見ていられる。
「秀兄ちゃん、おじちゃん、入るよ~。」
「いいぞ~、腹減った腹減った、早速食うか。」
「小夜ちゃん、ありがとな。お~、おいしそうだ。」
「へへぇ、そうかな、ありがとおじちゃん。」
俺たちは、徹夜で深夜アニメを見ていた。
なぜ、3人でみているかというと、前日の午後8時にさかのぼる。
「ごちそうさま。そんじゃ俺はこれで。」
「もういいの、秀兄ちゃん。」
「ああ、俺にはやらなきゃいけないことがある。」
そして俺は、コンビニでポテチやジュースを買ってきた。
これで、準備万端。
スリー、ツー、ワン、ゴー
そして、10分ほどたったころ、
「なにやってんの、秀兄ちゃん。」
「あ~!冴えカノ観てる~!ずるい!なんで呼んでくれないの。私も観る。」
これで一人追加。
そして、また10分。
「さ~やちゃん、なにやってんだ。一緒にあそぼ。」
「あっ、おじちゃん。一緒に見る?」
「お~冴えカノか。見る見る。」
これでまた一人。
途中、生のアニメを見たりして今に至る。
「俺、こんな朝は初めてかも。」
「ねえ。秀兄ちゃん、こんなのまだあるの?」
当たり前だ。ここに来る前から、録りためていたのが自分でも数えきれないほどあるのだ。
「ああ、まだまだあるぞ。」
「私そんなの知らない。」
「そりゃそうだ。お前BOXばかり借りていったからな。」
「教えてよね~。」
「何の得にもならねえのに、知るか。」
朝飯休憩を、他愛のない話や、次何を見るかなどの話しをしていた。
「秀さん、入りますわよ。」
「ああ、いいぞ。」
何の用事か知らないが、京香のやつが入ってきた。
「いったい何をしていますの。」
「朝飯休憩だ。見たらわかるだろ。」
「朝飯休憩?そんなのわかるわけありませんわ。」
「京香さんも、一緒に見ようよ。」
「なにを見るんですの。」
「アニメだよ。」
京香は、じ~っと小夜の顔を見て言った。
「小夜さんあなた、もしかして徹夜でアニメを見ていらしたの?」
「一人で見てると、すぐに寝ちゃうけど、一人じゃないから徹夜出来ちゃった。」
京香は呆れた顔をして、首を振った。
「皆さんもう寝なさい。体に悪いですわ。」
「そうだな、こんなことは体に悪いな。」
「そうですわ。早く寝たほうがいいですわ。」
「「「だが、断る!」」」
「な、なんですの、3人して。」
「体に悪い?そんなの気にしてアニメを見る奴は、真のアニメ好きじゃない。」
「そ、そうですの?」
「そうだよ。だから一緒にアニメ見て、京香さんもアニメ好きになればいいよ。
ねっ、秀兄ちゃん。」
「そうだな。それがいいな。」
「わ、わたくしは遠慮しますわ。それではわたくしは失礼いたしますわ。」
何かを感じ取った京香が、部屋を出ていこうとしたとき、
がしっ!
「だめだよ~京香さんも、一緒に見るの。」
「いや、はなして。いや~!」
始めは嫌がっていた京香も、5分もすれば大人しく見ていた。
早紀、美紀の二人も、こんな感じで小夜に引きずり込まれていった。
そして、金曜日の夜から始まった上映会は、日曜の夜まで続いた。
この難を一人逃れた力也のおっちゃんは、心置きなくえろげをやっていたそうだ。
アニメ地獄はいかが?アニメは好きだ。だが、断る!