第二十四話 日は西から登らない
秀さんは大変お疲れの模様です。
みなさんこんにちは。
神野 秀です。
刀を一本、師匠のおっちゃんに出来を見てもらうため、急ピッチで作業してます。
もう、筋肉痛がひどいです。
今日は、まだ午後6時ですが、風呂に入って寝ます。
おやすみなさい。
神野 小夜です。
「秀兄ちゃん、お風呂沸いたよ~。」
「・・・。」
「秀兄ちゃん、お風呂沸いたよ~。」
「・・・。」
「秀兄ちゃん、お風呂沸いたってば。秀兄ちゃん。」
秀兄ちゃんが、いくら呼んでも返事がありません。
私は、どうかしたのかと、部屋までいくことにしました。
「しゅ、秀兄ちゃん?秀兄ちゃん大丈夫、秀兄ちゃん!」
そこには、廊下で倒れている秀兄ちゃんがいました。
「う、うん?小夜か。もう朝か?」
「びっくりさせないでよね~朝じゃないし、ここは廊下。」
「えっ、廊下?俺こんなとこで寝てたのか?」
「うん、もう風呂に入ったら、寝たほうがいいかもね。ごはんどうする?」
「もういいや、風呂に入ったらすぐに寝る。」
「わかった。」
そして、次の日。
「いってきま~す。」
秀兄ちゃんはまだ寝ています。
よっぽど、疲れていたのでしょう。
今日のところはこのまま寝かせてあげようと思います。
「ただいま~。」
「あれっ。」
この時間は、いつもなら作業している秀兄ちゃんがいません。
休憩しているんだろうと、私は思いました。
でも、いつまでたっても作業をしている感じがしません。
「も、もしかして秀兄ちゃんまだ寝てる?」
私はまさか、と思いながら『疲れているんだから仕方がないか。』という思いと、
『いったい何時間寝れば、気が済むのよ。』という思いがごちゃ混ぜになっていました。
「秀兄ちゃん、起きなさい!何時間寝れば気が済むの。起きなさい。」
「なんだ、小夜か。うるせぇな。もうちょっと寝かせろ。」
「秀兄ちゃん、何時間寝れば気が済むの!」
「うるせぇぞ。朝っぱらから。」
「あ、朝?なに言ってんの。もう夕方!」
「夕方って、もう少しましなウソつけよ。」
「嘘じゃないわよ。外見たらわかるわよ。」
「外見たらお前のウソが、わかるってことか。・・・」
「東って、こっちだっけ。?」
「そっちは西。あれは夕日。」
「朝日じゃないの?」
「朝日は西から登ったりしないの。」
「それじゃ俺、何時間寝てたの?」
「知らない。今4時だから自分で数えてよ。」
「え~と、1、2、3・・・20、21、22。うそ~。」
「うそじゃないのですよ。私が起こさなかったら、まだ寝てたよきっと。」
「か~~っ。信じられない。」
「信じられないのはこっちよ。いくら疲れたといっても寝すぎ。」
「そうだな。なんか寝すぎのせいか、頭がおかしい。ぼ~っとする。」
このことをお父さんに聞くと、疲れてるなら好きなだけ寝かせてやろうと思ったそうです。
私はお父さんに、限度というのがあるでしょと、ちょっと説教しました。
お父さんは、お前の言う通りだと、うつむいていました。
ほんとにもう、うちの男はダメダメです。
。
あなたは、頭がぼ~っとするほど眠ったことはありますか?